知的書評ゲーム「ビブリオバトル」は、2007年に京都大学で生まれた本の紹介ゲームです。毎年、専門学校生や大学生、大学院生を対象にした「全国大学ビブリオバトル」が行われ、北海道書店ナビでは昨年の
北海道地区決戦に密着。
今年も11月29日に室蘭工業大学で開催された北海道地区決戦Bブロックのレポートをお届けします(北海道からは地区別に2名の代表を送りこんでおり、北海道地区決戦Aブロックは前日に深川市の拓殖大学北海道短期大学で行われました。学生有志による司会・運営でとどこおりなく進められ、投票人数は36名。チャンプ本等の詳細は本記事の末尾に掲載しています)。
〈ビブリオバトル公式ルール〉
1 発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
2 順番に一人5分間で本を紹介する。
3 それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2〜3分行う。
4 全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする。
もちろん今回の全国大学ビブリオバトル2015もこのルールにのっとって行われ、北海道地区決戦でも冒頭に司会者が上記のルールを読み上げてから、この日のバトラーが紹介されました。
[5分を使いきるプレゼン&質問タイム]がスタート!
トップバッターの伊藤健作さんは「皆さんは自分がダメ人間だと思ったことはありますか?」というドキリとする問いかけで、5分間のプレゼンをスタート。「自他ともに認めるダメ人間が主人公」の『誘拐ラプソディー』を紹介しました。
続く南貴仁さんのバトル本は、卓球の福島愛選手のフィジカルトレーナーも務めたことがある著者の下半身筋トレ本。スリムな体型の南さんがなぜこの本を?という疑問には、「生来のやせ型を維持できるのは30歳までと知り、この本を手に取りました」という説明に皆が納得の表情でした。
「気軽に試せるエクササイズも載っています」
三人目は紅一点の宮本悠加さん。「恋愛SFモノ」と紹介した小説『空の中』の入り組んだ物語設定を解説したのち、「人間同士でありがちな“言いたいことは伝わっているだろう”という思い込みに気づかされました」と打ち明けます。「相手に伝えることの大切さを学びました」という一言が印象的でした。
手を使って表情豊かにプレゼンしてくれた宮本さん
4番目の大浦一馬さんは開口一番、「皆さん、ノーベル賞はご存知だと思いますが、イグノーベル賞のことを知っている方はいらっしゃいますか?」と質問。“裏ノーベル賞”ともいわれるイグノーベル賞の解説本を取り上げます。
質問タイムには「一番くだらないと思ったイグノーベル賞は?」と聞かれ、「学術雑誌『ネイチャー』に何度も論文を投稿し続けた人が“よく頑張りましたで賞”的に受賞しているのが面白かったです」と回答し、参加者の関心を集めていました。
本にはフセンがぎっしり。「一番面白いページのフセンが一番高く飛び出している」のだそう。
最後のバトラーは国民的人気コミック『ワンピース』を持ってきた宮崎敬太郎さん。「九州にいる母親に、置いてきた『ワンピース』を送ってと頼んだら、“きっと読んでばっかりで大学に行かなくなるからダメ”と言われて、今日持ってきたのは自分で買いました」と、いきなり笑いを誘います。同郷である作者の“九州愛”が作品の随所に潜んでいることを披露し、立派にトリを務めていました。
「九州で有名な“四校”とワンピースの“四皇”は、実はかぶってるんです」
結果発表、12/23の首都決戦に出場するのはこの人!
5人の発表後、司会者を除く参加者全員の投票が行われ、お待ちかねの結果発表の瞬間がやってきました。
全国大学ビブリオバトル2015の北海道代表2名のうち、道南エリアのBブロックから選ばれたのは……志村幸雄著『笑う科学 イグ・ノーベル賞』を紹介した室蘭工業大学の大浦一馬さんです!おめでとうございます!
「練習不足で言いたいことの3分の1も言えませんでした。首都決戦の前にしっかり練習します!」
決戦は2015年12月23日(水・祝)、東京のよみうり大手町ホールで開催されます。全国各地の地区決戦を勝ち抜いた大学生たち30名が出場し、思いのたけをこめたプレゼンを繰り広げます。
11月28日に行われた北海道決戦Aブロックでダニエル・キイス著『アルジャーノンに花束を』がチャンプ本に選ばれた北見工業大学1年の髙橋毬百(まりも)さん、そしてBブロックから選ばれた大浦一馬さんお二人の健闘を祈って、ここをご覧の皆さんからも熱いエールを送ってあげてくださいね!
北海道決戦Bブロック参加者の皆さん、お疲れさまでした!
※結果は後日、北海道書店ナビのFacebook等でお知らせいたします。