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北海道書店ナビ 第51回 札幌明正堂書店宮の沢店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?
『こちらのお店は閉店しました。』

宮の沢バスターミナル直結「西友宮の沢店」2階にある札幌明正堂書店宮の沢店。CD売り場も併設する店は、約100坪の細長い作り。すっきりとした動線の売り場を歩いていくと…「こ、これはすごい!」感動の手作りポップに出会った。

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=cHdH2gjeINU]

「今年度No.1のノンフィクション!」と呼び声の高い「困ってるひと」は、都内の大学院に在籍する大野更紗さんの初エッセイである。
大学院でビルマ難民を専攻し、現地にも足しげく通う多忙な研究生活を送っていた大野さんは、ある日突然原因不明の難病を発病。向かうところ「困った」ことばかりの闘病体験を綴ったこの「命がけエッセイ」が、2011年6月の発売以来大きな反響を呼んでいる。


この人気に火をつけたのはTwitterなどのネットクチコミだったが、実売を後押ししたのは、売り場を預かる書店員たちだ。「一人でも多くの人に読んでほしい」と平積みにする、あるいはイチオシコーナーに置くなど応援の仕方はさまざまだが、ここ、札幌明正堂書店宮の沢店の場合はコレ! なんと表紙から布団ごと飛び出した“大野更紗さんポップ”で注目を集めている。



出版元のポプラ社さんも絶賛!小野さんの手作りポップ



作った人物は同店のアルバイトで、手先の器用さに定評がある小野奈津美さん。「一読してこれはぜひ仕掛けたいと思った」という片桐信次店長に肩をたたかれ、ポップづくりに取り組んだ。
一般に闘病記は読み手を選ぶジャンルであるため、「読者層を広げられるように『困ってるひと』のコミカルなイメージを大事にしながら作りました」と当時を振り返る。
作業は家にあるハギレで重ね布団から縫い始め、次に表紙をコピーして切りぬきした大野さんの顔と手をポップ用パネルにペタリ(ボディーはティッシュにした)。その“大野さん”を布団に入れて、完成した。
これを飾り始めてからは女子高生や子どもたちが「かわいい!」と足を止め、ここ一カ月の間で売上も伸びてきた。「一冊でも多く売上に貢献できて嬉しいです」、片桐店長と小野さんはそう口を揃えて「困ってるひと」を応援し続けている。

こうした書店員たちの地道な努力を作者に届けることができたら・・・そんな思いで今回書店ナビではこの手作りポップの存在を「困ってるひと」の著者である大野更紗さんにお知らせしたところ、幸いにもご本人からコメントをいただくことができた。以下に全文を掲載し、札幌明正堂書店宮の沢店の皆さんと、そして本を愛するすべての方ににお届けしたい。




「書き手」は、全身全霊のすべてをそそいで、
ただ、わが身から「ことば」を削りとることしかできません。
それを「読み手」に届けてくださる、
一人一人のかたがたの力なくして、「本」は成立しません。


「本」は、以前よりもずっと、よまれなくなりました。
力が、あまりなくなりました。


わたしは、「本」が好きです。

この書店員さんが作ってくださった「POP」を拝見して
おもねりでも媚びでもなく、
「本」にかかわるひとたちが好きだと思いました。


「本」に、「ことば」に。ひとを動かす、社会をつなげる、
そういう力があるとまだ、心の底から信じています。


大野更紗

片桐店長がセレクト!3冊のおすすめ本

1)大野更紗著「困ってるひと」(ポプラ社)

スタッフの手作りポップからもおわかりのとおり、今、当店のいちおし作品です。自己免疫疾患系の難病を患った大野更紗さんの闘病記ですが、ありったけのユーモアと勇気でもって深刻な悲しみを笑いと希望に変えてしまう、その筆力に感服しました。手に取っていかれるお客様はみなさん女性ですが、男性諸氏にもぜひ読んでいただきたい傑作です。


2)久保寺健彦著「みなさん、さようなら」(幻冬舎)
タイトルに惹かれて読みました。主人公は小学校の卒業式に起きたある事件をきっかけに団地から出られなくなった少年。それから月日が経ち、次々と去ってゆく恋人や友達、家族の死…中盤でビックリさせられ、後半は雰囲気ががらりと変わり、結末には希望が待っている、久保寺健彦鮮烈のデビュー作です。
3:装丁の美しい本)吉村昭著「羆嵐(くまあらし)」(新潮社)
“美しい装丁”というわけではありませんが、文庫ながら表紙のインパクトが強烈。今にも襲ってきそうな迫力です。大正4年12月、手塩の苫前村で起こった獣害史上最大の惨事。羆と羆を追う猟師との息詰まる対決を描いた壮絶なドキュメンタリーです。店頭でもひと月前から力を入れておすすめしていたところ、最近の札幌熊出没ニュースを耳にして驚きました。熊に会うのは実生活ではなくて、この本で。みなさま、くれぐれもご用心ください。

フェア情報

2012年 日記・手帳・カレンダーフェア 開催中〜平成24年1月下旬
2012年版の日記・手帳・カレンダーが続々入荷しています。人気商品は品切れになる場合もあります。お早目の準備は如何でしょうか?ご来店をお待ちしております。

週間売筋ランキング 対象期間平成23年10月9日〜10月15日

文庫
第1位:「愛憎」 佐伯泰英 著(光文社)
第2位:「ガリレオの苦悩」 東野圭吾 著(文藝春秋)
第3位:「橋の上」 佐伯泰英 著(双葉社)
文芸書
第1位:「マスカレード・ホテル」 東野圭吾 著(集英社)
第2位:「百歳」 柴田トヨ 著(飛鳥新社)
第3位:「心を整える」 長谷部誠 著(幻冬舎)
ビジネス書
第1位:「9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方  」 福島 文二郎 著(中経出版)
第2位:「日本中枢の崩壊」 古賀茂明 著(講談社)
第3位:「悪党 小沢一郎に仕えて」 石川知裕 著(朝日新聞出版)
趣味生活書
第1位:「人生がときめく片づけの魔法」 近藤麻理恵 著(サンマーク出版)
第2位:「体脂肪計タニタの社員食堂」 タニタ 著(大和書房)
第3位:「樫木式カヴィーダンスで即痩せる」 樫木裕美 著(学研)
児童書
第1位:「どんぐりむらのぱんやさん」 なかやみわ 著(学研)
第2位:「ハローキティをさがして」      (サンリオ)
第3位:「こびと大百科」 なばたとし(長崎出版)

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