北海道書店ナビ

北海道書店ナビ  第208回 特別企画 映画『茜色クラリネット』DVD発売応援編

当サイトを運営するコア・アソシエイツは、2014年3月に公開された北海道映画『茜色クラリネット』を応援しています。シアターキノでの公開後、徐々に上映館が増え続けている本作は、今年1月にもスウェーデンのヨーテボリ国際映画祭に招待上映されたばかり。DVDの販売も始まり、高校生監督の坂本優乃さんも「ビックリ!」の日々が続いています。[2015.2.2]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=VZGgsgjQ9hI]


東京・渋谷のユーロスペースでも上映

「わたしの夢は、食べさせない。」ーー札幌の中高生が撮った青春映画『茜色クラリネット』が2014年3月に公開されてからほぼ1年。札幌市西区にある琴似(ことに)のまちの人々と、北海道を拠点に活動する映像・舞台関係者がバックアップし、「大人の本気と中高生の必死」で作られた本作は、一般映画とは異なる“息の長い”道のりを歩いている。
配給も、NPO法人北海道コミュニティシネマ・札幌とシアターキノが担当。札幌を皮切りに帯広や苫小牧、滝川など道内各地で上映会を開き、昨年の11月には東京・渋谷のユーロスペースでも高い評価を受けた。
この東京上映では、舞台挨拶に行きたい監督・スタッフの旅費宿泊費等を捻出するため、クラウドファンディングを立ち上げたところ、目標額70万円を8万円近く上回る支援金が集まるなど、まさに手弁当の上映活動が続いている


監督・演出・撮影・録音・音楽・美術・出演…総勢21人の中高生がひと夏をかけて撮った『茜色クラリネット』。


韓国では「部活」と「ゆるキャラ文化」を解説

「今日でテスト期間が終わりました」。そう言ってほっとした表情を浮かべるのは、札幌北高2年生の坂本優乃さん。1年のときに『茜色クラリネット』の監督という大役を務め、その後も舞台挨拶やメディア取材にひっぱりだこ!親と交わした「学校のテストは絶対受ける」という約束を守りながら監督業を続けたスーパー女子高生だ。

『茜色クラリネット』は海外の映画祭にも積極的に上映を働きかけ、2014年8月にはソウル国際青少年映画祭で上映された。ちょうど夏休みだった坂本監督と録音スタッフだった鈴木智美さんが現地に行き、観客の反応をじかに受け止めることができたという。

「上映前の舞台挨拶では、〈部活動とゆるキャラ〉という韓国にはない日本独自の文化のことを説明して、理解を深めてもらうようにしました」。自分たちの作品を他国に紹介する監督の役目をしっかり果たして帰国した。

撮影中やその後の宣伝活動も学校の理解と友人の協力を得て両立してきた坂本優乃監督。

撮影協力:シアターキノ併設「キノカフェ」。スープセットなどのランチメニュ—もおいしい!



「大人病とは縁遠い」大人たちに囲まれて

シアターキノが立ち上げた「子ども映画制作ワークショップ」の作品『Page One』(2008年/24分/ロケ地:札幌芸術の森)を見て、「物語の世界にすっかりハマッた」坂本監督。2010年からワークショップのメンバーになり、劇場上映を目標とした本作『茜色クラリネット』(2014年/81分/ロケ地:琴似)で、人生初のメガフォンをとった。

夢を失ってしまう「大人病」に立ち向かう主人公・茜たちの冒険を描いたストーリーに、映画祭では「監督本人は早く大人になりたいですか?なりたくないですか?」というスルドイ質問も出たという。

「この映画に関わるまでは、どちらかというと“なりたくない派”でしたが、撮影現場に行くと指導監督をしてくださった早川渉先生やプロデューサーの中島さん、麻生さん…そこにいる皆さんが映画づくりに真剣で、大人病には縁遠い大人ばかり(笑)。私たち中高生とも本気で意見交換をしてくれて、いろんなアイデアを出し合いました。だから今は、いつか大人になるのもワルくない。そう思っています」。

カメラのこちら側で進んでいたもう一つの成長物語があったようだ。


「大人もアイデアを出すが、最後の決断はすべて中高生がする」。『茜色…』の現場で徹底して守られた制作ルールだ。


メイキング付きDVDも販売スタート!

