撮影場所は札幌市中央区の直営店「Siesta Labo.」。ネットショップ「SAVON de SIESTA」で人気商品の実物を手に取ることができる。
[2020.1.27]
書店ナビ:敏感肌のための肌にやさしい石けんブランド「SAVON de SIESTA」(サボンデシエスタ)は、札幌の附柴彩子さんが2005年に立ち上げた手作り石けん工房から始まりました。
ネットショップと直営店が軌道に乗り始めた2011年に法人化し、現在は夫の裕之さんと二人代表取締役体制で15人のスタッフとともに活動しています。
「毎日の暮らしに、ココロがホッとするひとときを贈る」というコンセプトを丁寧に守り続けている姿勢は、全国のお客様から高く評価され、年に一度「全国の最も優れたネットショップ」を表彰するカラーミーショップ大賞では2015年におもてなし賞、2018年には地域賞を受賞。「札幌らしい」優れた商品として札幌市から『札幌スタイル』認証を受けています。
書店ナビ:毎月の限定商品も大変好評で、札幌市中央区の電車通り沿いにある実店舗「Siesta Labo.」(シエスタラボ)ではさまざまな企画展やライブ、ワークショップなども開催しています。
札幌の人気カフェ「アトリエモリヒコ」も併設し、ショッピング前後のひと休みにもおすすめです(ケーキがおいしい!)。
一方、夫の附柴裕之さんは北大の大学院理学研究科博士課程前期を修了後、高機能ジェルを使った商品開発に取り組む株式会社GEL-Design(ジェル・デザイン)を創業します(現在は解散)。
お弁当箱のフタにジェルを内包し、フタを冷やせばそのまま保冷剤となる「ジェルクール」は同社の大ヒット商品に。現在は室蘭に工場を持つ会社に引き継がれ、海外でも販売されています。
他にも札幌スタイル機構の代表理事や北海道大学新渡戸スクールのメンターを務め、まちづくりや人材育成など多岐にわたった活動をしている附柴さん。
てっきりビジネスや地方創生系のフルコースかと思いきや…「心を越えて人生の目的を見つける本」とは驚きです。
附柴:千葉の田舎で育ち、小さい頃から昆虫や動物、自然に囲まれてきたからでしょうか、「自分はなんでここにいるんだろう?」「生まれる前はどこにいたんだろう?」「死んだあとはどこに行く?」という疑問がつねに頭から離れませんでした。
他のことでも、自分が気になるのは「ありかた」と「やりかた」があるとしたら前者のほう。物事の根底に流れる「原理」に興味があるんです。
人物も、Apple創業者のスティーブ・ジョブズのように世のありかたを大きく変えた人たちにたまらなく惹かれます。
でも「自分はなんでここにいるんだろう?」という質問には誰も答えてくれないので、いろいろ本を読んでいるうちに「ああ、こういうことだったのか」と腑に落ちる回答を与えてくれたのがこの5冊です。
附柴:神社に関係する本を読んでいたら、著者が「無人島に1冊持って行くならこれ!」と勧めていたので手に取り、数時間で一気に読み終えました。
そこまで夢中になったのは、もしかして千葉生まれの自分もサンチャゴのように胸中の導きに従って北海道に来たのではないかと素直に思えたから。
いわゆる”熱しやすく冷めやすい”性格で、先が見えた瞬間に興味を失う自分にとって、知らない土地やはじめての体験ほど心がわきたつものはありません。
ベンチャー企業を立ち上げたり、知らない分野に手を伸ばしたりして気がつけば北海道生活も26年が経ちました。思わぬ出来事や正念場もありましたが、ひとつひとつの経験が人生の大切な宝物になっています。
この本はそうした初心に返ることができる、まさに自分にとっての《前菜》本。とても読みやすくて子供から大人まで楽しめると思います。
書店ナビ:特にお好きな場面は?
