北海道書店ナビ　 第104回　文教堂書店北49条店

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心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか？

東8丁目篠路通沿いに建つ文教堂書店北49条店は3年前からホビー商品も取り扱い始めた複合店。広さ350坪を書籍・文具・ホビーの3分野でほぼ均等に分割している。郊外型には珍しく平日午後早めの時間帯でも人の出入りは活発だ。【2012.12.24】

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=bIiVW7IRtY0]

文教堂書店北49条店の北澤靖店長は書店員歴26年の大ベテラン。札幌市内にある文教堂約半分のお店での勤務経験があり、この道一筋の頼れる書店員だ。ここ北49条店に着任したのは6年前から。「書籍・文具・ホビーの複合店という強みを活かしながら、お客様にどれだけ面白がっていただけるかを追求した店づくり」を掲げている。

向かいにホームセンターやスーパーがある立地上、顧客の柱はファミリー層。平日は近隣の地元客が訪れ、土日になると遠方からの車組が週末のお楽しみを探しに訪れる。
3年前から始めたホビーは人気商品を探し求めて九州や京都からも問い合わせがあり、年末年始の繁忙期には途切れることなく全国に商品を発送し続けているという。

こうお話をうかがうと、郊外型複合店という華やかさが売りの北49条店にも思えてくるが、実は北澤店長が思い描く理想の書店像は「地元のお客様に愛される気さくなご近所本屋さん」にあるという。
「おこづかいを握りしめてやってくる子どもたちにとって人生で初めての本屋が当店だとしたら、これ以上の喜びはありません。初めはコミックが目当てでもだんだん隣の本に目が移り、そのうち“何か面白い本はないかな”と店中を歩きまわってもらいたい。子どもたちが本と最初に出会う大切な場所になれたらうれしいです」

アダルト色の強い表紙は平台に置かず、できるだけ「サシ」にするのも子どもたちへの配慮があればこそ。「大人のお客様は自力で探せるはず。親御さんがわが子を一人でも安心して行かせられる本屋でありたい」という姿勢を貫いている。

北海道本が並ぶ棚に案内してもらうと、平積みされているムック本『工場見学 北海道』が目についた。「これ、面白いんです。きっと好きな人がいるだろうと思って多めに注文して仕掛けたところ、当店から火がついて他の文教堂でも置くようになりました」。売れ筋だけに頼らず、こうした仕掛け本を広い店内のあちこちにさりげなくしのばせるのがなんとも楽しい、と北澤店長は笑う。
「一見フツウの本屋ですが、中を歩けば“こんな本もあるの？”という驚きを提供できる“変わり者”本屋」を見渡しながら、今日も次の仕掛けに思いを巡らせている。

Store picture

Basic information

【  住    所  】札幌市東区北４９条東８丁目３ー５
【 電 話 番 号】011-733-2281
【 営 業 時 間】10：00～22：00
【 定  休 日  】年中無休

北澤店長がセレクト！3冊のおすすめ本

1）吉村昭著「総員起シ」（文藝春秋）

昭和20年樺太・千島からの引き揚げ船「小笠原丸」が留萌沖で正体不明の潜水艦に撃沈された事件を題材にした「鳥（からす）の浜」を含む吉村昭の短編集。私たち道民がかつて体験した戦史秘話が吉村氏の圧倒的な描写で迫ってきます。以前、40代か50代の男性のお客様が「叔父が千島からの引揚者で、小笠原丸が題材になった小説があるというのだけれど…作者の名前はわかっています」というお問い合わせを受けたことがありまして。吉村作品を片っ端から読んで本書に辿り着きました。後日ご本人がいらっしゃったとき、私は不在でしたが、とても喜んでくださったそうで全部で6冊ご注文いただきました。

2）ジュール・ヴェルヌ著「海底二万里」（新潮社）

生まれて初めて読んだ長編小説で、確か福音館書店が出していた古典シリーズの一冊だったと思います。小学校の高学年ごろ、学校から帰るのが待ちきれずに夢中になって読みふけった潜水艦ノーチラス号とネモ艦長の冒険譚。この新潮社版は上下に分かれた新訳ですが、福音館書店版にも載っていた原書の木版画が全て再録されています。長く読み継がれてほしい少年の、男のための名著です。

魅力的な装丁本）高城高著「夜明け遠き街よ」（東京創元社）

物語は1984年バブルに沸く札幌ススキノ。東京以北最大の歓楽街でうごめく男と女の群像劇にふさわしい表紙が、道民にはおなじみの夜のススキノを映し出しています。作者の高城さんは函館出身の77歳。元北海道新聞社の記者だから書ける濃密な世界が繰り広げられます。

文教堂書店北49条店のフェア情報

冬はあったか　お鍋でほっこりフェア　開催中～2013年1月31日まで

鍋料理のレシピフェアです。体を温めて健康的に寒い冬を乗り越えよう！（文教堂各店で実施中です）

文教堂限定復刻文庫フェア　開催中～2013年1月31日まで

清水義範「ＭＯＮＥＹ」、新津きよみ「彼女の命日」、伊野上裕伸「火の壁」、香納諒一「雨の中の犬」、谷甲州「白き嶺の男」ほか　文教堂各店で開催、隠れた名作、傑作を復刊！！大好評！！

週間売筋ランキング　対象期間平成24年11月11日～11月18日

文庫

第1位：「悪の経典（上・下）」　貴志祐介　著（文藝春秋）
第2位：「インタビュー・イン・セル」　真梨幸子　著（徳間書店）
第3位：「春の珍事」　佐伯泰英　著（角川春樹事務所）

文芸書

第1位：「拉致と決断」蓮池薫　（新潮社）
第2位：「海賊と呼ばれた男（上・下）」　百田尚樹　著（講談社）
第3位：「覚悟」　栗山英樹　著（ベストセラーズ）

ビジネス書

第1位：「人生がときめく片付けの魔法2」　近藤麻理恵　著（サンマーク出版）
第2位：「日本人はなぜ中国人韓国人とこれほどまで違うか」　黄文雄　著（徳間書店）
第3位：「2013年長谷川慶太郎の大局を読む」　長谷川慶太郎　著（ビジネス社）

趣味生活書

第1位：「はくだけスリッパダイエット」（成美堂出版）
第2位：「ＧＥＴＴＡＭＡＮメソッド肩甲骨ダイエット」　ＧＥＴＴＡＭＡＮ　著（廣済堂出版）
第3位：：「世界のなめこ図鑑」　金谷泉　著（角川書店）

児童書

第1位：「モンハン日記ぽかぽかアイルー村3」　相坂ゆうひ　著（角川書店）
第2位：「らくだい魔女のデート大作戦」　成田サトコ　著　（ポプラ社）
第3位：「三毛猫ホームズの事件日記」　赤川次郎　著　（角川書店）