北海道書店ナビ

第327回 有限会社インターリンクジャパン 代表取締役 阿部 さおりさん

5冊で「いただきます!」フルコース本

書店員や出版・書籍関係者が
腕によりをかけて選んだワンテーマ5冊のフルコース。
おすすめ本を料理に見立てて、おすすめの順番に。
好奇心がおどりだす「知」のフルコースを召し上がれ

Vol.93 有限会社インターリンクジャパン 代表取締役 阿部 さおりさん

2011年には『北海道のワインを旅する』を出版。20カ所の道内ワイナリーを訪ね歩いた。


[本日のフルコース]
北海道産ワインをプロモート!阿部さおりさんに聞く
「もっと知りたい!ワイン本」フルコース

[2017.6.5]


書店ナビ 『北海道のワインを旅する』(北海道新聞社)の著書、阿部さおりさんは、「食」「観光」「環境」「音楽」を柱にしたイベントプランナーであり、ワインを通したまちづくり・地域ブランドづくりを各地で推進しておられます。
阿部さんがワインにハマッたきっかけはなんですか?
阿部 東京から北海道にUターンして26歳のときだったでしょうか。それまでお酒は好きでしたが、どちらかというとビールや日本酒党でワインは全く飲んではいなかったんです。
それが知人が開催するワイン会に参加して、チーズと赤ワインの食べ合わせを体験してビックリ! 苦手だったチーズをぐっとまろやかにしてくれたワインの魅力をもっと知りたくなって、ハマっていきました。
そのときの赤ワインの銘柄ですか? イタリア・ヴェネト州のアマローネです。

北海道のワインを強く意識するようになったのは、室蘭出身の私にとって同じ胆振管内の洞爺湖町にある月浦ワインの白、2000年のファーストヴィンテージを飲んでから。
オーナー・岸本雅直さんが手がけるブドウ品種「ミュラートゥルガウ」の清涼感やこれまでの道産ワインにはない香りの美しさに衝撃を受け、以来、北海道のワインをたくさんの方に知っていただけるようなイベントづくりにも力を入れています。


[本日のフルコース]
北海道産ワインをプロモート!阿部さおりさんに聞く
「もっと知りたい!ワイン本」フルコース


前菜 そのテーマの入口となる読みやすい入門書

アル・ケッチァーノ 奥田政行のちゃちゃっとイタリアン
奥田政行  小学館

“庄内イタリアン”で世界に名を轟かせている奥田さんの料理は、まるでサイエンス。新鮮素材を塩で仕上げるプロの秘密レシピ75を紹介。




書店ナビ 山形県生まれの奥田政行さんは日本が世界に誇るイタリアンの料理人。2006年には「世界の料理人1000人」に選出され、2012年にはローマ法王やダライ・ラマ14世に謁見。
奥田さんの店、山形県庄内市の「アル・ケッチァーノ」といえば全国から食通が集まる超人気店です。
阿部 そんなにすごい方なのにご本人はまったくエラぶったところがない、私が日本で一番尊敬しているシェフです。
この本は、奥田さんが冬季限定のアルケッチャーノ・トマムをオープンされたときにお店で購入して、ご本人がサインをしてくださったもの。宝物です。

「そのときに北海道のワインを持参したら、奥田さんはそれにあわせてメニュー構成をその場で変えてくれました。普通では考えられないことで、こういう柔軟な姿勢も尊敬しています」




スープ 興味や好奇心がふくらんでいくおもしろ本

辰巳ワイナリー
辰巳琢郎  出版文化社

毎週土曜日22:00からBSフジで放送している『辰巳琢郎のワイン番組』の書籍化。ゲストが選んだNO.1ワインと日本のワイナリーガイド。




書店ナビ 芸能界にはたくさんの”ワイン通”がいますが、俳優の辰巳琢郎さんはワイン番組を長年続けてこられて、かなりお好きなようですね。
阿部 辰巳さんはシニアソムリエの資格をお持ちですし、日本ワインを愛する会副会長でもあられて、かなりの本格派だとお見受けしています。
私がライラックフェスティバルのワインガーデンを札幌市に提案し、軌道にのり始めた2010年に辰巳さんの番組が中継に入ってくださいまして、そのときに本書をいただきました。
この本をきっかけに、私も積極的に日本のワイナリーを訪れるようになりました。

