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第363回 書肆吉成 丸ヨ池内GATE6F店

店主の吉成氏が「いま最も熱い」と推す出版社別の棚に注目!

[新店情報]札幌市東区の古書店が街中に新刊・古書店を進出!
書肆吉成が挑む本のある「いい場所」づくり

[2018.2.19]






《出版社で選ぶ面白さ》を提供、厳選の11社が勢揃い!

2017年5月に「俊カフェ」の開店をお知らせしてからほぼ半年後、札幌の街中にまたうれしいブックストアニュースが到着した。
2018年2月10日土曜、札幌市中央区の丸ヨ池内GATE店に、「書肆吉成(しょし・よしなり)」がオープン! 東区で古書店を展開する吉成秀夫さんが、今度は新刊やバーゲンブックも取り扱う新刊・古書店を出店した。店は約60坪。約1万5000冊を販売する。

●書肆吉成さんのフルコースはこちら!

札幌の古本屋・書肆吉成さんが考えに考え抜いた

「古書店を始めたい人と読み継ぎたい」フルコース


店が入った6階には、画廊「小竹美術」や骨董品の鑑定・買取もする「アンティーク&コレクターズギャラリー」が並んでいる。

そこに「詩・写真・人文書」をテーマとする書肆吉成が入ることで、アパレルショップが多い池内GATE店のなかでもひときわアートや文化の香りが高いフロアとして存在感を増すことになりそうだ。




「本のあるいい空間」を目指す同店の目玉のひとつは、壁一面にずらりと並ぶ「出版社別」の棚。詩や哲学、写真集に強いところや、”1人出版社”である編集長の個性が際立つところなど、「出版社で本を選ぶ面白さ」を提供する。

「左右社」「共和国」「港の人」「かりん舎」「夏葉社」「書肆山田」「書肆子午線」「思潮社」「水声社」「赤々舎」「オシリス」…吉成セレクトの全11社。名前も知らなかった出版社や著者たちが棚から語りかけてくる構成だ。

「”この本、面白いよ”と人に勧めたくなっても、古書の場合は点数が限られるのでシェアするのが難しい。その点、新刊本は在庫があるので、安心しておすすめできるところがうれしいです」

写真家・露口啓二さんや詩人の文月悠光さんなど北海道にゆかりのある作家の本も手厚く入れている。





あの名店の息吹を引き継ぎ、ギャラリーイベントも続々!

さらに同店は一角にギャラリースペースを設け、現在はオープン記念特別展の「詩人吉増剛造展」を開催中。新刊『火ノ刺繍』(響文社)発売を記念したトークイベントが、2月25日日曜18:00から開催される(入場無料)。
「今後は出版社を招いたトークや好きな装丁作家さんの原画展も開きたい。最新情報は随時当店のTwitterにアップしていきます」





新しい試みの一方で、受け継がれているものもある。店の什器はすべて同業者や知人から買い受けた中古品だが、その中に2017年8月に逝去した元くすみ書房店主・久住邦晴さんから受け取った棚(写真上)もある。

病床にいてなお《奇跡の本屋さん》を夢見たという久住氏の夢の続きを、自分なりのやり方で追いかけたいーー。

Twitterで明かされた店主の静かな決意表明に、大勢の本屋好きがエールを送っている。


「この本、今福龍太さんの『ないものがある世界 パルティータⅤ』(水声社)は当店の売上第1号です。買って行ったのは友人ですが(笑)皆さんに応援していただけて本当にありがたいです」と吉成さん。


取材中、エスカレーターを上がってきた年配の女性客が「あらっ、本屋さんができたの?よかったあ」と喜ぶ声が聞こえてきた。そのあとも親子連れが続き、「本屋さん見ていい?」と子どもの声が。

いい店が継続できるかどうかは、無論それを見守る私たちの肩にかかっている。どうぞ少しでもお時間があるときはぜひ一度、池内GATE6階へ。書肆吉成さんの新しいチャレンジをご自分の目で確かめてもらいたい。


●書肆吉成 丸ヨ池内GATE6F店

https://twitter.com/y_ikeuchiGATE6F

札幌市中央区南1条西2丁目18 IKEUCHI GATE 6F

TEL011-200-0098

営業時間10:00~20:00 年中無休








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