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北海道書店ナビ  第93回 紀伊國屋書店札幌本店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?


広い店内にはまだまだ探索していないコーナーがいっぱい!書店ナビ4回目の登場となる紀伊國屋書店札幌本店、今回は専門書フロアの2階を訪ね、幅広くて奥深い人文科学コーナー担当者のお一人、長田雅子さんにお話をうかがった。【2012.9.24】

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=Smr64w3xmB4]

一言で<人文科学>とくくっても、カバーする領域は哲学や歴史、教育などそれぞれが単独で十分に深い専門分野ばかり。ここ紀伊國屋書店札幌本店では人文科学を4人の書店員で分担し、今回の取材には<精神世界・心理・宗教>を受け持つ長田雅子さんにご登場いただいた。

「私も最初はわけがわからなくて」と笑う長田さんは勤務4年目。書店で働くのは紀伊國屋書店が初めてで、採用当初から精神世界・心理・宗教という、いささか手強そうなジャンルの担当を命じられた。
本人いわく「ナゾめいて見えたけどキライじゃなかった」という相性の良さもあったのだろう。棚に一冊一冊補充しながら内容・装丁や周囲の本との関係を頭に入れる“自習”を繰り返す一方で、お客様からの問い合わせに答える経験そのものが、星の数ほどある専門書を覚えていくための大事な道しるべになったと教えてくれた。
「入ったばかりのころ、上司に“書店は接客業だ”と教わりました。実際店頭に立ってみると、想像以上にお客様とお話する機会が多くてビックリ。探偵のような感覚で本探しのお手伝いをしています」。

北大近くという場所柄、心理系学会があるときは棚の売れ行きも上がり、各種資格試験の前にはテキストが出る。NHKの番組『100分de名著』でユダヤ人の精神科医フランクルが書いた「夜と霧」が紹介されたときは、ナチス強制収容所の体験談という深刻な内容にも関わらず手に取る人が増えた。棚にはいつも“今”が反映されている。

今後は近年注目が集まっている「認知行動療法」フェアを計画中。うつ病や摂食障害、職場でのストレス管理など心をとりまく悩みに対し認知行動療法の視点から取り組む入門書を紹介したい。「自分のことを理解するってそう簡単なことではありませんが、今度のフェアがその手助けになれたらうれしいです」。本の力を信じてフェアの準備を進めている。
Store picture



NHK『100分de名著』で火がついたフランクルの「夜と霧」



社会のニーズが高まっている心理療法や認知行動療法の入門書


Basic information

【  住    所  】紀伊國屋書店 札幌本店
【 電 話 番 号】011-231-2131
【 営 業 時 間】10:00〜21:00
【 定  休 日  】年中無休


長田さんがセレクト!3冊のおすすめ本

1)西村佳哲著「わたしのはたらき」(弘文堂)

2009年から3年間、奈良で行われた“自分の仕事”について考える3日間のフォーラムを書籍化した全3冊シリーズです。この“自分の仕事”を考えるフォーラムは2012年の6月に札幌でも2日間開かれ、先輩と一緒に参加してきました。書籍にはそうそうたる顔ぶれが登場しますが、私が一番感銘を受けたのは札幌にもいらした建築家の中村好文さんです。仕事を楽しみながら一段ずつ高みに上っていく姿がステキで、ラジオ体操第一をもじった社歌も最高です!


2)三島邦弘著「計画と無計画のあいだー「自由が丘のほがらかな出版社」の話」(河出書房新社)

誰もが知る出版不況の現代に出版社・ミシマ社を立ち上げた三島さんが起業5年間を綴ったエッセイです。原点回帰といわれるミシマ社は取次を通さずに出版社と書店間で取引する直販がモットー。書店側としては伝票整理の方法が取次と異なるなどの理由から二の足を踏みたくなるところですが、ミシマ社さんの「この本を作りたかった!」という情熱に共感する全国の書店員が応援しています。装丁自体は真っ白でもとっても熱のこもった一冊です。


魅力的な装丁本)服部みれい著「オージャスのひみつ―こころとからだの生命エネルギーを増やしてなりたい自分になる方法」(マーブルトロン)

著者は自然派ライフスタイルを提唱する人気リトルプレス「murmur magagine」編集長の服部みれいさん。アーユルヴェーダ医の蓮村誠さんが監修をしています。インド伝承医学の概念オージャスについて、というと堅苦しく聞こえるかもしれませんが、手触りのいい紙と赤インクを駆使したかわいらしいデザインで気負いなく読める<からだとこころの元気本>です。

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