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北海道書店ナビ 第202回 特別企画クリスマス絵本特集

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?


クリスマス目前の今週、北海道書店ナビは「クリスマス絵本」特集をお届けします。選者は札幌の絵本専門店「ちいさなえほんや ひだまり」店主の青田正徳さん。〈絵本愛〉あふれる青田さんのセレクトをじっくりとお楽しみください。次週も名作絵本特集が続きます![2014.12.15]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=4L3FuQVh9uQ]

札幌市手稲区にある「ちいさなえほんや ひだまり」は、2014年に開店20周年を迎えた。店主の青田正徳さんは「支えてくれた皆さんにただただ感謝の一言です」と、頭を下げる。2014年の秋に出版された、札幌のライター長谷川圭介さんが書いたノンフィクション『愛しのはんかくさい人物語』に青田さんが取り上げられたことも、開店20周年の喜びに花を添えた。
北海道を代表する絵本選書の達人、青田さんが北海道書店ナビ読者のために選んでくれた「クリスマス絵本」10冊! 愛情たっぷりの解説とともにご覧ください。


いつもと違うことが起きそうなクリスマス前夜

酒井駒子作『よるくま クリスマスのまえのよる』(白泉社)

僕の大好きな酒井駒子さん。名作をたくさん描いていらっしゃいますが、特のこの本はクリスマスのファンタジーを見事に描ききった…もう、言葉では説明したくないくらいの傑作です(笑)。クリスマスっていつもと違うことが起きそうですよね。子どもたちは内心、「もしかして自分のところにはサンタさんは来ないかもしれない」なんていう不安も抱えている…。そんなザワつく気持ちの夜に現れるのが、この愛らしい「よるくま」くんです。どうぞお子さんと一緒にページをめくって、素敵なクリスマス前夜を体験してください!


子どものために書かれたクリスマス絵本の原典

クレメント・クラーク・ムーア詩、アンジェラ・バレット絵『しずかなしずかなクリスマス・イヴのひみつ』(BL出版)

いま皆さんがよくご存知のサンタクロースのイメージ、〈白い豊かなヒゲをたくわえて、ソリにのっている〉姿は、アメリカの神学者クレメント・ムーアが子どもたちのために書いた詩の中に登場するサンタ像が下敷きになっています。その詩を絵本にした本書は、いわばクリスマス絵本の原典。アンジェラさんの絵は大人のファンが多く、見開きで一枚の絵画のように楽しめます。赤の使い方が非常に印象深く、何度でも読み返したくなる古典の力を実感させてくれます。


あのターシャが80歳を過ぎて描き直した

クレメント・クラーク・ムーア詩、ターシャ・テューダー絵『ターシャ・テューダー クリスマスのまえのばん』(偕成社)

前述したムーアの詩に、アメリカのガーデナーとしても有名だったターシャ・テューダーさんが挿絵をつけた絵本もあります。1941年に一度出版されましたが、今回ご紹介したいのは2000年に出た改訂新版のほう。ターシャさんが80歳を過ぎてから描き直した絵はぐっと色味が深まり、人生の年輪と美しさが刻まれています。それは、手から生まれるものだけが持ちうる美しさなのかもしれません。


サンタさん&小人たちの365日がわかっちゃう!

マウリ=クンナス作『サンタクロースと小人たち』(偕成社)

「サンタさんてクリスマスシーズン以外は何をしているの?」「誰が何を欲しいのか、なんてどうしてわかるの?」そんな子どもたちの素朴な疑問に答えてくれるのが、この一冊。作者はフィンランド人のマウリさん。漫画も手がけていたというキャリアも納得のコミカルな画風と遊び心いっぱいの描きこみで、読者を引きつけます。皆さんもサンタさんのプレゼント工場、見てみたくないですか?