2015年1月、映画はスウェーデンにも飛んで行った。北欧最大の映画祭であるヨーテボリ国際映画祭から招待を受け、チャイルドフィルム部門と、選りすぐりの日本映画を15本集めた「ジャパン・フォーカス」の枠でも上映された。

同時にシアターキノやTSUTAYA琴似店、アマゾンでも『茜色クラリネット』DVDの販売がスタート。

81分の本編プラス、メイキングが収録され、映像教育や地域活性の視点からも注目された現場の様子を知ることができる。テスト勉強が終わり、これからじっくり作品と“再開”できる坂本監督もうれしそうだ。

『茜色…』以降、“自分が一番変わったと思うところ”を訊ねると、「以前は人と話すのがそんなに得意な方ではなかったんですが、この映画をやってみて…人と接するのが好きになった。人の輪が広がることがステキだなって思えるようになりました」と、答えてくれた。

高校2年の現在は大学受験の準備をしつつ、「小説やシナリオ執筆の専門知識を増やしたい」という映画人らしい夢もあたためている。

『茜色クラリネット』は、2月も大阪のシネ・ヌーヴォXやあきた十文字映画祭での上映が決まっており、今後も公式サイトで随時情報が更新されていく。北海道の中高生とまち、プロの映画人が力を結集して作った本作のDVDは1,728円。シアターキノ限定で公式ガイドブック(税別1200円/コアBOOK)が付いてくるお得なセット2,700円もある。


「DVDもたくさんの人に見ていただけるとうれしいです!」


茜色クラリネット 公式サイト

http://k-yumecinema.com/akaneiro/

茜色クラリネットはこちらからお買い求めいただけます。

茜色クラリネット DVD
北海道ブックナビゲーター
http://www.core-nt.co.jp/booknavi/detail.php?seq=3


Amazon

http://www.amazon.co.jp//dp/4863810903/
茜色クラリネット 公式ガイドブック
北海道ブックナビゲーター
http://www.core-nt.co.jp/booknavi/detail.php?seq=4

Amazon
http://www.amazon.co.jp//dp/4863810784/

坂本優乃さんがセレクト! 3冊のおすすめ本

1) ミヒャエル・エンデ著『モモ』(岩波書店)

『茜色…』で監督をする以前は、脚本で「子ども映画制作ワークショップ」に参加していた坂本さん。「物語を書くのが好き」という彼女が真っ先にあげてくれた愛読書が、この『モモ』だ。「学校の発表会で見て以来、魅せられてすぐに原作を読みました。マイスター・ホラ、大好きです!」。『茜色…』とも通じるところがありそう、時間どろぼうとたたかう不思議な少女モモの物語。
2) 宮部みゆき著『ブレイブ・ストーリー(上)』(角川書店))

お次はヒットメーカー宮部みゆきの作品から。「アニメを先に見てから本を読み始めたらもう面白くて!結構分厚かったけど一気読みしました」。小学5年生の主人公・亘の冒険ファンタジーだが、「ただのハッピーエンドじゃなく、ちょっとせつなさややるせなさが残るところ」が、心に響いたという。「師匠の早川先生にも“坂本さんはそういうのが好きだよね”と言われちゃいました(笑)」
3) 斉藤倫著『本当は記号になってしまいたい』(ガケ書房)

ググってみると同姓同名の漫画家もいるが、坂本さんが推してくれたのは1969年生まれの詩人のほう。「この詩集を初めて読んだとき、私たちが住んでいる世界と斉藤さんが見ている世界観があまりにも違っていて驚きました。一つの詩の中でも読み始めと終わりで描かれる内容が変わっていて、不思議さが残る。その不思議さがいつまでも残る、そんな詩集です」

ページの先頭へもどる

最近の記事