2022年1月6日、JR千歳駅前に開館した「まちライブラリー@ちとせ」。初日から中高生が勉強する姿が見られたという。
[2022.1.17]
千歳市民念願のコミュニティ・スペースが2022年1月6日に誕生した。
その名も「まちライブラリー@ちとせ」。
2021年3月末に閉館した「まちライブラリー@千歳タウンプラザ」の蔵書を引き継ぎ、より駅近の場所に生まれ変わった新生「まちライブラリー」だ。
場所はJR千歳駅東口を出てすぐの末広6丁目3 アルファ千歳ビル1F。JRイン千歳が目印。
一般社団法人まちライブラリーが事務局を務める利用者参加型民間図書館「まちライブラリー」は、大阪を中心に全国で900カ所近く展開中。
「自宅でまちライブラリーを開きたい」という個人から店舗や企業、自治体まで大小さまざまな規模で本の貸し出しやイベントを企画する自由度の高さで、利用者と同時に主宰者も増やしている。
ここ千歳の場合は、長らく閉鎖していた商業施設を改装した「まちライブラリー@千歳タウンプラザ」が2016年12月に開館。施設の所有企業がスポンサーとなっていたがコロナ禍で継続が困難になり、2021年3月に閉館を決定した。
それを聞きつけた市民有志の間で「続けてほしい!」と再開嘆願活動が始まり、2000名を超える署名を千歳市に提出。市内の高校・大学生対象のアンケートでも再開希望の声が多く、それらの要望に応えた市がスポンサーとなり、地域推進のまちなか交流施設と位置づけて再開が実現した。運営は一般社団法人まちライブラリーに業務委託された。
同社団法人代表であり、まちライブラリー提唱者の礒井純充さんは「市民の熱意が再開させた千歳の例は、まちライブラリーを普及している僕らにとっても明るい話題です。まちライブラリーがオープンして完結ではなく、これから千歳のまち自体が面白くなっていく、そんなインフルエンスを持てる場所に成長したい」と意気込みを語る。
場所を利用するには会員登録は必要ないが、本の貸出・イベント実施・wifi利用等は会員登録が必要。年会費や年ごとの更新等はなく作成時のカード実費500円のみ。貸し出しは一人3冊まで、期間は2週間。千歳市以外の来館者も会員になれる。タウンプラザ時代の会員カードを持っている人は引き続き利用可能。
広さは230㎡。「広すぎず、狭すぎずのベストな大きさ。蔵書は千歳タウンプラザ時代の25000冊から選りすぐった8000冊でスタートしています。本との偶発的な出会いが起きやすい空間で千歳の皆さんのご利用をお待ちしています」(礒井さん)
ブルーのクッションで区切られたキッズスペース。
見たことがないくらい縦長の大型絵本を発見!
取材にうかがった1月7日は開館2日目。受験シーズン目前に高校生たちが勉強中。目の前にバス停があり、通勤通学コース上の使える立ち寄りスポットになりそうだ。
まちライブラリー再開にあたり、千歳タウンプラザ時代の現場もよく知るスタッフの古谷綾さんがマネージャーに就任した。2021年に「本のフルコース」も作ってくれた古谷さんに、開館を迎えた今の気持ちをうかがった。
「オープン初日からタウンプラザ時代に利用してくださったサポーターさんたちが続々と来てくれました。こうして再会してお話できることがうれしいと同時に、今もたくさんの方に支えられていることに感謝の気持ちでいっぱいです。 まだオープンしてから数日ですが、偶然来てくれた北大生さんとの会話から、中高生に勉強でわからないところを教える新企画『学習相談』がスタートしました。学生のみなさんとどんなことをしていけるのか、これからとても楽しみです!」
入口すぐの棚には千歳在住の児童文学作家、栗沢まりさんの著書やアイヌ関連本が。
個人の蔵書の寄贈で成り立つまちライブラリーは地元色が出やすく、こちらも自衛隊基地がある千歳ならではのミニコーナー。
熱心に読んでいたご家庭があったのだろうか、美唄市出身の児童文学作家、後藤竜二コーナーもある。
「今度のまちライブラリーはわかりやすいようにミニコーナーを増やしています」(古谷マネージャー)
大人もうれしい新旧マンガコーナーも充実。
古谷さんも幼い頃に読んでいたという江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ。
開館2日間はオープニングイベントで盛り上がり、学生企画やファミリーイベントが開催された。企画の持ち込みも歓迎されるのでまずは気軽に相談を。
北海道千歳市末広6丁目3 アルファ千歳ビル1F
開館時間10:00~20:00 火曜休館
Email machilibrary.chitose@gmail.com
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