ぼやいたりもするブリティッシュなサンタさん

レイモンド・ブリッグズ作・絵『さむがりやのサンタ』(福音館書店)

毎年たくさんの絵本が出版されていますが、近年はいい本が本当に少ない。私のいつわらざる実感です。そのなかでクリスマス絵本を探すとなると…このレイモンド・ブリッグスの傑作に“戻ってくる”お客様は非常に多いです。子どものときに読んでもらったのを思い出して、今は親になった自分がわが子に…これこそ絵本の理想的な楽しみ方のひとつですよね。枕元にサンタさんの入れ歯(!)が入ったコップがあったりして、イギリスらしいブラックな描写が散りばめられたサンタさんの一日に密着してください。


パーティーのメンバーは全員ゆきだるま!

キャラリン・ビーナー文、マーク・ビーナー絵『ゆきだるまのクリスマス!』(評論社)

冬といえば、もう一人の主人公は子どもたちが作るゆきだるま!本書は、そのゆきだるまたちが集まってクリスマスパーティーを開くという、なんとも楽しいお話です。誰もが心待ちにしているクリスマスのワクワク感が伝わってきます。アメリカのゆきだるまは日本の二段重ねと違って、三段重ね。そんなお国柄の違いも楽しめます。パーティーが終わった翌朝のゆきだるまの表情もお見逃しなく!


雪嵐で来れない!サンタの代役をめぐる南国物語

渡辺鉄太作・加藤チャコ絵『コアラのクリスマス』(福音館書店)

今年出版された中にも光る本はありました。オーストラリア在住の絵本作家ご夫婦が出された新刊。こちらは、あたたかい土地に住む動物たちのクリスマスです。サンタさんから「今年は雪嵐で行けないから、代わりに誰かがサンタになってプレゼントを配ってください」という手紙が届いて、さあ大変! コアラにカンガルー、エミューやポッサムたちが集まって会議を開きます…。どんな国にもクリスマスはやってくる。読んでて吹き出してしまう、南国らしいハッピークリスマス本です。


小さな手と一緒にページをめくりたいミニ絵本

林明子作『クリスマスの三つのおくりもの』(福音館書店)

小さなサイズの絵本、子どもたちは大好きです。たくさんのファンを持つ絵本作家、林明子さんがご自分のおいっこやめいっこたちに作った約11cmサイズのミニ絵本3冊セットはいかがでしょうか。サイズが小さいのに絵がとても大きく見えるのは、やはり林さんの普遍的な絵の力があればこそ。お祝いやクリスマスプレゼントにぜひおすすめしたい、最高のファーストブックです。


絵の力が物語に命を吹き込む不朽の名作

マージェリィ・W・ビアンコ作、酒井 駒子絵・抄訳『ビロードのうさぎ』(ブロンズ新社)

この『ビロードのうさぎ』はもともと童話です。1922年にアメリカで初版が発行され、日本でも1953年に岩波から石井桃子さんの訳で出版されました。原作は長いので、酒井さんが絵で語れるところは絵で語らせて、あとは原作から抜粋する“抄訳”にすることで、本書のメッセージを実に効果的に際立たせています。子どもたちにとっておもちゃやぬいぐるみの存在がどれだけ深く心の中に入ってくるものなのかーー。かつては自分もそういう体験をしていたことを思い出させてくれる、宝物のような絵本です。


クリスマス絵本とは、子どもたちにとって大人になる核をつくるもの

「クリスマス絵本とは、子どもたちにとっては大人になる核をつくるものであり、大人にとっては子ども時代の核を思い出させてくれるもの。皆で贈り物を交換し喜び合うクリスマス自体が、私たち全員への贈り物なのかもしれません」。だからこそ、もっともっと大事にしてほしい。人生の喜びを絵本に託す青田サンタさんからのメッセージだ。


Basic information

【  住    所  】札幌市手稲区新発寒3条4丁目3-20
【 電 話 番 号】011-695-2120
【 営 業 時 間】10:00〜19:00
【 定  休 日  】月・金・土・日・祝日のみの営業


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