サツドラオフィス2階に広がるBOOK LOUNGE。12月11日に開かれたトークイベントも見学した。
[2020.12.21]
北海道産木材の書架にゆとりをもってレイアウトされた本、本、本。書店でも図書館でもない場所で、ここまで大量の本がある空間は珍しい。
サツドラのイベントスペース「BOOK LOUNGE」を見学させていただいた。
2020年9月28日、サツドラは札幌市の東区北8条東4丁目に1階が店舗、3階が本社機能の新オフィスを設立。
ドラッグストア経営からさらに視野を広げた「地域コネクティッドビジネス」を掲げ、2階には地域のヒト・モノ・コトをつなげるシェアオフィス空間「EZO HUB SAPPORO」を設けている。
キッチンもある会員制コワーキングスペース「HUB SPACE」。
その中でも人が集まる拠点となるのが、およそ約3,000冊の本が並ぶ「BOOK LOUNGE」だ。シェアオフィスの利用者を想定し、「ビジネス」「テクノロジー」「コミュニティ」「サスティナブル」「アート」の本を選書したという。
利用者はBOOK LOUNGEの蔵書を自由に閲覧・借りることができる。
階段はベンチにも書架にもなり、よく見ると北海道関連の本もある。
階段を上がると役員の選書や社の蔵書「サツドラライブラリー」があり、サツドラの全員が共有したい仕事のやり方や判断軸を学べる書籍「サツドラウェイ」コーナーがあるところも面白い。
「何ごとも自分ごとにし、自ら行動しよう」の棚にはグレース・ボニー著『自分で「始めた」女たち』が、「まわりのヒトを喜ばせてファンをつくろう」の棚には『スノーピーク「楽しいまま! 」成長を続ける経営』が置いてあった。
こうしたオープンな選書がサツドラという会社を知る広報の役目も果たしている。
書架の後ろにはサツドラ本社が。北海道で企業と地域の一体化をはかるオフィススタイルの先駆けになりそうだ。
案内役を買ってでてくれたサツドラホールディングス株式会社の富山浩樹代表取締役社長は「今後は日曜にここを地域の方々に開放することも考えています」と、話す。
「北海道のアートも展示し、本にまつわるイベントも定期的に開催したい。地域コネクティッドを実践する場として多様性のある使い方をしていきたいです」
取材当日の12月11日は富山社長も立ち上げメンバーになっている北海道経済コミュニティ「えぞ財団」とのコラボトークイベントが行われた。
2020年6月から活動を開始した「えぞ財団」は個人・企業を問わず会員募集中!北海道の熱い経済人たちの動向をリアルタイムで知ることができる。
ゲストに「えぞ財団」のメンバーであり、2018年に出版した『福岡市が地方最強の都市になった理由』の著者である木下斉氏を迎え、同書の解説や北海道との比較にまで話がふくらんだ。
BOOK LOUNGEにも木下氏の本が充実。日頃Kindle派の富山社長は「このスペースを作ってからリアルな本の一覧性の高さがわかり、紙の本を買うことが多くなりました」
コロナに揺れた2020年を振り返ると北海道はインバウンドが激減し、ドラッグストア業界も大打撃を受けた。そのなかでサツドラは新オフィスが立ち上がり、「えぞ財団」では富山社長自らが聞き手となり、企業のトップに話を聞くコンテンツも評判だ。
「コロナ前は東京や海外を含め道外への移動が多かったんですが、こうなった現在は北海道の中に目が向き、新しい可能性に気付いたり思い入れが深まった一年になりました。移動ができない時期だからこそ出会えた仲間もいます。地域のために自分たちにできることを見つけて前に進んでいきたいです」
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