北海道書店ナビ 第41回 北大生協書籍部クラーク店
書店所在地はこちらをご覧下さい。
心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?
広大な北大キャンパスの南端。クラーク会館そばの生協会館2階にある書店を訪ねた。組合員のための生協だが、書店の利用は学外の人間も受け入れているという。北海道唯一の総合大学にふさわしい知の書がぎっしりと並ぶさまは、圧巻の一言だ。[2011.8.22]
北大生協書籍部クラーク店の菊池通子店長
案内役は2010年から北大生協書籍部クラーク店の店長となった菊池通子さん。以前は新入生向けの教科書などを取り扱う北部店勤務だった。「生協は北大の教職員や学生たちで構成される組合員さんのためのお店です。蓄積された売上データをもとに各店のニーズに合わせた品揃えを重視しています」。
北大は道内唯一の総合大学であり、水産学部を除く11学部が広大な札幌キャンパスに点在している。聞けば、生協書籍部の各店で担当学部を分け、北部店は医・歯・獣医・工学部を受け持ち、南側に建つクラーク店では農・理・薬、そして文・法・経済・教育の人文系4学部の専門書を置くという。
自分の学び舎に近い書店で欲しい本が探せるように、と組合員の利便性を配慮した構成だ。
確かにクラーク店の中を見渡すと、人文・経済や自然科学、法律・就職に関する棚の充実ぶりがすごい。買っていくのは第一線の研究者やその卵たちである。彼らの知的探究心を刺激し、有効な論文資料となる棚揃えが、担当者に求められている。
「手前味噌になりますが、人文・経済の担当者はベテラン書店員。先生方から絶大な信頼を集めています。安心して各棚を任せられるスタッフが多く、異動2年目の私は大変助けられています」。
また、全国の大学生協では「大学4年間で本を100冊読もう!」がキャッチフレーズの読書マラソンを実施中。エントリー後に読んだ感想を書くと、冊数に応じて割引券がもらえる。壁のコメントカードを見ると、100冊や200冊を軽く超えるツワモノたちによる感想が、そのまま参考にしたい読書ガイドになっていた。
「在学中にいろいろなジャンルをたくさん読んでいただきたいので、勉学以外の本も豊富に取り揃えています。組合員限定のサービスはご利用になりませんが、一般の皆さまのご来店もお待ちしております」と菊池店長。まちの書店とはひと味もふた味も違う“知への誘い”を体験してほしい。
北大総合博物館の展示「LEPIDOPTERA(レピドプテラ)空を舞う昆虫たち チョウとガの世界」にあわせたブックフェアも実施中
北海道や北大関連の書籍が並ぶ北海道大学出版会の棚
在学中に読書の枠を広げてほしいと、学術書以外のエッセイや話題書、文庫なども置く
菊地店長がセレクト!3冊のおすすめ本
1)外山滋比古著「思考の整理学」(筑摩書房)
1986年に発行された本ですが、全国の大学生協で読み継がれていて、いまだに年間のベスト10に顔を出すロングセラー。研究論文を書くために論理的に考える力を必要とする大学生たちには、時代や専攻を超えて格好の入門書になっているようです。
2)新渡戸稲造「武士道」(岩波書店)
北海道大学の前身である札幌農学校の副校長を務めておられました新渡戸稲造博士。五千円札にもなった北大が誇る先人のお一人です。「武士道」はたくさんの出版社から出ていますが、この岩波文庫は定評があり、北大生以外にも広く読まれています。
3)宮部金吾・工藤祐舜著、「北海道主要樹木図譜」(北海道大学出版会)
北大の付属組織に「北海道大学出版会」があり、主に学術書を出版しています。この「北海道主要樹木図譜」は画工・須崎忠助による見事な表紙図が目を引く植物図鑑。樹木の美しい図が満載で、見ているだけでも楽しいです。本書から選りすぐりを収録したポストカード集も販売しています。
週間売筋ランキング 対象期間 平成23年7月1日〜7月27日
文庫
第1位:「図書館革命」 有川浩 著 (角川書店)
第2位:「図書館戦争」 有川浩 著 (角川書店)
第3位:「図書館危機」 有川浩 著 (角川書店)
文芸書
第1位:「おおきなかぶ・むずかしいアボカド」 村上春樹 著 (マガジンハウス)
第2位:「囮物語」 西尾維新 著 (講談社)
第3位:「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」 北海道大学高等教育推進機構 著 (北大出版会)
新書
第1位:「原発のウソ」 小出裕章 著 (扶桑社)
第2位:「グリーン・エコノミー」 吉田文和 著 (中央公論社)
第3位:「大震災のなかで」 内橋克人 著 (岩波新書)