附柴:恋人との出会いがいいですよね。人生はいつか、その人に本当に必要であり大切な人やモノ、コトに出会う。そんな出会いの積み重ねによって帰るところができた幸せを感じます。
書店ナビ:2019年の世界的なベストセラーで、公式サイトを読むと著者のアレックス・バナヤンさんは現在28歳。The youngest bestselling business author in American history と紹介されています。
本書に登場する彼は当時19歳。人生をナイトクラブにたとえ、最初の扉は99%の人が入ることができ、2つめの扉はVIP用。そしてその先に世界を変えた成功者たちが通過したThe Third Doorがあることを私たちに教えてくれます。
附柴:友人から「この本を知ったら附柴さんの顔が浮かんだよ」と教えてもらい、自分も先日読み終えました。
「成功の秘密を知りたい!」と体当たりインタビューに挑むアレックス青年ですが、ツテなんてありません。スピルバーグに会うにはあるセミナーに勝手にもぐりこみ、ビル・ゲイツには外堀から埋めようと周囲の人に自分を売り込んでいく…つまりは彼がインタビューを実現したくてとる行動はどれもが初体験で未開の道。
The Third Doorの秘密を聞き出そうとする彼自身が自分のThe Third Doorを開ける道のりを読者は追体験できるんです。
書店ナビ:なるほど!セレブたちが自分の成功談を語る普通のインタビュー集と一線を画する面白さは、そこにあるんですね。
「ひとりの青年の心の旅、という意味で現代版『アルケミスト』だと言ってもいいと思います」
附柴:しかも少しネタバレをしますと、会いたい人全員に会っているわけではないんです。だからこそ、めちゃめちゃ面白い。
私も起業をしたとき、当時起業は”ちょっと変わった人間がする”時代でしたから(笑)、非常識な行動の連続で知らず知らず、自分のThe Third Doorをノックしていたのではないかと思います。
実はこの扉は皆さんの身近にもある”どこでもドア”なのに人はなぜ、くぐろうとしないのか? それは知らないから、だと思います。
楽しみながらその存在を知ることができる本書で、皆さんの人生も変わるかもしれません。
書店ナビ:著者の飯田さんは「生きがい論」の提唱者。経営学の教授でしたが2009年から個人の研究室を立ち上げ、現在は経営心理学者・カウンセラー・コンサルタント・音楽療法家として活動しています。
この「生きがいの創造」はシリーズになっており、本書の厚さが…922ページ!文庫なのに重い!附柴さん、よく読み切りましたね。
附柴:それが読み始めたらあっという間でした。この本は私が尊敬する経営者が転勤する部下に勧めていらしたのを知って、自分も買いました。
そして読後、自分が長年持ち続けていた人生の問い、「自分はどこから来てどこへ、そしてなぜこの人生を?」という一連の疑問がすべて霧が晴れたように解消したんです。
こう言うと、きっとアヤシク聞こえることは重々承知していますが、でも本当のことなのでこう言うしかない(笑)。
飯田さんは経営という目に見えないものを扱ってきた学者なので自説の展開が非常にロジカル。理詰めで考えたいタイプの私にも違和感なく納得できる展開だからこそ、さくさく読めたのだと思います。
書店ナビ:「生きがい」は、よく「人生の生きがいを見つけた」というように目標や使命とも置き換えられますが、それを見つける本ということでしょうか?
