北海道書店ナビ

第215回 TSUTAYA室蘭店

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?

2015年3月現在、北海道にあるTSUTAYAは60店舗。レンタルやゲームなど各店の売りは異なるが、ここ室蘭店では“書店”色を強く打ち出した店づくりに成功。児童書とコミック双方で道内60店舗中トップクラスの売上を維持している。[2015.3.30]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=-T5_fjZJeTY]

胆振国道37号線沿い、室蘭市中島本町に広がる大型ショッピングセンター「MORUE(モルエ)中島」E棟に入るTSUTAYA室蘭店は、広さ約210坪。2007年のモルエ開業と同時にオープンし、地域での存在感をアピールしている。

TSUTAYA 室蘭店。

胆振西部屈指の巨大ショッピングセンター
「MORUE中島」の一画にあるTSUTAYA 室蘭店。

店内は入口からまっすぐな動線が作られ、右半分がゲーム・レンタル、左半分がすべて書籍という一目でわかるレイアウト。同店の売上を支えるコミックや児童書、文庫の棚はレジ近くに配し、かたや専門書や語学・ビジネスなど「じっくり探したい本」は段差がある中2階的なスペースで展開している。どちらの客にも配慮した作りが好評だ。

かしこくすみ分けたレイアウト

「すぐに見つけたい」コミック系の本と「じっくり選びたい」専門書系、
かしこくすみ分けたレイアウトが長居を誘う。

道内60店舗あるTSUTAYAのなかでも、ここ室蘭店はコミックの売上が堂々の第1位。児童書でも道内2位の売上を維持している。その理由を店長代理の宮下和也さんはこう分析する。
「最大の要因は、当店ができる2007年まで胆振管内に大型書店がなかったこと。地元の方々の当店に対する期待度が非常に高く、室蘭市内だけでなく伊達や登別からも大勢のお客様に来ていただいています。週末の売上は平日の1・5倍から1・7倍。モルエに入っているという強みを活かしながら、これからも“選ばれる本屋”でいられるように頑張ります」。

道内のTSUTAYAトップの売上を誇るコミックコーナー

道内のTSUTAYAトップの売上を誇るコミックコーナー。
『ワンピース』新刊で700冊、『進撃の巨人』で600冊が出るという。

室蘭店自慢の児童書コーナー

ママ友ネットワークで豊富な品揃えが広く知られているのかも。

売れ筋商品をしっかり確保すると同時に、つねに探しやすい売り場づくりをスローガンに掲げる宮下さん。「見つけられない本はお客様にとって“ない”と同じこと」といい、お客目線に立った棚づくりを徹底している。

吉野茉莉(よしの・まつり)さんの応援コーナー

室蘭出身の新人作家、吉野茉莉(よしの・まつり)さんの応援コーナーもレジ前でしっかりPR!
「地元の人間が読めば“出てくるバスは道南バスだな”とかモデルがすぐにわかって二倍楽しめます」

コミックの棚も「すでに売れているタイトルは平台」
「これから推したい作品は面見せ」などのメリハリをきかせている。

また、「季節感を大切にしたい」と話す宮下さんの言葉どおり、季節ごとの店内装飾もTSUTAYA室蘭店の自慢のひとつ。 “ディスプレイ職人”とも称えたくなるおかあさんスタッフが中心になり、書籍スタッフ全員が力をあわせて作っている。実際、取材時に拝見した春先恒例の「入学おめでとう」ディスプレイもプロ顔負けの出来映えで、ちびっこたちの目をくぎづけに。
実はこのディスプレイ、全国の書店を対象とする小学館主催のディスプレイコンテストに応募する。“今年こそ入賞!”の朗報が届いたときには、ぜひとも店頭で発表してほしい。

プロ顔負け!スタッフが力をあわせて作った祝入学ディスプレイ

すぱいになりたい

お客様が参加できる工夫もあり、新入学生を盛り上げる。

スタッフ手作り(!)のピンクの扉。
中に誰がいるかは店頭でのお楽しみ。

室蘭といえば室蘭工業大学があり、室蘭工業大学といえば早くから学内で書評ゲーム「ビブリオバトル」に取り組み、北海道でのビブリオバトル普及をけん引するトップランナー的な存在で知られている。「当店でもビブリオバトルサークルの初代部長がアルバイトしていました」と明かしてくれた宮下さん本人も、今では『いぶりびぶりぶ♪』という社会人サークルで活動中。2015年3月にはモルエでイベントを開き、秋には第2回となる世界大会もあるという。「いぶりびぶりぶ♪」を含めた北海道のビブリオバトル情報はサイト「ビブリオバトル北海道」に詳しく掲載されている。

Basic information
住所 〒050-0075
北海道 室蘭市中島本町1-1-6 MORUE中島D棟
電話番号 0143-41-5220
営業時間 朝 09:00~夜 11:00
定休日 年中無休
駐車場


宮下さんがセレクト! 3冊のおすすめ本

1)マイケル・サンデル著『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)

「1人を殺せば5人が助かる。あなたはその1人を殺すべきか?」正解のない究極の難問に挑み続けるサンデル先生の授業が待望の文庫になりました。「自分だったら…」とひたすら思考を巡らせ、本と対話することができる1冊です。自分がバトラーを務めたビブリオバトルで紹介したことがあり、チャンプ本に選ばれました。店の若いスタッフにも「読んでみて」と勧めています。

2)河原和音原作・アルコ作画『俺物語!!』

身長約2m・体重120kg。性格は真っ直ぐだが不器用で、同性からは慕われるが異性にはモテない。およそ少女漫画の主人公像とはかけ離れた高校1年生の剛田猛男が体をはって恋を育んでいくラブストーリー。普段、少女漫画を読まない男子たちにぜひ読んでほしいコミックです。「こういうヤツがモテてほしい!」と心底応援したくなります。

3)森博嗣著『スカイ・クロラ』(中央公論新社)

文庫も出ていますが、ご紹介したいのは装丁が美しいハードカバーのほう。物語の舞台は架空の近未来。戦闘機パイロットである「僕」が終始淡々とした口調で語る構成で、戦争という題材を取り扱っているとは思えないような透明感のある文章に導かれていきます。そんな世界観を凝縮した表紙は、とても綺麗な「空」が主役。シリーズ5冊全巻を揃えたときに広がる空模様に新たな感動を覚えます!

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