北海道書店ナビ

第352回 NetGalley(ネットギャリー)



[サイト紹介]発売前の電子ゲラを読んでレビュー!
あなたも本の応援団になれるサービス『NetGalley』

[2017.11.27]






覆面作家本のキャッチコピー公募に6015件!

『ルビンの壷が割れた』

2017年7月、出版業界から驚きの情報がネットに流れてきました。

《担当編集者からお願い》

「すごい小説」刊行します。

キャッチコピーを代わりに書いてください!

出版元は新潮社。ある匿名作家の「ものすごく面白く、そして、ものすごく奇怪な」刊行前の小説のキャッチコピーを一般公募で決める、という非常にチャレンジングな試みでした。


出版前の校正刷り(ゲラ)を目利きの書店員に読んでもらい、販促につなげる手法は出版業界で浸透している習慣の1つですが、その枠組みをさらに広げたSNS時代ならではの戦略です。

この話題は瞬く間に広がり、2週間限定で全文無料公開された特設サイトは79万PVを突破(現在は公開を終了しています)。

応募されたキャッチコピーは6015件に上りました。

そうして今年8月22日に刊行された本の正体は、宿野かほる著『ルビンの壷が割れた』!

優秀作品に選ばれた5本のキャッチコピーが帯に印刷され、全国の書店で発売が始まりました。話題の本の発売とあって、売れ行きは好調。出版前から読者を販促に巻き込んだ成功例のひとつになりました。





出版社と書店員・ブロガーをつなぐ

電子ゲラ配信サービス『NetGalley(ネットギャリー)』


そんな『ルビンの壷が割れた』に次いで注目を集める、アメリカ発の新たなネット・サービスが、今年10月17日からスタートしました。

国内の出版社が発売前の電子ゲラ、英語でgalley proof(ギャリー・プルーフ)をネットで配信する『NetGalley(ネットギャリー)』です。

運営会社は、東京本社の株式会社出版デジタル機構。2017年11月末現在、出版社21社が参加し、全国の書店員400人を中心とする900人が会員になっています。

参加出版社:

KADOKAWA、幻冬舎、講談社、光文社、集英社、小学館、ディスカヴァー・トゥエンティワン、朝日新聞出版、イースト・プレス、秀和システム、主婦の友社、竹書房、トランスビュー、白泉社、PHP研究所、ブリッジ、マガジンハウス、扶桑社、筑摩書房、実業之日本社、TAC出版


レビューの輪に加わる手順は、次のとおり。

「これから世に出る本の応援団になりたい!」と思う方は、まず無料会員登録をしましょう。簡単なプロフィールを記入し、会員タイプ[書店関係者/教育関係者/図書館関係者/メディア関係者/レビュアー]を選択します。

一般の方は「レビュアー」選択がおすすめ。さらに[ブロガー/一般レビュアー/出版事業者/評論家]を選択します。


登録が終わったら、読みたい作品をリクエストします(作品ごとに出版社の承認が必要です)。同時にセキュリテリィ認証のためAdobe IDを取得する必要があります(登録無料)。

スマホで読むかタブレットで読むか、それともPCを使うか、ゲラを読むためのアプリも用意しておきましょう。


ダウンロード後のゲラデータを読んだら、「レビュアーとしてのフィードバック」へ。レビューを書く、星をつける、カバーデザインへの「いいね!」投票もできます。レビューやメッセージは直接出版社に届きます。



レビューを集めてPOPを制作、店頭販促の後押しに


本記事執筆時点で、新着作品は73タイトル。文芸作品からミステリー、時代小説、子育て、ビジネス、海外翻訳、ノンフィクション、ラノベ、マンガとジャンルも多彩。直木賞作家、桜木紫乃さんの作家デビュー10周年記念作品『砂上』(KADOKAWA)も入っています。



なかでも最もリクエストの多かった作品である遠田潤子著『オブリヴィオン』(光文社)は、2017年10月18日刊行にあたり、NetGalleyで集めた全国の書店員のレビューを掲載した店頭POPを制作。

実際に届いた「声」が販促に役立つ先例となりました。


これまで限られた部数のゲラを書店員に郵送していた出版社にとって、ゲラの配信は届け先が飛躍的に拡大することに。書店以外の教育関係者、図書館関係者へのリーチも可能になりました。
他方、読み手にとっても書籍を事前に読むことで選書や仕入れの参考になり、レビュー執筆を通して出版社との距離も縮まります。


最後に、実際にNetGalleyを使っている札幌の書店員、文教堂北野店の若木ひとえさんからコメントをいただきました。作家や出版社から厚い信頼を集め、いくつもの帯やポップの推薦コメントにも登場経験がある若木さんですが、ビギナーならではの”しくじり”も包み隠さず書いてくださって大変参考になります。ぜひご覧ください!


小さな書店こそ販促にNetGalleyを!



今年の初夏の頃、8月に発売予定の小説の「本の応援団に入りませんか?」という文句に誘われて、出会ったのが当時まだテスト稼動中だった「NetGalley」 でした。ゲラの閲覧はもちろん紙で読んだことしかありませんでした。でもどうしても読みたかったのでさっそくNetGalleyに登録しました。


当時ちょうどタブレットを入手したばかりで、あまり使うこともないままでしたから、思い切ってこれで読んでみようという意気込みだけはありました。

昼休憩中にゲラを読むことが多いので、読みやすさからスマホやパソコンではないタブレットを選びました。





意外と読みやすいことに驚きました。私のタブレットと相性がいいアプリが海外のものだったので、ページをめくるのが左右逆になってしまうのが難点といえばそうかもしれませんが、まぁこんなものかという感じ。



その後読みたいゲラがあるとリクエストを送り、承認されたらダウンロードするということを2、3度行いました。ここでひとつ失敗をしでかしました。「アーカイブ日」というものに全く無頓着だったのです。ダウンロード後でも読む期間が設定されたものもあるのです。残念なことに読みそこなったゲラもありました。



自身のプロフィールには、勤務する書店や読みたいジャンルなどを詳しく記入しておくことをおすすめします。リクエストをした時に出版社が承認するのに役立つということでした。


紙のゲラやプルーフ同様にNetGalleyは、もちろん先読みできて楽しいというのもありますが、ただ読むだけではありません。読んで感想を書いたり注文をしたりすることで、入荷後すぐに売るための準備を前もってできる。これが一番の目的かもしれません。

例えば前もってPOPを作っておく。一緒に並べたい本を発注しておく。目立つ工夫や準備をする。そんな程度のことですが。



私の勤務する書店は郊外の小さな店舗です。黙っていたら本は入ってきません。本を売りたくても、売る本が店頭になければ話になりません。私のように小さな書店で働く人にこそ、NetGalleyを使ってゲラを読み、販促に生かしてもらいたいと思います。




●NetGalley(ネットギャリー)




●文教堂北野店 若木ひとえさんが2015年8月に作ってくれた

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