附柴:はっきり言ってしまいますが、少し違います(笑)。
そこで使われている「生きがい」はきっとディープな趣味みたいなもので、飯田さんの「生きがい」は人生が終わったあとを意識したものです。永遠の魂となり、その一生を振り返ったときに2つの自己評価の軸があると。
それは「どれだけ愛したか」と「どれだけ自分の良心に従うことができたか」。その2点で後悔することがないように今の人生で自分の魂を磨きあげる生き方をしようとする姿勢、それが飯田さんの説く「生きがい」です。
こうやって表現するのは簡単ですが、それを実践するとなると本当に難しい。私も反省することばかりです。
書店ナビ:簡単に「理解できました」とは言えませんが、読む人の人生経験によっても大きく響くところが異なりそうですね。
目次を見て気になるところからページを開いてもいいかもしれない。
附柴:現代社会は科学偏重で、ストレスが尽きることのない生活が続いていますが、そのなかで自然体の自分を保ち、より良く生きるための勇気が湧いてくる一冊です。
書店ナビ:ヨギとはヨガを広める伝道師のこと。パラマハンサ・ヨガナンダ(1893~1952)は「西洋ヨガの父」と呼ばれた偉大なヨギだったそうです。あとがきには1914年に来日し、神戸に数日間滞在したことも書かれており、
2016年には『永遠のヨギー ヨガをめぐる奇跡の旅』というドキュメンタリー映画も公開されました。
附柴:今回のフルコースはこの《肉料理》が真っ先に決まりました。あのスティーブ・ジョブス(1955~2011)が生涯愛読し、毎年1回読み直し、しかも死後、自分の追悼式でも参列者に800冊配ったとされるのが本書です。
「ジョブズがそこまで入れ込むなんて?」と読み始めた一回目は、全く意味が分からずすぐに挫折。
長いこと本棚の肥やしになっていましたが、その後インド哲学を学んでからもう一度読み始めるとその内容の素晴らしさが理解でき、私も毎年1回愛読するようになりました。
物質社会の象徴のようなアメリカでヨガブームが起きていることは果たして希望なのか反動なのか…いずれにせよ、ヨガの本質に片鱗たりとも触れることができる、本当の意味での入門書です。
書店ナビ:2日本人にはおなじみ、まる子ちゃんタッチの表紙にほっこりします。
附柴:これまでご紹介した4冊をうんとやさしくまとめたのがこの本です。私たちの住む地球は太陽系の一部で、その太陽系は天の川銀河系の中の無数にある辺鄙な場所にある星団のひとつ。その天の川銀河系さえも、無限の宇宙の中で無数にある銀河の中のひとつに過ぎません。
だとすれば、わたしたち地球人を宇宙全体で例えると、アマゾンの奥地で文明とはかけ離れた原始的な生活をしている民族のような存在なのかもしれません。
その考えで言うと、宇宙人アミと地球の「ぼく」はまるで大都会のNYっ子と電気も通っていない田舎の子。アミは世界の広さも、その広い世界での生き方も知らない少年にいろいろなことを教えてくれます。
テンポのいい会話で話が進み、ときおり表れる挿絵にほっとする。
書店ナビ:メインディッシュの2品がかなりの満腹度。もしかすると一番やさしそうな《デザート》を食べてから《前菜》へと進んでもいいでしょうか。
附柴:それもありだと思います。結局のところ、ビジネスもお金も人間関係やモノの循環も根底にあるのは思想です。
目先の利益だけにとらわれたりしてスタートからズレていると、人生のゴールも間違ってしまうかもしれない。
今回ご紹介したどの本からも、より良い生き方につながる、良い思想を育むためのヒントが得られると思います。
肌に優しいこと、を第一に考えてつくるSAVON de SIESTAの石鹸は、厳選した植物油やハーブなどを使い1000年以上続く伝統的な製法で、1カ月以上かけてひとつひとつ丁寧に手づくりしている。お店の奥の窓から工房が見えるのもこだわりのひとつ。赤ちゃんや敏感肌の方にも愛用者が多く、アズキ、ラベンダー、白樺、はちみつ、酒粕など、北海道の素材を使っているのでお土産としても人気がある。
附柴:
「SAVON de SIESTA」についてはこれからも良い思想に基づいて商品やサービス、そして実店舗「Siesta Labo.」の活動の質を高める垂直展開で、スキンケアにとどまらず、くらしや心の豊かさを生み出すトータルなご提案をしていきたいと考えています。
書店ナビ:進学や卒業、転勤、転職など人生の岐路に立つ若い方々にもぜひ関心を持ってもらいたい附柴さんの心の旅フルコース、ごちそうさまでした!
住所:札幌市中央区南1条西12丁目4-182 ASビル1F
営業:11:00~19:00 火曜定休
TEL: 011-206-0710
駐車場:4台(アトリエモリヒコと共有)
千葉県茂原市生まれ。北海道大学大学院理学研究科博士課程前期修了(理学修士:生物科学専攻)。バイオベンチャー勤務を経て2004年、株式会社GEL-Design設立(2016年代表取締役退任)。2011年、株式会社Savon de Siesta設立。2014年より代表取締役会長。札幌スタイル機構代表理事。札幌スタイル委員。北海道大学新渡戸スクールメンター。講道館柔道弐段。
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