北海道書店ナビ

第216回 ザ・本屋さん なかじま店

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?

室蘭市中島町の長崎屋2階にあるザ・本屋さんなかじま店。毎月15日の年金支給日には市の商店街が運行する「無料循環バスお元気号」を利用するシニアの方々がやってくる。お目当てはもちろん「あの棚」だ。[2015.4.6]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=il8AaHOeZVo]

シニア層にパズル誌が人気、とは書店取材でよく聞く話だが、室蘭市の長崎屋2階にあるザ・本屋さんの店頭はすごかった!平台を含め棚1列をずらーーっと占める圧倒的な品揃えは、札幌の大型書店でも見かけない光景だ。ナンプレ、数独、漢字、クロスワード。どのジャンルも難易度や懸賞別に選び放題なので、棚の前にいるだけで自然と購買意欲が上がり、売れ行きがいいと次の入荷もますます充実する…人気棚が生み出す好循環で店の売上を支えている。

パズル誌コーナー1。

パズル誌コーナー2

質量ともに圧巻の品揃えを誇る
「ザ・本屋さんなかじま店」のパズル誌コーナー

いつまでも“頭の若さ”を保ちたいと願うシニアにとってパズル誌は大人のドリルのようなもの。だが一方で、表紙に「もの忘れ」や「ボケ予防」とズバリ書いてあると正直、手を伸ばしづらいという買い手の心情もあるだろう。「だからでしょうか、当店では小学生低学年向けのドリルをよくシニアの方が買っていかれます」とは、書店員の今郁江さんのお話だ。「特に男性のお客様が多いように感じます」という一言にも思わず納得。国語や算数など「毎日のドリル」の思わぬ読者層を教えていただいた。

小学生ドリルコーナー

お孫さんにと思いきや、実は「自分用」に買い求めるシニアも多い小学生ドリル

室蘭市では商店街の活性化を目的に、毎月年金支給日の15日前後に無料循環バス「なかじまお元気号」を運行している。「お元気号の日」には生活用品などをまとめ買いする市民が街中に繰り出し、ザ・本屋さんの店頭も定期購読や予約本を取りに来るお客様でにぎわうという。月に一度のショッピングを心待ちにしている人たちに向けて店側も販促に力が入り、「季節に応じたフェアやランキングでいま何が人気かを一目でわかっていただけるように工夫しています」。

コミックランキング

10日ごとにコーナー別の人気ランキングを更新。

お料理本コーナー

隣は英会話教室。子どもたちを待つおかあさん向けのフェアも展開中。

時代小説コーナー

「佐伯作品だけでなく澤田ふじ子さんや小杉健治さん、
山本一刀さんの作品もよく動く」時代小説コーナー

レジ横の郷土本コーナーでおもしろい本を見つけた。『きらん 室蘭入門書』(きらん出版会)。タイトルどおり、室蘭を知ってもらう入口になれば、と地元の有志総勢62人が各自の得意分野に関する原稿を無償で執筆。自然、歴史、観光、産業、カレーラーメンやボルタなどさまざまな切り口で室蘭の魅力を紹介している。
コンパクトな新書サイズだが、353ページの読みごたえ。しかも在住者目線で書かれた等身大の室蘭がわかり、資料本としても十分価値がある。平成15年に出版されたものに加筆・改編し平成23年12月に3000部出版、と奥付にあった。
「きらん」とは、「輝蘭」であり「希蘭」。ふるさと愛が詰まった造語のタイトルに迷わずレジに持っていった。こういう「その土地でしか見つけられない本」との出会いをこれからも重ねていければ、と思う。

きらん

『きらん 室蘭入門書』は市内の書店や室蘭観光協会、道の駅で発売中!

Basic information
きらん
住所 〒050-0074
北海道室蘭市中島町1丁目19−11
電話番号 0143-44-2001
営業時間 9:00~23:00
定休日 年中無休
駐車場


今さんがセレクト! 3冊のおすすめ本

1)桜木紫乃著『硝子の葦』(新潮社)

WOWOWでドラマ化された影響で原作を買って行かれる方が多くなりました。著者の桜木紫乃さんは釧路出身。2013年に『ホテルローヤル』で直木賞を受賞されました。『硝子の葦』も釧路が舞台のせつないクライムサスペンスです。他に短編『起終点駅 ターミナル』も映画化が決まっています。

2)横山秀夫著『64(ロクヨン)』(文藝春秋)

4月18日からNHK総合でピエール瀧さん主演の土曜ドラマが始まる『64』(ロクヨン)。2013年の『このミステリーがすごい!』第一位、待望の文庫化です。昭和64年に起きたD県警史上最悪の誘拐殺害事件を巡り、刑事部と警務部が全面戦争に突入。著者がお得意とする警察小説の真髄がここに!

3)江國香織著『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』(朝日新聞出版)

虫と話ができる幼稚園児の拓人が心を開くのは家族のほかに、ヤモリやカエルといった小さな生き物たち。危ういバランスで保たれている大人の世界は拓人の目にどう写っているのでしょうか。箔押しの表紙がとてもきれいで、手に取るお客様がたくさんいらっしゃいます。

ページの先頭へもどる

最近の記事