[2026.2.13]

1月25日、三省堂書店札幌店で北海道出身のミステリ作家、櫻田智也さんと伏尾美紀さんの対談が行われた。「本屋で自分のコーナーは立ち寄れないけれど知らない本の背表紙を見ているだけで楽しい」(伏尾さん)。「大学時代に書店に入りびたりミステリを読みまくった貯金で今作家をやっています。本屋は人生の奇跡を起こしてくれる場です」(櫻田さん)
北海道の読書環境向上を目的とする一般社団法人北海道ブックシェアリング。代表理事の荒井宏明さんとSNS等で繋がっている方々にはすでに知れ渡っていることだが、過去に何度も取材にご協力いただいた書店ナビでも改めてこちらにまとめておく。
2026 年1月7日午後11 時30分ごろ、江別市の大麻銀座商店街のバイク店で火災が発生。ブックシェアリングの事務所を含め隣接する建物9棟に火が移り、事務所は活動停止状態に陥った。幸い夜半だったため人身被害はなかったという。
ここからは荒井さんが1月31日に各方面に送信したニューズレターから引用する。
北海道ブックシェアリングは2008年に設立。心あるボランティアメンバーとともに読み終えた本の再活用や読書イベント・ワークショップの開催、学校図書館づくりのサポートなどを通して、北海道の読書環境整備に努めてきた。
そうした功績が認められ2020年にはNPO法人知的資源イニシアティブ(IRI)が授与する「Library of the Year」ライブラリアン賞を受賞。
公式サイトに掲載されている選考委員長コメントによると「2018年の胆振東部地震では、図書館復興の先頭に立ったこと、書店のない地域に行ってブックフェスティバルの開催、また今年春には学校図書館サポートセンターを開設し、自治体の学校図書館づくりの本格的支援に乗り出したことなど、数々の地域の課題に向き合い、真摯に地道で戦略的な努力を重ねてきたことが評価されました」とあり、まさに”北海道にブックシェアリングあり”という実績を積み重ねてきた。
ところが設立20年まであと少しというタイミングで今回の災禍に見舞われ、荒井さんそして事務所はどうなっていくのかと周囲が心配する中、退院から10日後の2月9日、荒井さんのFacebookが更新された。
「一日1~2時間程度のデスクワークか、近所での短時間の散歩ができるぐらいです。でもまあ少しづつ良くなっている感はあります。声もまだ掠れたままで、長時間の会話ができません(中略)まずはリハビリ頑張ります!」
新事務所兼書庫については市区町村を含め設置場所を検討中(80?120平方メートル想定)。読み終えた本の受け入れや読み終えた本を必要とする団体への無償提供、学校図書館アドバイザー派遣事業などの活動は5月以降に再開が予定されている(変更の可能性あり)。
荒井さんの快復を待つ間、当面の連絡先はメールhk_bookshare@yahoo.co.jp まで。まずは大黒柱の荒井さんにしっかりとからだを立て直すことに集中してもらいたい。
「ブックシェアリングにお見舞金・義援金を送りたい」という方は、ぜひ下記の支援専用プラットフォームSyncableへ。
https://npoproject.hokkaido.jp/dofund/?page_id=340
荒井さんたちの事務所があった大麻銀座商店街では2015年から毎月最終土曜になると「大麻銀座商店街ブックストリート」が開催され、古本市やビブリオバトルなどに本好きが集まるスポットだった。
商店街を愛する有志たちが立ち上がり、支援ファンドも始まっている。
いくつもの荒廃した読書環境を耕してきたブックシェアリングを、今度は私たちが耕す側に。ささやかながら北海道書店ナビからも支援の輪を広げたい。
建築ムック本『北海道建築』執筆者としての荒井さんの側面はこちらから。

2026年1月21日、北海道ゆかりの”鈍器本”が誕生した。1280ページの背幅は約6cm、重量約1500g。片手では持てない。「150人が語り、150人が聞いた 北海道の人生」が詰まっているからだ。
『北海道の生活史』(北海道新聞社)。監修は生活史を専門とする京都大学大学院文学研究科教授の岸政彦先生。『東京の生活史』『大阪の生活史』(いずれも筑摩書房刊)、『沖縄の生活史』(みすず書房刊)に続くシリーズ4冊目に当たる。公式サイトで目次が公開されている。


1月19日、関係者に献呈本を送る梱包作業が「聞き手」有志によって行われた。
本書は生活協同組合コープさっぽろの60周年記念事業のひとつとして発案され、編集制作を北海道新聞社に依頼して実現したもの。北海道新聞社が事務局となり、一般公募による「聞き手」150人を選考と抽選により決定した。
「語り手」は「聞き手」が選び(家族・親類が多かったという)、聞き取り前や執筆期間中に対面・オンライン双方で何度も岸先生による研修会が行われた。「積極的に受動的になる」姿勢を求められる「聞き手」の戸惑いやあるいは何時間にもわたって聞いた話のどこに焦点を当てたらいいのか、さまざまな問いかけを皆で共有した。
本書に関してはまた続報をお知らせしたいが、すでに店頭に並んでおり、1月21日の発売初日には砂川のいわた書店で早速1冊目が売れるなど、北海道の書店で堂々たる存在感を放っている。

ポップがなくてもとにかく目立つ!
札幌の古本屋・出版関係者3人がひたすら本について語るYouTubeチャンネル「札幌ほんぽんぼん」でも本書が紹介されている(『北海道の生活史』紹介は50:07から)。
鈍器本”の迫力と価格4,950円(税込)に圧倒されそうになるが、上記の動画でも語られているとおり「一人として同じ人生を歩んでいない」という事実が1冊に綴じられたことでより説得力を伴って迫ってくる。
書店ナビライターも発売日から読み始めて今30人まできた。一人ごとに感想ノートをつけていて、それを一気に読み直す日が待ち遠しい。

札幌本社の三元社印刷株式会社がお届けするクリエイターとのコラボ文房具企画。ただいま北広島市と札幌市で同時にポップアップSHOPを展開中だ。
デザイナーたちによる紙ならではのアイデアが紙好き・文具好きたちの心をくすぐるラインナップ。ぜひお立ち寄りを!
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