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北海道書店ナビ  第133回 文教堂千歳店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?


JR千歳駅隣接のショッピングモール「ペウレ千歳」3階のワンフロアをまるごと占める文教堂千歳店。中央エスカレーターをぐるりと取り囲む700坪で、文具やCD・DVDも販売。駅利用者の来店を呼びかけている。[2013.7.22]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=b1CnYLpaud4]

ワンフロア700坪という千歳地区最大級の規模を誇る文教堂千歳店。店が入る複合商業施設「ペウレ千歳」(ペウレはアイヌ語で「若い」の意味)は、札幌の通勤・通学圏である千歳市のJR駅隣接。1階のガストや手芸店、ファッション・雑貨店等の構成から女性客が多く、3年前からその3階を占める文教堂もやはりOLなどの女性層に支えられている。

「当店で一番売れ行きがいいジャンプコミックも年々、女性客の割合が増えるばかり。『進撃の巨人』などハードな内容の少年コミックを読む女性が増える一方で、その逆はまだ珍しい。そう考えると、『宇宙兄弟』のようにどの層にも幅広く受け入れられる作品は強いですね」。新岡耕治店長の分析だ。

主力であるコミックやラノベの棚は隙間なくみっしりと詰まった選び放題の品揃え。ラノベ好きは複数買いも少なくないため、つねに商品を切らさない安定感が次回の来店につながるという。

ぜいたくな広さが自慢の同店だが、現在の課題は男性客の取り込みと店推しの仕掛けを明確に打ち出すこと。「JR隣接という場所柄、ライバルは札幌の書店さんだと考えています。ただ新刊を並べるだけでなくこの書店にくれば何かある、そう思っていただける情報発信地になれるよう知恵を絞っていきたいです」。
Store picture


女子にはラノベが、男子にはボーカロイド系が人気。



各所に据え付けの飛び出し棚で話題書や推し本を紹介。



全国の書店を巡る「ツール・ド・本屋さん」の“疾走漫画家”横山裕二さんが描いた『大泉洋エッセイ』のPOPを発見!


Basic information
【  住    所  】千歳市千代田町7丁目1789-3ペウレ3F
【 電 話 番 号】0123-27-5050
【 営 業 時 間】10:00〜22:00
【 定  休 日  】年中無休

新岡店長がセレクト! 3冊のおすすめ本

1)朝井リョウ著「桐島、部活やめるってよ」(集英社)
映画化も話題を呼んだ、直木賞作家のデビュー作。表紙の雰囲気とかタイトルからか、軽めの小説に思われがちだが、実は違うんです!一部では村上春樹のようと評されるように、とにかく文章表現が繊細で美しい。変わった擬音や映像が浮かんでくるような比喩はコミック文化を通過した新しい文学だなあと、とも思わせる。
何気ない高校生活に、一人の部活退部によって静かに波紋が拡がってゆく。日常に起こるわずかなズレ、感情の揺らぎを、それぞれの視点から描き出す。思春期特有の“半径数メートルの世界”が絶対では無いとそれぞれが気づいてゆく。その美しく儚いさまに感動させられました。ちなみに「桐島」は一度も登場しません(笑)平成日本版「ライ麦畑でつかまえて」!?どの年代にもおすすめできる文学作品です。
2)片野道郎著「モウリーニョの流儀」(河出書房新社)
理論派で、情熱的で、時に皮肉屋。選手を守る為なら自ら矢面に立つ。今、世界一かっこいいおっさんはこいつじゃないか―。
もっとも成功しているサッカー監督、モウリーニョのイタリアでの挑戦を描いたノンフィクション。初めは異国での文化の違いに戸惑い、結果も伴わず苦悩の日々を送る。だが見事に逆境を跳ね返し、日を追うごとに周りに認められ、成功を収めていく。そして、歓喜の瞬間は訪れるのだ。サッカーファンじゃなくても楽しめる。最高級エンタメドキュメンタリー。
3)村上春樹著「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」(文藝春秋)
今年最大のベストセラーですが、私はこの本の装丁に注目して皆様にオススメしたいと思います。発色にいい光沢のある白地にカラフルなボーダー。よく見るとペンキが滴り落ちたように描かれていて現代アートぽい感じもある。職業柄、一日何十冊もの本の装丁をチェックするが、箱を開けておーっと唸ったのは久しぶりかもしれない。
本のタイトルにもリンクしてはいるがどこかミステリアス。つい手にとって読みたくなるし、最初の数ページを読むともう引き込まれてしまう。個と世界のつながりを小説に落とし込む村上ワールド全開の一冊。

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