北海道書店ナビ

第210回 ゲオ北広島店

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?

北広島市の住宅街にあるゲオには、とても頼りになる書店員さんがいる。

スタッフが何10人もいるわけではないので「正直、大変」だが、任されているやりがいもあり、いい本に巡り会える喜びも。

娘と同じ年の同僚たちと楽しみながら棚をつくり、本選びの面白さを地域の方々に提供している。[2015.2.23]


[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=MdVzCf2eIEM]

「面白いですよ、この仕事」と、小気味のいい一言を聞かせてくれたのは、ゲオ北広島店書籍担当の岩崎利江さん。徒歩で通える職場だから、と働き始めて14年。地域密着の棚づくりに欠かせない人物だ。
店では一時期、本を取り扱わない時期もあったが、2013年の2月から再び書籍コーナーが復活した。「本がなかった3年間」のブランクを取り戻そうと、岩崎さんたち3人の書籍担当者が頑張っている。
例えば、以前は1本の棚におさまっていた高校参考書。近隣に北広島高校があることから書籍復活後は一気に6倍に増やしたところ、売上は上々。取材当日も男子高校生が数学の参考書を手に取って、足早にレジに向かう姿が見られた。

スペースを広げたことで売上増になった高校参考書。

近くには道都大学もあり、コミックやライトノベルの売上も高い。朝イチで入荷した新刊を棚に並べているそばから、学生たちがわらわらと集まってくる光景も珍しくないという。
シニアに人気の時代小説コーナーは、お客様とまさに一対一の真剣勝負。「ここに面白そうな既刊本をさしたの、わかります?」なんていうスタッフの仕掛けに対して、「あ、ない!売れてる!」うれしい反応が返ってくる。「熱心に通ってこられるお客様が毎回じっくりと棚を見てくださるので、こちらも手を抜くわけにはいきません」。新刊だけに頼らない提案を岩崎さんたち自身が楽しんでいるようだ。


店の立地はマンモス団地が並ぶ住宅街。
「人手の多いアウトレットや新さっぽろに行くほど遠出はしたくないけれど、家は出たい」
日・祝日には近所のファミリー層が訪れる。

「昨年から絵本にも力を入れています」。そう言って、岩崎さんが棚に飾っていた大型絵本『白鳥のみずうみ』を見せてくれた。有名なバレエ音楽の世界を美しいレース切り絵で表現したこの本と出会ったとき、「鳥肌が立つほど」感動し、思いきって複数冊入荷した。
面白さで感動する絵本をお探しの方には、『恐い海ぞくの大きな絵本 3Dポスター&世界中の海ぞくの6つの物語』(グラフィック社)がおすすめ。こちらは身長125cmの海賊の巨大ポスター付き!内ポケットにはネズミが隠れていたりと楽しい仕掛けが詰まっている。実際に見本を触ることができるリアル書店と仕掛け絵本の相性の良さに加えて、スタッフの熱意が伝わるセレクトが光っていた。


他店ではあまり見かけないアート絵本や楽しい大型絵本も豊富に取り揃えている。

「現場を任せていただいているので、やりがいがあって楽しいです」と微笑む岩崎さん。気がつけば娘の同級生が同じバイト仲間になり、「○○ちゃんのお母さん」から「岩崎さん」と呼ばれる間柄に。「若い子たちに助けてもらいながら、地域の方々に長くご利用いただける店づくりをしていきたいです」。
店のにぎわいは話題本の入荷量や好立地などの条件からも生まれるが、売り場のあたたかさは「人」が作り出すものだーー。教わることが多いゲオ北広島店の回だった。
フェア情報



3月3日まで海外ドラマ「24」シリーズ最新作『24リブ・アナザー・デイ』DVD・ブルーレイをレンタルできるのはゲオだけ!原作本(竹書房)も絶賛発売中!
Basic information

住所 〒061-1131

北海道北広島市美沢1−2−3
電話番号 011-372-6891
営業時間 朝10:00 ~ 深夜0:00
定休日 年中無休
駐車場 33台

「お取り寄せも気軽にご依頼ください」と岩崎さん。


岩崎さんがセレクト! 3冊のおすすめ本

1)日明恩著『それでも、警官は微笑う』(双葉社)

私が好きな作家は日明恩(たちもり・めぐみ)さん。この『それでも、警官は微笑う』シリーズや、消防士が主人公の『鎮火報』シリーズ、どちらもいわゆる業界ミステリーですが、魅力ある登場人物と軽妙な語り口に引き込まれます。『図書館戦争』シリーズの有川浩さんや宮部みゆきさんの人情ものがお好きな方は、きっと楽しんでいただけると思います!


2)中村佑介著『NOW-中村佑介画集』(飛鳥新社)


『謎解き…』の装丁画やASIAN KUNG-FU GENERATIONのCDジャケットでおなじみ、イラストレーター中村佑介さんの美しいカバーイラストに魅せられて “表紙買い”してしまう人も多いのでは。昨年の12月には待望の第二弾画集『NOW』が発売されました。2008〜2014年までの書籍装丁を含む計253点の作品を一挙収録! ご自宅でたっぷりと堪能してください。


3)シャルロット・ガスト著『白鳥のみずうみ レース切り絵でつむぐ名作物語』(グラフィック社)


誰もが知るバレエの名作が美しいレース切り絵の絵本になりました。白黒とゴールドを使った拡張高い色づかいに、どこか懐かしさを感じさせる登場人物たち…ページをめくるたびに繊細な切り絵の完成度に驚き、その美しさにため息がもれてしまう宝石のような絵本です。なのに2000円台という価格も二重の驚き! 店頭に見本があるので、ぜひお手にとってご覧ください。

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