北海道書店ナビ

北海道書店ナビ  第97回 BOOKSあしたや

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?


中小書店の経営が厳しいいま、励まされる新店情報が入ってきた。札幌地下鉄南北線の終点、真駒内駅構内にわずか9坪のスペースで小さな帆を上げた「BOOKSあしたや」。書店経営は初めてというオーナーの思いが詰まった空間だ。【2012.10.29】

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=zY_0ctaBoy0]

2012年6月6日、地下鉄真駒内駅構内にオープンした「BOOKSあしたや」は、自然食やマクロビオティック、フェアトレード製品を取り扱うオーガニックショップ「あしたや」の姉妹店。
本店は駅からすぐのショッピングモール「ミュークリスタル」にあり、こちらはその支店だったが、今年の初夏から代表取締役の堀井利昭さんが書店への“衣替え”を決意した。
「本屋にした理由はいくつかあるんです。まず自分が本好きであることと、次に大きいのが真駒内の中心部から書店が消えてもう何年も経つこと。地元に書店がないというのは実にわびしいものです。郊外の書店に車を走らせることができない高齢者や学生さんが気軽に立ち寄れる店を駅の中に作りたくてオープンしました」。

内装は床も什器も木製のぬくもりにこだわり、壁は環境にやさしい珪藻土仕上げ。BGMには軽やかなボサノヴァが流れ、9坪の店いっぱいにあたたかな空気が流れている。
入って右側の壁一面を文庫が埋め尽くし、左はコミック、その間を雑誌の什器が並ぶシンプルな構成だが、「あしたや」色がもっとも濃く出ている棚は店の奥にある。

雑誌コーナーを迂回すると、右側の棚にマクロビオティックやオーガニック関連など、「あしたや」のキャッチコピーである“自然な食とくらし”につながる書籍がびっしりと並んでいた。
読みやすい入門書からセット価格10万円台の大家の選集までこの分野がここまで揃う品揃えは、さすがの一言。「千島喜久男や桜沢如一といった先人たちからの大切なメッセージを発信する場に」という堀井さんの思いが詰まった棚だ。
かと思えばレジ近くの新刊コーナーでは今年25周年を迎えた人気コミック「ジョジョ」シリーズを並べて猛プッシュ。「これは誰のセレクトですか?」と尋ねると「私、マンガも読むんですよ」と堀内さんがにっこり。“ガロ世代”の好奇心を垣間見た。

書店不足に冷えた真駒内の住民に心の暖を与える小さな本屋、BOOKSあしたや。「10代から80代まで」の常連客で長くしっかりと支えてほしい。
Store picture



定期券うりばのすぐ横にある9坪の店。木の店がまえが目印。



自然な食とくらし”を掲げる「あしたや」独自のラインナップ。


Basic information

【  住    所  】札幌市南区真駒内17番地地下鉄真駒内駅構内
【 電 話 番 号】011-585-2025
【 営 業 時 間】平日:8:15-19:30 休・祝祭日:9:15-19:00
【 定  休 日  】年中無休


堀井店主がセレクト!3冊のおすすめ本

1)桜沢如一著「無双原理・易」(日本CI協会)

マクロビオティックの創始者である桜沢氏(海外ではジョージ・オーサワとして知られています)による基本の書。初版は氏が留学していたフランスで出版されました。陰陽の東洋思想を日々の暮らしの中に活かせる“実用”の術として世界中に提示した画期的な内容です。マクロビオティックとは陰陽の変化をとらまえ、自然とつながっていく考え方。関心がある方はいろいろな切り口の本を揃えていますので、ぜひご来店ください。


2)千島喜久男著「血液と健康の知恵」(地湧社)

医学博士であり生物学者の千島喜久男は血液は腸で造られるという「腸管造血理論」を唱えた人物です。ほかにも生物学・医学のコペルニクス的転換をおこす説を発表し、その理念は今も新生命医学会に受け継がれています。当店では全5巻からなる選集も取り扱い、第1巻のみの単品販売もしております。


3)椿原庸夫著「日本一の龍馬像を建てた若者たちの物語」(東京図書出版)

作者の椿原さんは真駒内緑町在住。今年9月にはあしたや本店で椿原さんを囲んだ座談会も行いました。高知・桂浜の龍馬像は一体いつ誰が建てたのかー。龍馬の遺志を受け継ぐ一人の大学生の「でっかい夢」から始まった奇跡の物語。夢と希望と勇気のノンフィクションです。

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