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北海道書店ナビ  第139回 MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?


一般人も関心はあるが試しにページをめくってみると“さっぱりわからない”。そんな専門領域の最たるものが医学書ではあるまいか。MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店地下1階の約3分の1を占める医学書の世界に足を踏み入れた。[2013.9.2]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=F5rBuiYdUNc]

「医学書単独のスペースとしてはおそらく全国でも珍しい広さを確保できていると思います」。そう、胸を張って案内してくれたのは勤務5年目の小瀧麻誉さん。入社当初は雑誌担当だったが1年後に現在の医学書に異動した。「完全な専門領域の世界ですので医療に携わっていらっしゃるお客様や出版社の方々が私の“先生”替わり。お目当ての本を自力で探すお客様が多いぶん、問い合わせがあったときは結構大変です(笑)」。
あるとき、店頭にきた著者本人から新刊について「違う棚に置いたほうがいいよ、そのつもりで書いたから」という指摘を受けたこともあるという。タイトルだけでは容易にわからない専門領域ならではのエピソードに、「何年経っても勉強です」と気を引き締めている。

近年は「老い」や「生き方」をテーマに医師が書いた本がメディアで数多く取り上げられている。この医学書フロアにも「死生学」の棚があり、ブームの火付け役となった『死ぬときに後悔すること25』(大津秀一)や『余命18日をどう生きるか』(田村恵子)などハッとさせられるタイトルが独得の説得力をもって訴えかけてくる。その隣は「医学読物」コーナー。2013年10月で102歳を迎える日野原重明氏をはじめ人気医師の著作を揃えている。棚を熱心に見ていくのは「女性のほうが多い」そうだ。

医学書担当になって約4年。改めて“医の知識を増やしていくのは大変だったのでは?”と訊くと、「確かに難しい分野ですが、自分が病院に行ったときにお医者さんや看護師さんたちの机の上に売り場で見かけた本があると、“自分の仕事は現場に活かされている”と実感できてうれしくなります」とやりがいを語る。

1歳4カ月の娘がいる“おかあさん書店員”としては子どもが不調のとき、職場の“参考書”をチラ見すると、「深刻な症例に至ってないことに気づいて気持ちがラクになることも」。産後職場に復帰してからは小児科や助産学に関するフェアも企画した。「いつの時代にも必要とされる定番本と最新情報が詰まった新刊本。両者のバランスをとりながら訴求力のある棚づくりやフェアを考えていきたいです」。母の目線も織り交ぜつつ、医の現場で活かされる膨大な知識を送り出している。
Store picture

エレベーター近くには看護・出産の関連本がずらり。





どの医療分野に進んでも“必ず通る”感染症本の決定版。



2013年6月から医学書フロアでも洋書の取り扱いをスタート!



症例理解のためカラー画像が多い医学書は大きくて重い。「特に歯科関係がすごいです!」



Basic information
【  住    所  】札幌市中央区南1条西1丁目8−2 丸井今井南館B2~4F
【 電 話 番 号】011-223-1911
【 営 業 時 間】B2〜4F書籍売場 10時〜21時 5F文具売場は 10時〜20時 (日曜日は10時〜19時半)
【 定  休 日  】年中無休

文芸書担当菊地さんがセレクト! 3冊のおすすめ本

1)北大路公子著「苦手図鑑」(角川書店)
雑誌「野生時代」のエッセイが、ついに一冊に!作りすぎの大量のおでんにうまく詰め替えられないシャンプー。いつも買い物に行くたびに手をぎゅっと握るドラッグストアの店員・・・。日常にふと湧き上がる疑問に、過分の妄想が入りまじり、今回も爆笑必至!電車で読む時は、笑いすぎにチューイして!!
2)安岡章太郎著「文士の友情」(新潮社)
今年の1月に亡くなった著者の晩年に書かれたエッセイ集。同じ「第三の新人」と呼ばれた遠藤周作、吉行淳之介らとの交流が中心に描かれている。ほぼ全編故人について語られたエッセイは色濃く死に満ちているのだが、無駄なもののそぎ落とされた文体に、92歳まで友を見送り続けた著者の心境が、ピタリと重なる。娘による「あとがきに代えて」には思わずホロリ。
3)マイケル・オンダーチェ著「名もなき人たちのテーブル」(作品社)
11歳の少年マイケルが、セイロンから母の待つイギリスへと3週間の船旅をする物語。大型客船オロンセイ号で出会う個性豊かな人々と冒険の数々、謎めいた事件・・・。船に乗った時と降りる時とでは変わってしまった人生が航海と重なり、読後表紙の青がしみじみと目に沁みる一冊。

MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店のフェア情報

「ヌーヴェルヴァーグ再発見」フェア 開催中~2013年9月28日まで
ヌーヴェルヴァーグの担い手であったゴダールやトリュフォーの著作の他、ジーン・セバーグやブリジット・バルドーなどなど、この時期に活躍した女優の本も集めました!!この秋は映画でしっとり・・・。
「求龍堂プレゼンツ!“読者カード”が語るお薦め本」フェア 開催中~9月28日まで
「読者カードは語る!」美術系の出版社、求龍堂に寄せられた読者カードの熱い想い・・・。中でも反響の多かった画集や写真集を寄せられた生の声と共にご紹介いたします!これを機会に是非お気に入りを見つけて下さい!!

週間売筋ランキング 対象期間平成25年8月19日~8月25日

文庫
第1位:「オレたちバブル入行組」 池井戸潤 著(文藝春秋)
第2位:「オレたち花のバブル組」 池井戸潤 著(文藝春秋)
第3位:「新参者」 東野圭吾 著(講談社)
文芸書
第1位:「ホテルローヤル」 桜木紫乃 著(集英社)
第2位:「ロスジェネの逆襲」 池井戸潤 著(ダイヤモンド社)
第3位:「心」 姜尚中 著(集英社)
ビジネス書
第1位:「99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ 」 河野英太郎 著(ディスカヴァー21)
第2位:「日本国憲法 第2版」 写楽編集部 著(小学館)
第3位:「自分の才能の見つけ方」 本田健 著(フォレスト出版)
趣味生活書
第1位:「チャトやお呼びですか?猫といつまでも」 はたさきこ 著(小学館)
第2位:「医者に殺されない47の心得」 近藤誠 著(アスコム)
第3位:「野球大喜利ザ・ベスト」 カネシゲタカシ 著(徳間書店)
児童書
第1位:「だるまさんが」 かがくいひろし 著(ブロンズ新社)
第2位:「ぐりとぐら」 中川季枝子著 (福音館書店)
第3位:「にじいろのさかな」 マーカス・フィスター 著 (講談社)

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