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北海道書店ナビ  第192回 至誠堂書店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?


北海道書店ナビ[深川編]二週目は個人経営の至誠堂書店さんを訪ねた。店名の由来を訊くと、創業者でもある先代が留萌の知人が営んでいた釣り具店「四青堂」にちなんでつけたという。現在店を守るのは二代目の酒井和昭さんご夫妻。深川市内をほぼ毎日配送で走り回っている。[2014.10.6]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=2uEPSykkcPU]

今回の訪問先は深川市街の中心部にある約30坪の小さな本屋さん、至誠堂書店。元教員だった酒井敏雄さんが昭和15(1940)年に駅前に創業したが、火事に見舞われた後は駅前通りから西に2ブロックほどいった角地に移転して現在に至る。70年近くの歴史を刻む老舗書店だ。
「昔はね、深川市内に4件の個人書店があったの。いまはうちと浅野さんの2件が頑張っています」。敏雄さんの引退後、二代目店主となった息子の酒井和昭さんがそう教えてくれた。
取材当日はたまたま雑誌の入荷がないため、いつもの配送はお休み。学校や病院、美容室、事業所など、“親父さん”の代から続く市内顧客への定期的な配送が経営の柱になっている。
午前中、夫が配達に出ているときは妻が店番をして、午後は交代。40代50代の頃は年中無休で深川市内を走り回っていたが、夫婦ともに60代半ばの現在は日曜定休でひとやすみ。心身の疲れを癒している。
「ご覧のとおりのヒマな店ですが、小さな町だから店を開けていればおなじみの顔が集まってくる。梅干しの作り方の本を買っていったお客様ができたのを持ってきてくれたこともありました」。体力が続くかぎりは頑張りたい。“市内で2件の地元書店”という使命感が、日々の原動力になっているという。

いま、酒井さんも常連客の皆さんも発行を心待ちにしている本がある。2014年11月下旬発行予定の写真集『空知の昭和』だ。全国各地の“昭和”を切り取った写真を一般家庭から集めるという手法で人気を博している『○○の昭和』シリーズに、とうとう空知版が登場する。「新聞広告を見たお客様からすぐに電話がかかってきて“うちにもいろんな写真がある”というので版元のいき出版さんの連絡先を教えてあげました」。約一万円という高額ながらすでに予約も入っており、出版後はまたひとつ、おなじみさんたちとの共通の話題が増えそうだ。


Store picture



「中を確かめてから買ってほしい」とコミックにビニールはなし。



常連客に受けそうなものは固めてわかりやすく。



深川は米どころ。地元の拓殖大学北海道短大には農学の講義もある。


Basic information

【  住    所  】深川市4条6−12
【 電 話 番 号】0164-23-3613
【 営 業 時 間】9:00〜19:00
【 定  休 日  】日曜定休


酒井さんがセレクト! 3冊のおすすめ本

1)久保俊治著『羆撃ち』(小学館)

小樽出身の著者がハンターを目指してアメリカで修行後、道東の知床半島で愛犬フチとともに狩猟生活を送るノンフィクションです。このフチが実にかっこよくて、飼い主の呼吸を的確に読んで行動する。たいしたものです。ちなみに著者の久保さんは「大草原の少女みゆきちゃん」のお父さんなんですね。子育てや自然との向き合い方に共通のものがあるように感じて納得でした。


2)百田尚樹著『海賊とよばれた男(上)』(講談社)

個人的に読書は読み応えのある長編が好きですので、すでに皆さんご存知でしょうがこの大ヒット作を紹介させてください。出光興産の創業者、出光佐三をモデルにした本作の主人公は戦後、日本の先行きを見つめ、社員とともに度重なる苦境を乗り越えて、自社を世界と渡り合えるマンモス企業に成長させていく。その様は日本の誇りです。


装丁が魅力的な本)『空知の昭和』(いき出版)

取材でもお話した写真アルバム『空知の昭和』。11月下旬に発売予定です。北海道では札幌市、函館市、帯広・十勝に続いて4エリア目。個人所蔵の写真600点が掲載されている初版本のみの販売で、限定1500部。増刷はありませんので、ぜひ当店でご予約ください!

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