カフェだと思っていた人も多いのではないか。札幌の路面電車が走る通りと狸小路の間にあるコワーキングスペース「CONTACT」
[2020.3.30]
札幌市内に数あるコワーキングスペースの中でも大通エリアのさらに中心地、南2条西5丁目の路面店という抜群の立地を誇るのがここ、「CONTACT」だ。
オープンは2019年2月1日。1階にドリンクスタンドやイベントスペースも兼ねたコワーキングスペース、2階は有料会員限定のシェアオフィスとミーティングルーム、そして3階~6階にドミトリーホステル「GOEN」がある。
聞けば、経営は「TSUTAYA」や「蔦屋書店」でおなじみの株式会社北海道TSUTAYAだという。北海道TSUTAYAがなぜ、しかも札幌にコワーキングスペースを?コミュニティマネージャーの村田幸亮さんにお話をうかがった。
宿泊客のラウンジにもなっている一階。「Cafe MORIHICO.」のコーヒーや「USAGIYA」のお茶、「BEER SELLER SAPPORO」セレクトのドリンクも楽しめる。
ラウンジの壁には函館蔦屋書店のコンシェルジュがセレクトした選書が並ぶ。テーマは「知・思・動」。旅やクリエイティブ・アート、北海道関連の本も手に取ることができる。
「はじめにお伝えしたいことは、当社は書店やレンタルショップの経営だけを目的とするのではなく、企業の主軸が企画会社である、ということです。CONTACTの場合も北海道TSUTAYAにいた、旅好きで宿泊業に関心を持つ社員が企画発案し形になったもの。
全国でCONTACTは札幌に一店舗だけ、というのも発案の地が札幌だったから。札幌生まれのオリジナルスペースなんです」
コンセプトは旅行者と地元のオフィスワーカーが商談だけでなくさまざまな形で接点を持てる空間。人と人をつなげる意味で「CONTACT」と命名された。
1階ラウンジは2時間利用(ドリンク1杯付)で1500円、1日利用(ドリンク2杯付)で2500円。
2階のシェアオフィスは月額会員(1人25000円)のみが利用でき、その場合はドリンク無料や宿泊割引などさまざまな特典が付いてくる。
2階のシェアオフィス。最大8名の予約制ミーティングルームもある。ホワイトボードの壁に直接書き込むことができ、プロジェクターも使用可能。
開店から一年が過ぎ、利用客は日本人が65%、海外の方が35%。「女性が6割を占めています」。
一周年記念のときにはラウンジで東区にあるフラワーショップ「VALVE」(ヴァルブ)を中心に日本酒居酒屋「蔵々」やキャンドルブランド「Rosa Candle」、印刷加工会社「ほっかいしこう社」とコラボしたPOPUPSHOPイベント「花+光+酒+器」を開催。「VALVE」のブーケレッスンや「蔵々」の日本酒飲み比べも好評で、さまざまな職種やファンが混じりあう、まさに理想的な”コンタクト”の場となった。
コミュニティマネージャーの村田さんに事前におすすめ本のご用意をお願いしたところ、「身内の本になってしまい恐縮ですが」と持って来てくれたのが、北海道TSUTAYA代表取締役社長梅谷知宏氏の著書である。
2013年に函館蔦屋書店をオープンさせた梅谷社長の手腕は広く知られており、その一部始終を書いた『 “新しい「好き」”が生まれる場所へ僕たちが舵を切った日々のこと。「函館 蔦屋書店」ができるまで』(徳間書店)も上梓している。
「函館に店をつくる前に地元の声を集めていた梅谷が毎日バス停で見かけるおじいさんに”毎日どこに行っているんですか?”と尋ねると、ラーメン屋さんだと答えるんです。でもそれは毎日ラーメンが食べたいわけではなくて”店主と話をしに行くのが楽しみ”だから通っているという。
つまりは外出の目的は誰と一緒に時間を過ごすか、”トキの共有”がとても大事だということを教えてくれるエピソードでした。モノ消費から体験重視のコト消費を経て、現在はトキ消費。この考え方はCONTACTにも通低していると思います」
鎌倉出身の村田さん。北海道TSUTAYAに転職する前は12年間アパレル業界で勤務。3年間暮らした札幌が気に入り「ゆくゆくは札幌に移住したい!」と思っていたタイミングで同社から声をかけられたという。
「仕事と暮らしの両立を目指す”ワークライフバランス”という表現がありますが、東京から札幌に移住してきた自分の頭に浮かんでくるのは”ワークライフブレンド”。都市と自然が違和感なく調和する札幌なら”働くように遊び、遊ぶように働く”おおらかな暮らしが実現できる。
このCONTACTにも、きっとそういうマインドを共有できる皆さんが集まってきてくれているんじゃないかなと感じています」
2020年2月からオープン2年目を迎えたCONTACT。まだまだ知らない人も多いだろう。一度ドアを開けてみたら広がる世界が待っている。
「CONTACTに行けばなにか面白そうな人・こととつながることができる。そう思っていただけたらうれしいです」
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