2023年9月24日、札幌市中央区の俊カフェで詩歌専門の出版社ナナロク社代表の村井光男さんによる「詩と造本」のトークが開催された。
2008年に村井さんが創業したナナロク社は現在、社員3名。これまで谷川俊太郎さんの詩集『あたしとあなた』など18冊の詩歌集を出版してきた。
「作家さんが書いたものを一冊にまとめあげていく造本の過程そのものが作品にも影響を与えていると思います」という村井さん。
この日、参加者には村井さんが用意してくれた自社本紹介の冊子が配られ、さらに詳しい造本エピソードが明かされた。
[この日の村井さん名言集]
「本の内容に一番ふさわしい器を与える、それが装幀です」
「本という形にしていくことで作品の本質が言語化されていく魅力がある」
「本は、一度データ化されたものをわざわざ紙に印刷するという、実はとても贅沢な大富豪の遊びのようなもの。最高です」
「売れないプレッシャーよりも、いい本にならなかったらどうしようというプレッシャーの方が大きい」
書店ナビライターが個人的に好きなナナロク社の本は、2023年4月に刊行された『野球短歌』。出版社に勤務する池松舞さん初の短歌集だ。
野球選手はイチロー氏と大谷選手くらいしか知らないライターが面白くて読む手を止められず、そのうち読み終わりたくなくてペースを落とすほど、泣いたり笑ったりの楽しい”観戦体験”をさせてもらった。
岩崎が打たれたときの哀しみは二十時(はちじ)で閉まる酒場に似ている
6月30日×
こんなにも疲れているのに負けないの?うん負けないの、それが青柳
大山の逆転ツーラン突き刺さり日焼けした少年がバンザイ7月22日◯
通常、歌集は1ページに1~3首だが、本書のお約束は「1ページで1試合」。日付と勝敗を表す○と×だけが載っている。
装幀の色使いも、土(クラフト紙独特の茶色)と白線の白、芝のグリーンという3色のみ。カバーをめくるとそこにも楽しい遊びが潜んでいた。あとがき、最後の1行も最高にいいので、ぜひお手に取って読んでもらいたい。
「ナナロク社は今年で15年。作りたい本のことが常に頭の中にあり、だんだん売れる本と作りたい本がマッチしてきたように感じます」と語る村井さんが、2023年に池松さんという短歌の新星と出会ったのも、もしかすると造本の神様からの贈り物なのかもしれない。
池松さん・村井さん、阪神日本一おめでとうございます!
毎年11月は厚生労働省が定めた児童虐待防止推進月間。札幌でもNPO法人やフリースクール等の7団体が「Sapporo・チャイルド・ライツ プロジェクト」(通称SCRプロジェクト)を展開している。
チャイルド・ライツ、すなわち「子どもの権利」は、1998年11月に国連総会で採択された「子どもの権利条約」に基づくもの。
「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」の4つに大別される子どもの権利について知ってもらおうと、SCRプロジェクトでは2019年からさまざまなキャンペーンを行っている。
その一環として2023年は、オリジナルのしおりを作成。現在、プロジェクトの趣旨に賛同する市内の書店19カ所で無料配布している。
「うちでも置きたい!」という書店やブックカフェの方はぜひ、下記にお問い合わせを。
https://sapporo-child-rights.com/
事務局 NPO法人札幌チャレンジド 加納
電話 011-769-0843
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