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北海道書店ナビ  第176回 文教堂書店函館テーオー店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?


函館の五稜郭に近い梁川町で地元に愛され続けてほぼ半世紀の老舗デパート、テーオーデパートの4階にある文教堂書店。一角にある100円ショップを除き、建物中央のエスカレーターをぐるりと取り囲む豊富な品揃えで地元客のニーズに応えている。[2014.6.2]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=zLV5xuLB0n4]

1950年、創業者の小笠原亀吉が函館市の松川町で木材生産と衣料品販売の小笠原商店を開業。以来、木材部の盛況と並行して衣料部もデパート経営に発展。1962年、梁川町に鉄筋3階建て(現在は6階建て)の本社兼店舗として誕生したのが、テーオーデパートの生い立ちである。
その4階に広がる文教堂書店では、最近どこも取り扱いが減ってきているセルCD・DVDもしっかりカバー。CDショップを探すのにもひと苦労する今の時代に「ここにくれば」と思える頼もしい品揃えを誇っている。「CD・DVDともに初回限定特典をお目当てにされるお客様にご利用いただいています」と、スタッフの若月広一さんが解説してくれた。
書籍のほうはエスカレーターをはさんでレジが二カ所。中高生たちに人気のコミック側と、新刊や雑誌側に配置されている。その雑誌側のレジ横で、なんと棚4本をぜいたくに使った「北海道本」コーナーを発見!北海道の歴史の中でも港町として大きな存在感を放つ函館ならではの充実度に驚かされた。作家の木下順一さん(故人)が編集長を務めたタウン誌『街』の半世紀を綴った『わが街 はこだてタウン誌50年』や古写真230枚が収録されている『はこだて写真帳』、自費出版の『江差追分人間模様』など、他の地域の書店では見たこともない、いぶし銀のようなラインナップが輝いている。「これからも地域の出版物や函館にちなんだ商品を豊富に取り扱うことで、地域密着の姿勢を発信していきたいと思っています」。
テーオーデパートは国道571号線と教育大通が交差するブロックに位置するが、デパート自体の利用者層が近年は高齢者に絞られてきたため、店側も新たな客層の開拓に知恵を絞っている。「教育大生さんや若い方にも一度足を運んでいただけたなら、当店の多彩な品揃えがわかっていただけるはずです」と話す若月さん。新規客を4階にまで引っ張り上げる企画力が、さらなる発展の足がかりとなりそうだ。


Store picture

ここでしか見られないような地域本が圧巻の北海道本コーナー



初回生産限定特典が人気のCD・DVDコーナー。CDショップが少ない今、貴重なスポットだ。




テーオーデパート4階の4分の3を占める広さと品揃えが自慢!


Basic information

【  住    所  】函館市梁川町10番25号テーオーデパート4F
【 電 話 番 号】0138-35-5181
【 営 業 時 間】10:00~21:00
【 定  休 日  】年中無休


スタッフがセレクト! 3冊のおすすめ本

1)桜庭一樹著『赤朽葉家の伝説』(東京創元社)

ネタばれを避けると、鳥取の旧家・赤朽葉家に生きる、希有な力を持った祖母・母・私、女三代の物語。戦後史を背景に3人の激烈な生き様が鮮やかに描かれています。日本推理作家協会賞受賞を受賞した桜庭一樹の代表作です。


2)星野源著『そして生活はつづく』(文藝春秋)

ミュージシャンであり、役者としてNHKの朝ドラ『ゲゲゲの女房』に出演したこともあるという、一見キラキラした世界の住人に見えながらも、どこか冴えない男・星野源のエッセイ集。その残念なところが魅力なんです…。


3)村上春樹著『村上春樹 雑文集』(新潮社)

2014年3月19日、イラストレーターの安西水丸さんがお亡くなりになりました。公私にわたって村上さんと親しかった安西さん。本書の表紙を飾る黒うさぎも安西さんが描いています。本文中にも安西さんとのエピソードが詰まっていて、二人の仲の良さが伝わります。巻末にある安西さんと、表紙の灰色ねずみのほうを描いた和田誠さんとの「装画・解説対談」も必読です。

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