北海道書店ナビ

北海道書店ナビ 第40回 アテネ書房駅前支店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?
『こちらのお店は閉店しました。』

札幌市民ならば誰もがJR札幌駅前通りの一等地に建つ店先を通ったことがあるはずだ。「アテネ書房」は戦後すぐに開業して以来、まちの歩みを見守り続けてきた老舗書店。50坪の店が刻む歴史もまた、今日、明日と積み重ねられていく。[2011.8.15]

アテネ書房の中津川操店長



アテネ書房といえば、北24条の東京堂書店と並び称される札幌屈指の老舗書店である。中津川操店長の勤務歴25年をすごいですね、とたたえると、「お店自体が長いですから。戦後まもなく開店して今年で60年かな」。50坪の小さな店が半世紀を超える道のりを歩いてきた事実にあらためて驚かされた。

大型書店の進出やネットサービスの普及でまちの本屋には厳しい状況が続いている。中津川店長も認めるように「新刊の充実度や品揃えの多さは大型店にはかなわない」。それだけに読みごたえのあるビジネス書や社会思想関連、男性誌といった「ここにならある一冊」がお客を惹きつける鍵となる。「よそと同じことをしていても」。老舗の知恵をめぐらせて、歴史ある書店の明日を切り開いていく。

中津川店長を慕ってくる常連客も多い。「顔を見にきた、と寄ってくださる方もいれば、何年かぶりにいらした方が“あんた、まだいたのかい”って(笑)」。だが、言うほうだって年季が違うのだ。中には大学時代から通いづめ、果ては定年退職後(!)にもぶらりと顔を出すなじみ客がいる書店は、北海道広しといえどもここだけではないだろうか。「他でもない、うちのような小さな店に来てくださるお客様あっての今日です」。軽口をたたきあえる応援団がアテナ書房を取り囲んでいる。

駅前通りという場所柄、北海道本やガイドブック、地図も売れ筋。入口すぐの平台には分野を超えて、中津川店長が「これぞ」と思うおすすめ本がところ狭しと並んでいる。このシマをじっくり見ているだけで、読書欲がどんどんかきたてられていく。店長ご自身の読書スタイルをうかがうと、「読みごたえがあるものをノンストップで読破したい」タイプ。体裁も内容も「厚み」がある本をよく知る読書家の顔をのぞかせた。
創業60年。札幌駅前通りでおなじみの店先

話題本・おすすめ本を一カ所に集めた平台のシマ

中津川店長がセレクト!3冊のおすすめ本

1)古賀茂明著「日本中枢の崩壊」(講談社)
経産省の現役幹部が実名で日本の裏支配者について書いているという驚きの本。うちのお客様は管理職世代が多いので、こういう真実を深く掘り下げたビジネス書が喜ばれます。一気に何万部も売れて旬が過ぎればぴたりと止まる本もあれば、派手な話題がなくても細く長く出続ける本もある。おもしろいものです。
2)都会生活研究プロジェクト[北海道チーム]「北海道ルール」(中経出版)
北海道に住んでいる人なら誰もが「ああ、そうそう!」と納得しながら読んでしまう面白本。道産子の私はもちろん「書けない」と「書かさらない」の違いがよくわかります(笑)。一口に北海道本と言っても、こういう楽しいカルチャー本やアイヌ・歴史系、自然系などジャンルはさまざま。自分たちが暮らす土地を知る糸口の広さに驚かされます。
3)沼田まほかる著「ユリゴコロ」(双葉社)
水紋が広がる青の世界に裸身の女性が何かを守るようにうずくまっている…なんとも言えない幻想的なイメージイラストに惹かれて、思わず手にとってしまいました。読み始めたら止まらなくなって、最後の1ページまで一気読み。余韻を残す恋愛ミステリーです。

フェア・特集 情報

東日本大震災・原発事故特集 開催中〜8月31日まで
地震の際に備えておく事や、放射能の危険などを知らせる書籍・雑誌類を集めております。
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毎年恒例の新潮文庫の夏の100冊フェアです。

週間売筋ランキング 対象期間 平成23年7月22日〜7月29日

文庫
第1位:「チヨ子」 宮部みゆき 著 (光文社)
第2位:「夕映え天使」 浅田次郎 著  (新潮社)
第3位:「神様のカルテ」 夏川草介 著 (小学館)
文芸書
第1位:「石狩川」 本庄陸男 著 (新日本出版社)
第2位:「下町ロケット」 池井戸 潤 著 (小学館)
第3位:「真夏の方程式」 東野圭吾 著 (文藝春秋)
ビジネス書
第1位:「マネー避難」 藤巻健史 著 (幻冬舎)
第2位:「2012年日本経済は大崩壊する」 朝倉慶 著 (幻冬舎)
第3位:「「原発文化人50人斬り」 佐高信 著 (毎日新聞社)
趣味生活書
第1位:「SAPPORO山ガール」 (北海道新聞社)
第2位:「樫木式カーヴィーダンスで部分やせ」  樫木裕実 著 (学研)
第3位:「ビストロスマップ」   (扶桑社)

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