[2020.4.13]
今週の北海道書店ナビは2020年4月に聞こえてきた本にまつわるニュースをお届けします。
札幌市中央区にある出版社、柏艪舎(はくろしゃ)が2020年4月3日から新企画「本を宅配でレンタル 柏艪舎まるごと読み放題!!」を始めました。
“出版社が本を売らずに貸し出すとはどういうこと?”
発案者の一人でもある編集の可知佳恵さんにお話をうかがいました。
「コロナ対策で外出を控えている、あるいは入院中などさまざまな理由で書店から遠ざかっている方々に何かできることはないかと社内で考えたのが、当社が出版している書籍を対象とする宅配レンタルの《読み放題》です。
“本は読みたいけれどこれ以上増やしたくない”という方にもお気軽にご利用いただけるとうれしいです」
コースは月額3000円と4000円(どちらも税別・国内送料無料)の二種類。前者は本体価格3000円以下の書籍が対象となり、後者は柏艪者の全書籍が対象となります。
「4 000円コースは当社渾身の『完本 丸山健二全集』も対象に含まれています。買えば1冊6000円の全集を気になる巻だけ読むことができる、とてもお得なコースになっています」
手順は次のとおりです。郵送・FAX・メールで申し込み、前払い後に柏艪舎のネットショップから借りたい本を選ぶと、一度につき1冊の本が郵送で届く。返却期間は到着後一カ月。読後は次に借りたい本を記入した申し込み用紙と一緒に同封の返却用封筒に入れてポストに投函するだけ、という実に簡単なシステムです。
「一冊借りるごとに1ポイントを贈呈し、10ポイントたまると当社の書籍対象の500円割引券として使えます(柏艪社から直接購入する直販のみ)。
まだ始まったばかりですので、これからお客様の声を聞きながら柔軟によりよい方法を探っていこうと考えています」
柏艪舎の本は、2018年3月にNHKで内野聖陽主演でドラマ化された『満州 奇跡の脱出』や池上彰の番組で紹介された『ANA857便を奪還せよ』など、”不自由”や”非日常”を強いられた人びとがたくましく生き抜いたノンフィクションも多数ラインナップ。
いまを生きるヒントが詰まった一冊との出会いをご自宅でお楽しみください!
2020年4月7日に発表された「本屋大賞2020」。栄えある大賞は凪良ゆう著『流浪の月』(東京創元社)が受賞しましたが、同時に旧刊を対象とした発掘部門「超発掘本!」が発表されたことは皆さん、ご存知でしょうか。
こちらは2018年11月30日以前に刊行された本の中で書店員が「これは!」と思うものをエントリーし、その中から特に共感を呼んだ一冊を実行委員会が選出して決めるもの。
今回はその「超発掘本!」に北海道の岡本書店恵庭店、山口榛菜さんの推し本『無理難題が多すぎる』が選ばれました!
山口さんが本屋大賞に参加したのはこれが2回目。
「当店の文庫棚を見ていたときに目に飛び込んできたのが、この本でした。きっとそのときの自分の心情と重なっていたのかも(笑)」
土屋氏の本を読んだのはそのときが初めてだったそうですが、昨年再読してその面白さを再確認し今回のエントリーにいたったということでした。
本屋大賞の公式サイトには推薦者の山口さんと著者である土屋氏のコメントを掲載。下記に一部引用しますが、どちらも思わず吹き出してしまう全文はぜひサイトでご覧ください。
「哲学者の土屋先生による、特にありがたくはないお言葉の数々。
等身大で、クスリと笑えて、特に救われない。
でも、なんとなく、ダメな自分が、そのまま、
ダメなままで、生きていてもいいような気がする。
そんな優しいエッセイです」(山口さん)
「これまで皆勤賞からノーベル賞まで、一切の賞とは無縁でしたので、「受賞を潔しとしない清潔・孤高の文筆家」として生き、「失意の文豪」として死んでいこうと覚悟した矢先でした。しかも今をときめく「本屋大賞」の一つですから、大変光栄なことと思っております」(土屋氏)
『発掘部門』投票結果 2020年本屋大賞 | これまでの本屋大賞 | 本屋大賞
「超発掘本!」発表後、山口さんにお話をうかがった。
山口:「土屋先生のエッセイを読むと極端な意見を述べられていることが多いんですが、それは決して偏見を助長しようというのではなくて、そんなことを言っている自分がまったく相手にされてなくてカッコわるい、みたいな自虐的なオチがある(笑)。そういうところにも優しさを感じます。繰り返しになりますが、今回選んでいただき本当にありがとうございました。公式サイトに載っている土屋先生の『お礼のことば』がとってもうれしかったです!」
新型コロナウイルス感染症対策として北海道に「緊急事態宣言」が出されたのは2020年2月28日のことでした(3月19日で解除)。
北海道書店ナビでは3月9日から3週にかけて急きょ、北海道の読書人による選書集「いま、あなたとシェアしたい この本を このことばを」を三週連続で掲載。
心労が募るいまこそ大勢で分かち合いたい本をお一人一冊ずつ選んでいただきました。
二週目に登場してくれた文教堂北野店の若木ひとえさんも太田愛著『天上の葦』(KADOKAWA)を力強いメッセージとともに紹介。
そしてうれしいことに店頭でもフェアを実施してくれました!現在は早速、本屋大賞を展開中!
文教堂北野店(札幌) (@bun_kitano) | Twitter
上記の文教堂北野店のように北海道の読書人による選書集「いま、あなたとシェアしたい この本を このことばを」フェアを店頭で仕掛けたい、という書店や図書館さんは、どうぞご自由に展開してください。
その際どこかに「北海道書店ナビ提供」と明記のうえ、私どもに「やってますよ~」とお知らせいただけますと喜んで情報拡散をお手伝いいたします。Facebookのコメントやメッセージも大歓迎!ご連絡お待ちしています。
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