あとで出てくる”デザート本”も著者からのサイン入り。愛着もひとしおだ。




メイン料理 このテーマにはハズせない《王道》をいただく

ロバート・パーカーが選ぶ[最新版]世界の極上ワイン
ロバート・パーカー  河出書房新社

アメリカのワイン評論家ロバート・パーカーが厳選する9カ国156のワイナリーとワイン400種、2500本以上を紹介。


阿部 ワイン関係者は必読の一冊です。パーカーさんが決めるパーカーポイント(PP)を指標に、世界のワインの最新情報をチェックしています。
北海道では三笠市にある山崎ワイナリーの「ケルナー2007」がPP87点を獲得。山崎さんご一家が手がける、すっきりとしたドライなおいしさにパーカーさんが注目されたのかもしれませんね。さすが、山崎さん、お見事です。
書店ナビ 阿部さんがお好きなワインを教えてもらってもいいでしょうか。
阿部 もちろん山崎さんのケルナーも自信をもっておすすめできますが、個人的にはアルザスのリースリングが大好き。
清涼感やミネラル、みずみずしさ、エレガンスなバランスが100点満点、飲むと幸せな気持ちになります。

クロスホテル札幌では毎月1回最終火曜日、道産ワインとつくり手を特集するワインセミナー「和飲(わいん)な人時間(ひととき)」を開催。ワインと食材の「北海道マリアージュ」を提唱している。




デザート1皿目 スイーツでコースの余韻を楽しんで

リゾートホテル・ジャンキー 贅沢な休息
村瀬千文  幻冬舎

極上のリゾートライフを綴る小説タッチの書き下ろしエッセイ。


書店ナビ 5冊の構成から自由に考えていただくフルコース企画、今回阿部さんは《メイン料理》を1皿とし、《デザート》を2冊ご用意いただきました。
阿部 村瀬さんは上質なホテルライフを楽しむ「ホテルジャンキークラブ」を主催しておられて、実は私も北海道支部の会員でした(笑)。当時旧ホテル名ホテルアーサー札幌で開かれた集まりのときに、本書にサインをしていただきました。
この本の副題にあるようにホテルでの「贅沢な休息」は、ワインの余韻にも通じるところがあり、気持ちをリッチにしてくれるもの。
村瀬さんが各国の一流リゾートホテルをまわった体験を小説風に仕立てた文章で、みなさんもリッチな余韻をお楽しみください。




デザート2皿目 スイーツでコースの余韻を楽しんで

ザ・パワー
ロンダ・バーン  角川書店

世界の賢者のメッセージから人生の「引き寄せ」を創造するパワーのお話。




書店ナビ 著者のオーストラリア人ロンダ・バーンさんはTVプロデューサーで、不幸が続き失意に沈んでいた50代のときに「引き寄せ」に開眼。その秘密を綴ったDVDや本『ザ・シークレット』を出したところ、世界中で大ヒット。その第二弾が本書です。
阿部さんも「引き寄せ」を実感した体験をお持ちですか?
阿部 ええ、あります。仕事の面ではイベント企画だけに頼らず、もっと展開を広げていきたいと模索していたときにさまざまな出会いがあり、いまはJALショッピングの「グルメ・ファーストクラス」に「ワインに合うグルメ」と題した北海道の食のギフトをご提案できるようになりました。
プライベートでは3年前に結婚しまして。大学のサークルの先輩だった方で、何の気なしの再会からそういうことに(笑)。
すべての出会いは偶然ではなくて、もしマイナスなことがあってもそれは何かを教えてくれるサインなんだと前向きに受け止められるようになりました。


ごちそうさまトーク 人と食、北海道と世界をつなげたい


書店ナビ 社名の「インターリンクジャパン」はどういう意味ですか?
阿部 札幌のFMラジオ局で番組制作をしていたときに、当時の在札幌米国総領事アレックス・P・ウィルジンスキーさんと親しくさせていただいてまして。私が「食の大切さを発信する仕事で独立したい」と相談にいったときに、人と情報をつなげる「Interlink」という単語を提案してくださったんです。
あとはちょっと志を大きくして「Japan」とつけて、インターリンクジャパン。
これからも世界に北海道や日本の食、道産ワインのすばらしさを発信していきたいです。
書店ナビ オンもオフもますます充実されて、ワイン色の芳香が立ち上ってきそうな阿部さおりさんのフルコース、ごちそうさまでした!

●有限会社インターリンクジャパン
●阿部さおりさん
北海道室蘭市出身。FMノースウェーブで9年間番組制作を担当したのち、2003年に独立。イベント企画事業をスタート。
2006年3月に有限会社インターリンクジャパンを設立。北海道新聞ブログ「ラグジュアリーに乾杯!」も好評連載中。












ページの先頭もどる

最近の記事