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北海道書店ナビ 第 65回 文教堂書店北野店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?

北野通りと清田通りが交差する北野3条2丁目は、ホーマックやラルズストアなど地域密着店が集まる買い物エリア。その一角に文教堂書店北野店がある。3年前からレンタルのGEOと統合した現在の形になり、集客を増やしている。【2012.2.20】

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=UY1K11wbQF8]


北野店の現場をあずかる宮川亜紀男さんにお話をうかがったところ、店舗面積は約400坪。書籍で約180坪を占め、文房具が60坪、その残りがセルCDやレンタルスペースにあたる。
「単独の書店時代から数えると、北野での開業は20年近く。通い続けてくださる近隣の方々に支えられての今日です」
複合店である強みを生かし、ブームに先駆けて韓流関連の書籍をレンタルコーナーに置いたり、文房具特集の雑誌のそばに実物を並べたりと、多面的な展開も積極的に行っている。

常連客の大半は時代小説が好きなご年配層。佐伯作品など新刊が出るたびにチェックするファンもいれば、新刊をきっかけにシリーズを一気読みしたくなったという「大人買い」もある。日中の時間帯は時代小説専用の棚に顔なじみが集まってくるという。

次に目にとまったのは、江別在住の作家「小路幸也」専用棚。手作りPOPの中に本人のサインも発見!明らかにイチオシ棚であることが伝わってくる。
この“小路棚”の提案者は文庫・文芸担当の若木さん。宮川さんから「うちの宝です」と言われるほど、厚い信頼を得ている読書通だ。前職は小学校の司書を務め、「デビュー作から応援している小路さんの作品をたくさんの人に読んでほしくて書店員になった」ほどの熱意で店頭PRを続けている。
小路ワールドの魅力を尋ねると、「あたたかさです」と即答してくれた。「今回オススメした『Coffee Blues』もそうですが、登場人物が皆、お互いに一番いいようにと考えながら前進していくところ。作者自身が投影されていると思います」

他にも文庫「真夜中のパン屋さん」のそばに添えられたフェルト製のパンや児童書コーナーで見つけた人気者“ほげちゃん”のぬいぐるみなど、若木さんのお手製ポップが店内を楽しく飾り付けていた。
「若木の他にも、ポップ描きや文房具のディスプレイが上手なスタッフが多くて、自分はみんなに頼りっぱなし」と笑う宮川さん。
だが、思い思いのこだわりや特技を持つスタッフに自由に任せるのも、楽しい書店となる要因の一つだ。長く通い続ける北野の人たちも、きっとそんな店の空気が気に入っているのかもしれない。
Store picture



若木さんお手製の「ほげちゃん」ぬいぐるみ



スタッフの力作は書籍にとどまらず文具も素晴らしい展示!



常連客が集まるという時代小説コーナー


Basic information
【  名    称  】文教堂書店北野店

【  住    所  】札幌市清田区北野3条2丁目

【 電 話 番 号】011-883-8036

【 営 業 時 間】朝 10:00〜夜 24:00

【 定  休 日  】年中無休

文芸担当の若木さんがセレクト!3冊のおすすめ本

1)小路幸也著「Coffee Blues」(実業之日本社)
今年の1月に出たばかりの新作。東京千住の古い木造家屋を改装して作った喫茶店<弓島珈琲>が舞台の物語です。常連さんも、事件も、修理してもらいたい家具までもがやってくる風変わりな店の主はダイ。本編では脇役ですが(笑)、店ではPOPイラストが得意なスタッフに表紙の後ろ姿を参考に<正面バージョン>を描いてもらって、店頭での宣伝に一役買ってもらっています。
2)相場英雄著「震える牛」小学館
刑事が2年前の未解決事件を追うところから始まるフィクションですが、その先に広がる企業、社会の実態を描いた問題作。生産地に暮らす道民必読の一冊です!安全安心は本当か、企業はどこまで利益を最優先するのか。問いかけの重さに、読後身震いがします。作者の相場英雄氏は元時事通信社経済部記者。この作品で初めて知ったという方も多いと思いますが、この人はこれから出てくると思います!
装丁の美しい本)恩田陸著「ユージニア」(角川書店)
まず紗がかかったような表紙の裏に驚き、文字の配置で遊ぶ帯に降参し、見返しや扉の有り様にいたっては「!!! 」。本文も単語ごとに字の大きさを変えたり、ページによっては斜めにレイアウトしたりと、不安定な作品世界に寄り添う仕掛けがあちこちに。2005年に出版され、直木賞の候補作品となった本書ですが、すでに文庫化されているため、この素晴らしい装丁の単行本を目にする機会は少ないと思います。どこかで見かけたら、ぜひお手にとって確かめてみてください。

週間売筋ランキング 対象期間平成24年1月30日〜2月5日

文庫
第1位:「傍開き」 長岡弘樹 著(双葉社)
第2位:「疑心: 隠蔽捜査3」 今野敏 著(新潮社)
第3位:「歪笑小説」 東野圭吾 著(集英社)
文芸書
第1位:「蜩ノ記」 葉室麟 著(祥伝社)
第2位:「ピンクとグレー」 加藤シゲアキ 著(角川書店)
第3位:「女性に贈る100文字の幸福抄」 池田大作 著(主婦と生活社)
ビジネス書
第1位:「心を上手に透視する方法」 トルステン・ハーフェナー 著(サンマーク出版)
第2位:「人生がときめく片づけの魔法」 近藤麻理恵 著(サンマーク出版)
第3位:「9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方」 福島文二郎 著(中経出版)
趣味生活書
第1位:「寝たままでやせる!骨盤クッション枕ダイエット」 松永みち子 著(日本文芸社)
第2位:「続・体脂肪計タニタの社員食堂」 タニタ 著(大和書房)
第3位:「向井 理、ビストロ修行 ハングリー!な簡単レシピ53」 向井理 著(マガジンハウス)
児童書
第1位:「アーサー・クリスマスの大冒険」 ジャスティン&ロン・フォンティス 著(メディアファクトリー)
第1位:「ほげちゃん」 やぎたみこ 著(偕成社)
第1位:「ドラえもんTVシリーズ名作コレクション」 藤子・F・不二雄 原作(小学館)

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