[2026.6.22]

会場のヒシガタ文庫はダイヤ書房(北25東8)にあるインショップ。居心地のいいカフェもあり、ワークショップやイベントも行われている。
[2026.6.17]

大阪本社の堀田カーペット創業60周年記念のコンセプトブック『CARPET LIFE』。表紙には手触りのいいテーラーという不織布を使用。収録されたカーペット小説を含め、カーペット愛が詰まった社史本。
オノマトペは子どもたちと世界をつなぐ魔法のことばだ。絵本の世界でも『ごろごろにゃーん』や『もこもこもこ』など数々のオノマトペタイトルの傑作が愛されてきた。
札幌のアートディレクター岡田善敬さんが構想から10年の歳月をかけて完成させた新作絵本『パタパタどうぶつえん』も、タイトルの響きがもう楽しそう!
2026年6月14日、絵本完成までの道のりをイラストを手がけたタケウマさんとともに振り返るトークイベントが、札幌のヒシガタ文庫で行われた。

札幌大同印刷株式会社に籍を置く岡田さん。企業やショップ等のCIやロゴ、パッケージデザインなど、どの仕事にも光るアイデアとクライアント想いの愛情を注ぎ、高い評価を集めてきた。
例えば、北海道栗山町にある小林酒造。歴代の創業者宅を喫茶・見学施設「小林家」としてリニューアルする際に一連のCIを岡田さんが担当した。
そのビジュアルには「男は酒を創り 女は家を守った」というコピーに酒瓶のシルエットが描かれているが、天地をひっくり返すと実は酒瓶だったものが家事の象徴であるしゃもじに見えるという仕掛け。
ここで改めて「男は酒を創り 女は家を守った」というコピーを見直すと、小林酒造を守ってきた人々の営みが鮮明に立ちのぼってくる。
こうした本質を捉えつつ遊び心も交えたクライアントワークのかたわら、岡田さんは絵本やグッズなどの自主制作ものびのびと両立。「思いついたら作らずにはいられない」クリエイティブを続けている。

岡田さんの自主制作で特に力を入れているのが絵本づくりだ。自身の企画やブックデザインなど様々な絵本を手掛けてきた。
『パタパタどうぶつえん』トークの冒頭では、パタパタページを動かすことで裏表の絵の変化を楽しむアイデアのヒントが意外なところにあったことが明かされた。
「印刷業界には修正した原稿と直す前の原稿を2枚重ねて、上の紙をパタパタ動かして視覚的に修正済みを確かめる”あおり校正”という手法があるんです。これが頭にありつつ、あるとき編集者さんと打ち合わせ中にノートを半分にちぎってパタパタと動かしてみたら、動物たちのアイデアが次々とわいてきた。やっと前に進めると確信しました」

明るい黄色が目印の『パタパタどうぶつえん』。この日岡田さんのパンツも黄色でした!
岡田さんの相方となった人物は、絵本出版は今回が初となるイラストレーターのタケウマさんだ。京都工芸繊維大学でグラフィックデザインを専攻し、卒業後はイラストレーターとしてビジネス本や各種媒体で活躍している。
海外ではスケッチをする表現者を「スケッチャー」といい、タケウマさんも「仕事とは別腹」で日々のスケッチを楽しんでいる。
ブロンズ新社の編集者が氏の作品集『SKETCH FROM THE ZOO』に目をとめ、それを見た岡田さんが「ぜひタケウマさんに」と同意したことで今回のキャスティングが成立した。

互いにアイデアを出しあいながら本書ならではの世界観を膨らませていったタケウマさん(左)と岡田さん。
『パタパタどうぶつえん』制作上の最大の”縛り”は、読者であるこどもたちが実際に動かすパタパタページの大きさが限られていることだった。
「読み手が理解できる動きであり、なおかつその動物ならではの動き」を判型より短い13cm幅のパタパタページに納めなければならないことにタケウマさんたちはもっとも苦心したという。
中にはゴリラが両の手のひらで胸を交互に叩くドラミングを絵本映えするようにあえて上腕をダイナミックに動かすなど、7体の動物たち固有の動作を考えていった。
またタケウマさんが本番の絵を描くときは「ラフをただなぞるだけでは動物たちの躍動感が出なくなる」と、事前に線の描き方など細かく注意点をまとめ、イメージをしっかり掴んでから一気に描きあげたという。
印刷製本では、版元からの提案で4種類の紙を使って見本を制作。触り心地や発色、パタパタページの跡が前後のページに残らないかなど、細部を見比べた結果、本番の用紙には「スマッシュ」が選ばれた。

4種類の紙を使った見本。「スマッシュという紙があることも知らなかった。ここまでやってくれる出版社さんの本気を感じました」と岡田さん。
編集の佐々木さんも「おふたりのアイデア出しがすばらしくて、最後は全てが一番いい形でかみあった」と語る『パタパタどうぶつえん』。
パタパタ絵本という新たな表現を生み出すために、作り手が思い描くイメージとそれを実際に形にしたときの現実を何度も往復することで作られていった印象だ。
この日客席にいた札幌の若手デザイナー吉田人和さんは「絵本が形になるまでのおふたりのやりとりが面白かった。細かいところまで子どもたちの目線で作ることの大切さがすごく勉強になりました」と刺激を受けた様子。
大人たちが真剣に追求した楽しいオノマトペの世界と子どもたちをとりこにするパタパタページで、永く愛されていく一冊になりそうだ。


ヒシガタ文庫でただいま開催中の「タケウマ絵本原画展」は6月28日 日曜まで。岡田さん・タケウマさんの関連本も手に取るチャンス!

トーク後のサイン会も大盛況!タケウマさんが動物イラストのリクエストにこたえてくれるワン・アンド・オンリーのサイン本。

タケウマさん愛用のペンセット。ものすごい数のペンからタケウマ流スケッチが生まれていく。
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