北海道書店ナビ

北海道書店ナビ  第177回 TSUTAYA苫小牧三光店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?


店じまいが早い苫小牧で24時間営業は市民の味方。CD・DVD・コミックレンタルや書籍、ゲーム、トレカを取り扱うTSUTAYA苫小牧三光店もその一つ。時間帯を気にせずレンタルの返却やコミック選びに訪れることができる。[2014.6.9]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=NuFyEfAdA9A]

有限会社札幌ブックセンターが経営するTSUTAYA苫小牧三光店。東西に長い苫小牧の中で三光町はJR苫小牧駅よりも東に位置する。「市の西側にもTSUTAYAがあるので、当店は街の中心部から右側、苫小牧東ICまでのお客様を対象にしているイメージです」。宮下一樹店長がそう解説してくれた。
昨年2月に札幌のTSUTAYA元町店から苫小牧へと異動になった宮下さん。異動後は早速、店の売上傾向に目を配り、ゾーニングの変更に取りかかった。「苫小牧という限られたパイの中で生き残るには、リピーターの確保が生命線。店のスペースにも限りがあるので “今の売れ筋をさらに強化する”構成にしようと考えました」。
客層の中心は20〜30代の男性層。コミックが店の売上を引っぱっている現状を踏まえ、店舗入口から歩いてすぐの“一等地”にコーナーを移動した。他店であれば文芸や新刊が並ぶところを、思いきって強みのコミックを前面に打ち出す作戦だ。また、コミックの中でも特に動きがいい “萌え”系作品も棚の数を増やしてしっかり強化。「他にも青年コミックは掘り出しものが多いので、おもしろい作品をピックアップして店のカラーを打ち出していきたいです」。自身もコミック好きという宮下さんにとって自然と力が入るコーナーのようだ。

文庫の棚も昨年秋に新たな装いで生まれ変わった。一般には棚横のエンドといわれる平台で推し本を展開する光景をよく見かけるが、TSUTAYA苫小牧三光店では平台を使わず店の奥に背の高い文庫棚を配置した。
では、平台がない分をどうカバーしているのか? その答えは棚上段の使い方にあった。最上段では「TSUTAYAの推し本」を文庫本体よりも大きなポップ付きの面見せで展開。「あなたの期待を根底からくつがえす!」などのキャッチーな文句でお客を引きつける。中段より下側にも「人気沸騰中!辻村深月」「隠れた名著に出会う 殊能将之」といった作家ポップを作り、「最初に読むならこの1冊」も紹介。文庫=平台にとらわれないやり方で売上を順調に伸ばしているという。

店入口のコミックから奥の文庫へと動線をつなぐ角にはこれもスペースを広げた児童書コーナーをレイアウト。音の鳴る絵本など幼児が夢中になりそうなラインナップに混じって、ディスプレイとして高さ50cmくらいの木製コロコロツリーが置いてあった。思わず木の頂上に木球を置き、葉っぱを伝い降りながらカランコロンと心地よい音が響きわたるのを聞いていると、「それ、父が作ったんです」と宮下さんから驚きの告白が!「趣味で木工をやっていまして頼んだら作ってくれました」。土日になると、ちびっこたちは真っ先にこれに手を伸ばす。日がな途切れることのないカランコロンの響きも、店の活気づくりにおおいに貢献しているに違いない。
Store picture

若い男性客が多い同店の看板はコミックの豊富な品揃え。



棚の最上段を面陳に使い、TSUTAYAの推し本を紹介。



奥から前に移動して動きがよくなったビジネス本。



宮下店長のお父さんが作ったコロコロツリーも大人気!


Basic information

【  住    所  】北海道 苫小牧市三光町5丁目26番地39
【 電 話 番 号】0144-34-3888
【 営 業 時 間】24時間営業
【 定  休 日  】年中無休


宮下店長がセレクト! 3冊のおすすめ本

1)アミュー著『この音とまれ!』(集英社)

北海道出身の作家さんによる箏を題材にした高校生たちの青春ストーリー。絵のタッチが繊細で美しく、私たちにはあまりなじみのない箏の説明もしっかりと描かれているので門外漢でも楽しく読めます。登場人物の感情がひしひしと伝わってくるので「頑張れ!」と応援したくなり、こちらも前向きになれる作品です。


2)笹沢左保著『どんでん返し』(双葉社)

トリック好きにはたまらない!その名も『どんでん返し』というズバリそのもののタイトルが目に飛び込んでくる短編ミステリー。驚愕のラストが待つ短編6本はどれも会話文のみで構成されている、というちょっと変わったスタイルも挑戦的です。ミステリーの名手として数数の名作を残した故人の力量にあらためて感動させられます。


3)TABIPPO編集『ウユニ塩湖 世界一の「奇跡」と呼ばれた絶景』(いろは出版)

テレビ番組『世界の果てまでイッテQ!』で紹介されて以来、話題沸騰になったウユニ塩湖の素晴らしさを伝えてくれる写真集。最近は絶景本が流行っていますが、本書はウユニ塩湖のみで構成されているという潔さにも注目です。美しいという言葉だけでは言い表せないような光景がたくさん収録されています。

ページの先頭もどる

最近の記事