北海道書店ナビ

北海道書店ナビ  第108回 MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?


私たちが気軽に立ち寄る雑誌コーナーは書店経営の要となる高売上の棚。狂騒的な付録ブームも収束した今、通常の雑誌プラス版型を縮小した「バッグサイズ」の併売など出版社の試行錯誤と、担当者の創意工夫がそこかしこに見えてくる。【2013.01.28】

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=9FXcNBiU_R8]

MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店で書店員歴11年目を迎える石丸敬太さんは雑誌コーナーの担当者。5年前に入社して以来、雑誌ひと筋のエキスパートだ。
同店の主な客層は20代から50代の女性層。なかでも20代・30代が多いため、石丸さんは棚作りにあたり、あることに配慮したという。「雑誌コーナーはお客様が密集しやすい空間ですので、たとえ背中合わせでも異性の存在が気になるときもあると思います。そこで当店では一番人気の女性誌コーナーを出入口近くのオープンな空間に配置し、雑誌の棚全体もおおまかに〈女性棚〉〈男性棚〉に分けて、お互いに気兼ねなく雑誌選びに集中していただける空間をご用意しています」。

狂騒的な付録ブームのさなか、女性誌は飛ぶように売れた。今は落ちつきを取り戻し、再び雑誌本体の内容を重視する傾向に戻ってきているのではないかと石丸さんは読んでいる。
「これは付録ブームがまっただ中だった頃の話ですが、付録だけが欲しくて雑誌は捨てるお客様もいらっしゃったという話を聞くのは雑誌担当者として本当につらかった。昨年男性ファッション誌の『POPEYE』が思いきったリニューアルに踏み切ったのも、作り手が何を発信したいのかをもう一度問い直す原点回帰の流れの一つだと思います」。

その作り手の思いを伝える媒介として石丸さんが特に重要視しているのが「写真の存在」だ。「版型が大きい雑誌の魅力はなんといっても写真、特に表紙の写真です。カルチャー誌の『Pen』や『BRUTUS』を見ても写真がいい号は店頭でもいい場所に置いてたくさんの人に見てほしいという意欲がわいてきます」。

また、雑誌は特集の内容によっても売れ行きが大きく左右する。「たまに通常の路線からはみ出したユニークな特集、例えば男性誌の料理特集とか女性誌のデジカメ特集とかをそれぞれ料理やカメラ専門の棚に並べると、その雑誌を知らなかったお客様も手に取ってくださるので、常に関連性を意識しながら並べるようにしています」。作り手の苦労に報いる雑誌担当者の創意工夫が見えてきた。

取材もあらかた終えた頃、個人的には歴史本も好きだと教えてくれた石丸さん。たまたま接客した女性のお客様の「海外にいる孫に送りたい」という歴史本探しに一役買ったところ、それ以降は石丸さんを頼みに来店してくれるようになったという。
「書店員冥利につきます。最近お見えになっていないので立ち寄るだけでもお顔を見せてもらえたらうれしいですね」と、再会を心待ちにしている。
Store picture

雑誌のバックナンバーは札幌市内でも屈指の品揃え。「ここに来てようやく見つかったよ、とお客様にも好評です」



日本SF作家クラブとのコラボ企画「SFブックミュージアム」も実施中!


Basic information

【  住    所  】札幌市中央区南1条西1-8-2 丸井今井南館B2~5F
【 電 話 番 号】011-223-1911
【 営 業 時 間】B2〜4F書籍売場 10時〜21時 5F文具売場は 10時〜20時 (日曜日は10時〜19時半)
【 定  休 日  】年中無休


菊地さんがセレクト! 3冊のおすすめ本

1)井上荒野著「それを愛とまちがえるから」(中央公論新社)
没交渉となってしまった夫との関係。夫婦それぞれに恋人もいて・・・。一見冷めているように思える生活をズルズルと続ける理由とは?!日常のほんの小さな出来事を描きながらも、事の本質をスルリと見せてくれる手法は著者ならでは!男と女の微妙な温度差がシニカルでありながらどこか笑いを誘ってしまう一冊。
2)嵐山光三郎著「桃仙人小説深沢七郎」(中央公論新社)
小説「楢山節考」で鮮烈な文壇デビューをした深沢七郎。本書は埼玉のラブミー農場で隠遁生活を送っていた深沢オヤカタを慕って弟子入りした嵐山光三郎のオヤカタへのラブレター。人間の業を描いて右に出る者のいないオヤカタが嵐山光三郎自身をバッサリ斬り捨てるまでを描く。ヒリヒリとしてせつなく、アクマのように魅力的な一冊。
魅力的な装丁本)「地図の中の札幌 街の歴史を読み解く」堀淳一著 (亜璃西社)
札幌の出版社「亜璃西社」が創立25周年に記念出版した一冊。地図エッセイの第一人者である著者が札幌の街を180枚にも及ぶ地図から読み解く。札幌の沿革略史や吸収された市町村。なつかしい旧定山渓鉄など、普段なじみのない地形図も、自分の歩いている街なら目で追うだけで立体で見えてくるのが不思議!!地図ファンならずとも楽しめる1冊です。

MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店のフェア情報

「SFブックミュージアムフェア」 開催中~2013年2月末日まで開催
創立50周年を迎えた日本SF作家クラブの記念フェア。アシモフやカート・ヴォネガットJr.、フィリップ・K・ディックにブラッドベリなどなど新旧、国内、海外を問わずSF作家が勢揃い!!読み逃していた作品を手に取ってみるのもまた一興です!!
「日本を見つめよう」フェア開催中~2013年2月末日まで開催
「日本のならわし」や「年中行事」、その文化を礼法やしきたりの本などから見直したフェア。二十四節期にみる日本の行事はお正月の神社へのお参りから始まって意外と心の中に根付いているもの。これを機会に自分の中の日本を再確認してみてはいかがでしょう?!

週間売筋ランキング 対象期間平成25年1月17日~1月24日

文庫
第1位:「夜行観覧車」湊かなえ 著(双葉社)

第2位:「植物図鑑」有川浩 著(幻冬舎)

第3位:「永遠の0」百田尚樹 著(講談社)
文芸書
第1位:「私服だらけの中居正広増刊号~輝いて~Part.3」(扶桑社)

第2位:「何物」朝井リョウ 著(新潮社)

第3位:「別れる力 大人の流儀③」伊集院静 著(講談社)
ビジネス書
第1位:「アメリカは日本経済の復活を知っている」 浜田 宏一 著(講談社)

第2位:「できる大人のモノの言い方大全」 話題の達人倶楽部 著(青春出版社)

第3位:「スタンフォードの自分を変える教室」 ケリー・マクゴニガル 著(大和書房)
趣味生活書
第1位:「小倉優子の幸せごはん」小倉優子 著(講談社)

第2位:「イギリス式 昔ながらの小さな暮らし」井形 慶子 著(宝島社)

第3位:「使いきる。有元葉子の整理術」 有元葉子 著(講談社)
児童書
第1位:「児童文学キッチン お菓子と味わう」 小林深雪(文)(講談社)

第2位:「トリフのクリスマス」 アンナ・カリー 著 (くもん出版)

第3位:「小学館こども大百科キッズペディア」(小学館)

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