北海道書店ナビ

北海道書店ナビ  第113回 くまざわ書店アリオ札幌店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?


北海道書店ナビ初登場のくまざわ書店は東京・八王子本社の全国チェーン。すでに帯広や釧路、旭川、函館などに出店しているが、札幌アリオ店は道内の同書店中、最大の広さを誇る。魅力いっぱいの新店を訪ねた。[2013.3.4]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=t9nRqbMmZ7o]

2013年2月20日、札幌東区のショッピングモール「アリオ」3階に「くまざわ書店」がオープン。旧丸善の300坪をそのまま引き継ぎ、「アリオから書店がなくなるのでは?」と危惧していた来館者に笑顔で迎えられた。店内にはベンチが14脚、検索機が5台あり、本探しや長居に対する配慮が行き届いている。

店に入り最初に目に留まったのは「北海道の本」コーナー。通常、北海道本は棚1、2本で収まる書店が多いところをくまざわ書店では人目につきやすい店頭、しかもレジ横の一角をたっぷりキープ。北海道本には雄大な自然や野生動物を題材とする写真集・雑誌が多く、本の顔である表紙をアピールできる面陳は出版社にとって何より嬉しい販促展開だ。地元の良書を応援しようという姿勢にまずは大きな拍手を送りたい。

丸善時代からニーズが高かった絵本・児童書の取り扱いは、「こどものほん」コーナーとしてさらにパワーアップ! 天井まで届く“大きな木”を模したディスプレイを置いたり、床いっぱいにコアラやフラミンゴなどのかわいい動物イラストを描いたりと、こどもたちが喜びそうな空間演出に力を入れた。3月から毎月第一日曜午前11時の「おはなし会」も始まり、今まで以上に通いたくなる本屋さんになりそうだ。

ショッピングモールで時間をもてあましがちな男性陣にはビジネス本や専門書の充実もお知らせしたい。店の奥にある「書評の本」コーナーでは北海道新聞をはじめ朝日や読売、日経の主要各紙ほかビジネス誌で紹介された話題書をラインナップ。張り出された新聞の書評ページを見ながら実物を手に取ることができる。

旭川・帯広・函館など北海道の主要都市ではすでに姉妹店が地元に根づいているくまざわ書店だが、札幌での知名度は先行する大手を追いかける現状だ。森田健嗣店長は「北海道で一番大きなくまざわ書店である当店は道内のフラッグショップ。これから毎月キャラクターショーやサイン会などのイベントを開いて、みなさんに足を運んでいただける機会を増やしていきたいです」と意気込みを語ってくれた。
Store picture

「こどものほん」コーナーでかわいいとんがり屋根の什器を発見!



この広さに注目!地元作家や出版社を応援する北海道本コーナー(画像1)




この広さに注目!地元作家や出版社を応援する北海道本コーナー(画像2)




主要各紙やビジネス誌の書評コーナー。



300坪の広さに配慮し、店の奥まで見渡せる開放感を重視


Basic information
【  住    所  】札幌市東区北7条東9丁目2番20号アリオ札幌3F
【 電 話 番 号】011-750-9225
【 営 業 時 間】10:00〜21:00
【 定  休 日  】年中無休

森田店長がセレクト! 3冊のおすすめ本

1)ダニエル・L・エヴェレット著「ピダハンー「言語本能」を超える文化と世界観」(みすず書房)
ピダハンはアマゾンの奥地に暮らす400人にも満たない少数民族。「右と左」の概念もなければ色の名前も神様もいない、という彼ら独自の認知世界を言語人類学者の著者がユーモアたっぷりに綴る科学ノンフィクションです。言語学者であると同時にキリスト教の伝道師でもあるエヴェレット氏ですが、西欧思想を根元から揺るがすピダハンの世界に触れていくうちにとうとう…この続きはぜひ本書でお確かめください!
2)松岡正剛著「松丸本舗主義 奇蹟の本屋、3年間の挑戦。」(青幻舎)
丸善・丸の内本店4階に2009年オープンした伝説のブックストア、松丸本舗。僕も何度か行きました。文庫や新書、新刊といった従来のカテゴリーにとらわれず、タイトルや題材を手がかりにして棚をつくる〈意味陳列〉など、書店員なら一度はやってみたかったことを目の当たりにした衝撃は今も忘れられません。2011年の閉店までの3年間、松丸本舗が業界に投げかけたものは非常に大きいと感じています。ディスプレイと売上の関係性やお客様の思考に近い棚づくり…教わることが多かった松丸本舗ヒストリーです。
3)「きのこ絵」(パイインターナショナル)
ビロードを思わせる赤地に金色の箔押しという格調高い表紙がすでに一枚の絵画のよう。装丁を含め見て楽しめる一冊としておすすめしたいのがこの菌類図鑑です。18〜20世紀に描かれた世界中の “きのこ絵”は博物学の資料でありながら、まるでアートのような美しさ。昆虫学者のファーブルや粘菌研究の南方熊楠が描いた菌類図譜も収録されています。一昨年流行った「なめこ栽培」とはひと味もふた味も違うきのこワールドに誘ってくれる美本です。


北海道書店ナビ初登場のくまざわ書店は東京・
八王子本社の全国チェーン。すでに帯広や釧路、旭川、函館などに出店しているが、札幌アリオ店は道内の同書店中、最大の広さを誇る。魅力いっぱいの新店を訪ねた。[2013.3.4]

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