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北海道書店ナビ  第131回 向陽堂

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?


店の前にずらりと並ぶたばこの自販機が目印、千歳の向陽台にある、その名も「向陽堂」。店の歴史は約30年。創業者から幾人かを経て、11年前に現店主の馬場あかねさんにバトンが渡された。地元相手の商売が続いている。[2013.7.8]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=I1ucwkcgh1Y]

書店というよりは「商店」と呼びたくなるような店がまえの向陽堂。創業30年近くの同店を現在は馬場あかねさんが切り盛りしている。営業は月曜から土曜まで。午前10時に店を開け、午後1時半で一度昼休憩に入る。「昼は一度家に帰ってごはんを食べたり大事な用事を済ませたり。私が経営を引き継いだ当初はパートさんにいてもらいましたが、いまは一人でやっているので無理をしない範囲で続けさせてもらっています」。営業再開は午後3時から、夜7時に店じまいとなる。

「売上の柱?コミックです。お客様はほとんど常連の方ばかり」。馬場さんに店の紹介をしてもらっていると、たまたま来店した20代の男性がコミックを10冊近くも大人買い。あまりにもグッドタイミングに声をかけると、「地元にお金を落とさないと」と照れ笑いしながら答えてくれた。
レジ横や壁に貼ってある手描きイラストは、近隣の子どもたちが人気コミックの主人公や好きなキャラクターを描いて持って来てくれたもの。貼り続けて傷んだ原画はコピーに差替えた。「ずっと飾ってあげたい」という馬場さんの心遣いだ。
毎週決まった曜日にやって来る〈あの人〉もいれば、立ち話も兼ねて週に三度顔を出す〈あの人〉もいる。顔が浮かぶ常連客に支えられての毎日だが、一方で「最近は来てくれる子どもたちが目に見えて少なくなりました」というさみしい現状からも目をそらせない。

高台にある向陽台エリアの人たちは千歳の中心街に行くことを「下に行く」という。ちょっと読みたい本があるときは下に行かずともぜひお近くで。まちの名前を冠した書店が住民の来店を待っている。
Store picture



地元の文芸誌は平台でも一番いい場所に置いてある。



取材中、偶然コミック大人買いの現場に遭遇!「仕込みじゃないですよ(笑)」(20代男性客)





近所の子どもたちが持って来てくれた手描きイラスト。


Basic information

【  住    所  】千歳市白樺2丁目4‐5
【 電 話 番 号】0123-28-3631
【 営 業 時 間】10:00~13:30/15:00~19:00
【 定  休 日  】日曜日


向陽堂からのお知らせ

トレーディングカードゲームを扱っています!


馬場さんがセレクト! 3冊のおすすめ本

1)「faura」(有限会社ナチュラリー)

北海道の自然を紹介する季刊のネイチャーグラフィックマガジン「faura」は毎回美しい写真が楽しみ!さながら“北海道版ナショナルジオグラフィック”といったところでしょうか。北海道に住んでいても案外知らないことは多いもの。見応えのある写真で北国の大自然を堪能できます。長く続けてほしい地元誌です。


2)青野春秋著「俺はまだ本気出してないだけ1」(小学館)

毎週文庫を買っていってくださるお客様がノベライズをお読みになり、「面白かったわよ!」と勧めてくださったのがきっかけで私もハマりました。40歳から一念発起して漫画家を目指す主人公と彼を取り巻く人々の哀しくもほっこりした世界観がとてもいい。世間に切り捨てられてる人たちへの応援歌です。


3)太宰治著「人間失格」(集英社)

太宰治の自伝であり遺書ともなった作品です。2007年に刊行された新装版では『デスノート』『バクマン』『ヒカルの碁』などのヒット作を手がけた小畑健さんの表紙が目を引き、当店でも学生さんたちが買って行かれました。小畑さんはこのあとも集英社の夏文庫フェアで芥川龍之介の『地獄変』、夏目漱石の『こころ』の表紙を描いています。

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