NOMAD BOOKSの森田千琴さん。2025年1月11日から午後営業の俊カフェを借りて、午前中「喫茶NOMAD BOOKS」を開店中。
札幌・北18条のSeesaw Booksや白老町のまたたび文庫など、近年の独立系書店の開業準備に用いられるのが定着してきたクラウド・ファンディング。
昨年末にもブックカフェ「本と喫茶 NOMAD BOOKS」のプロジェクト「札幌市内でお一人様専用の読書室を併設した書店を作りたい!」が始まった。2025年春に開店を目指す店主の森田千琴さんにお話を伺った。
札幌市内でお一人様専用の読書室を併設した書店を作りたい! – CAMPFIRE (キャンプファイヤー)
札幌生まれ・札幌育ちの森田さん。大学卒業後、公務員の職を得たが、組織が期待する人間像とのギャップに悩み、自分に合う仕事を探していたという。
転機は2023年12月、親戚の結婚式で訪れた名古屋市でいつもの通りご当地の書店に入り、たまたま手に取ったのが働き方研究家西村佳哲さんのロングセラー『自分をいかして生きる』(ちくま文庫)だった。
その中に「働くことを通じて『これが私です』と示せるような、そんな媒体になる仕事を求めているんじゃないか」という一文を見つけ、小さい頃から好きだった読書をベースに「自分のように社会の中でどこか居場所がないと感じる人たちの居場所になる空間を作りたい」とブックカフェの起業を決意。2024年8月に6年間の公務員生活を終えた。
森田さんが影響を受けた3冊。「『ナリワイをつくる』はサブタイトルの〈人生を盗まれない働き方〉にグッときました」
書店や飲食店経験はなく、何もかも初めてづくし。「自分の目で、耳で、手足で実感したことを頼りに作っていきたい」とすべて独学と自力で築き上げた人脈で今日を迎えている。
物件探しで苦労する中、「うちでやらない?」と物件を貸し出してくれたのは札幌市中央区の本屋「ラボラトリー・ハコ」店主の山田真奈美さんだし、ショップカードのデザインに手を挙げてくれたのは2024年9月にSeesaw Booksで開催された古本市に出店したときに知り合ったデザイナーの溜美香さんだ。
外食先で意気投合した人物にブックカフェ開業の夢を語ったところ、知り合いの建築家を紹介された。そしてその建築家がさらに信頼のおける内装業者を紹介してくれるなどの良縁続きに、森田さん本人が一番驚いているという。
「学生時代から周囲が求めるような役割や効率を最優先する社会の雰囲気に馴染むことができなくて、いつも”違う”と責められているような気がしたけれど、開業に向けて動き出したら、自分の夢や言葉を否定しないで聞いてくれる人がこんなにもいることに気づくことができました」と目を輝かせて語り、前を向く。
ずっと書きためている読書ノートを見せていただいた。心に響いた一節を書きとめ、反芻する。同様のカフェ探訪ノートもあるという。
森田さんが「応援したい」と思われるのは、本人がもがきながらも積み重ねてきた時間の中に自分だけでなく、かつての自分のような誰かを思いやろうとする小さな強さを皆が読み取るからではないだろうか。同業者たちも妹分のような空間の立ち上がりをやさしく見守っている。
NOMAD BOOKSのクラファンプロジェクト「札幌市内でお一人様専用の読書室を併設した書店を作りたい!」は、支援募集の最終日までに集まった金額がファンディングされるオールインタイプ。支援募集は1月26日(日)まで。
「夢中になって付箋をつけてたらこんなにいっぱいになっちゃって」(笑)
札幌市内でお一人様専用の読書室を併設した書店を作りたい! – CAMPFIRE (キャンプファイヤー)
2024年12月頭、棚が完成。棚オーナー制度について説明中の「ぷらっとBOOK」発案者、星野恵さん
札幌市中央区南4条東3丁目にオープンする多世代交流を目指すシェア型書店「ぷらっとBOOK」の続報をお届け。当初1月予定だった開店が伸び、2月1日オープンが発表された。
【NEW OPEN】札幌に多世代が交流できるシェア型書店を作りたい!|ぷらっとBOOK
最新情報はInstagramなどのSNSおよびnoteで発信中。現在は棚オーナーを募集中だ。
棚オーナーは「店番あり」「店番なし」の2種類あり、棚のレンタル費が前者は月額3300円、後者が6600円。100人規模のオーナーが寄り合うことを考慮し、店番あり・なしに関わらず全員が預かり金を入れるデポジット制を採用している。
「ぷらっとBOOK」は通常の書店と異なり、常駐のスタッフを置かず、棚オーナーが交代で店番を務めることができる日にのみ店を開ける(お客として来店したい時は事前に営業日をチェックする必要がある)。
この店番制で人件費の負担を軽くし、同時に棚オーナーたちも一日本屋さん体験を通じて来店者との交流が楽しめる。書店ナビライターも店番ありのコースで申し込んだ。
成約後のやりとりはLINEがメイン。タイムラインに全オーナーの投稿が反映され最新情報を追いかけるのが大変だが、参考になることもあるため、申し込み後しばらくはまめなチェックがおすすめだ。
好評の合同出店企画「文具収穫市」が江別蔦屋書店でただいま開催中!
出店メンバーは書店員経験もあるイラストレーターのいそのけいさん、「本のようなノート」を得意とする石田製本の「bocco」(ぼっこ)、大人も使える洗練されたデザインスタンプのMA7stamp、贈り物にも選びたい楽しい紙文具の三元社印刷の4ブランド。
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