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北海道書店ナビ  第94回 MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?


地下鉄通路直結のMARUZEN&ジュンク堂書店札幌店B2階。レジそばに並ぶガイドやグルメ本を横目に見ながら上がりエスカレーターへと急ぎがちだが、実はそのフロア奥には美と知を宿す芸術書達が表紙を開かれるのを待っている。

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=bYrNQHV7CTY]

MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店の芸術書担当は木村めぐみさん。高校時代は写真部に所属し、大学では映画美学を専攻。今も月に一度ミニシアターの蠍座に通うほどの映画好き。本人も「天職です」と認める職場で、次々と到着する新刊に心躍らせる毎日だ。

平素は動きが静かな写真集や美術書の棚だが、大きな波が生まれるのは作者の生誕記念フェアやその作家を取り上げた展覧会が開かれるとき。木村さんの場合、札幌や道内に限らず首都圏のアート情報もこまめにチェックし、2012年3月東京都写真美術館で写真家ロベール・ドアノー(代表作は「パリ市庁舎前のキス」)の生誕100年記念写真展が開かれたときは期間中、札幌の店頭でも展覧会の図録「Rétrospective」を販売。狙いどおりに売れ行きが伸び、大きな達成感を味わった。

また、プレゼントにも使われる写真集や美術書は「中身を見てから買いたい」人が多いことを考慮して、本ごと密封するシュリンクとは異なる“表紙単体のビニールがけ”を実施。時間のかかる手作業だが、作品集の一部ともいえる表紙を出荷時同様のきれいな状態で保つため惜しんではいけないひと手間なのだ、と教えてくれた。

木村さんには芸術書の他にもう一つ担当がある。それは楽譜がびっしりと並ぶ音楽の棚。担当当初は楽器経験・専門知識ともにゼロスタートだったが、そこは持ち前の「新しもの好き」を発揮。今では簡単な譜面を読めるようになり、得意分野以外の知識を着実に増やしている。

「今後は地元の美術館と連携した棚づくりにも力を入れたい」と話す木村さん。札幌から全国に発信する北海道アートの棚をぜひ見せてほしい。
Store picture

写真集・美術書は表紙も作品の一部。 「できるだけ面陳で紹介したい」と木村さん。


Basic information

【  住    所  】札幌市中央区南1条西1丁目8−2 丸井今井南館B2~4F
【 電 話 番 号】011-223-1911
【 営 業 時 間】10:00〜21:00
【 定  休 日  】年中無休


文芸書担当の菊地さんがセレクト!3冊のおすすめ本

1)井上美香著「北海道人が知らない北海道歴史ワンダーランド」(言視舎)

ワンダーランドの幕開けは、蝦夷地(=北海道)が実は世界地図に最後に書き込まれた場所だった!という驚愕の事実から。五稜郭陥落などの歴史秘話だけでなく、ススキノ裏話やクラーク博士の偉人エピソードを含む道内各地・各分野に散らばっている言い伝えや物語から見えてくる“新しい北海道像”に目からウロコ!の1冊です。


2)川崎徹著「最後に誉めるもの」(講談社)

CMディレクターの著者が、現実と非現実のあわいをたどるように著した母をめぐる2つの短篇。表題作は著者本人と思われる主人公が、死後不意に現れた母親と会話をする物語。過去を語る自分と、自分の知らない過去を語る母。会話が続く間だけそれは現実のようであり…不思議な余韻を残す佳品です。


魅力的な装丁本)J・L・ボルヘス編纂/序文「新編バベルの図書館 第1巻」(国書刊行会)

イタリアのフランコ・マリア・リッチ社がラテンアメリカ文学の泰斗J・L・ボルヘスに編纂を依頼した世界文学全集。旧版は全30巻でしたが、この新編は国や地域別に構成し直した全6巻。函入りで上製バクラム(布クロス)装の表紙を繰ると、作品ごとに旧版の表紙で使用されていたゴシック調のエッチングが目に飛び込んでくる仕掛けが秀逸。イタリアオリジナルの装幀がめくるめく幻想文学の世界へと読者を誘います。記念すべき第1巻はアメリカ編。ホーソーンやポー、ジャック・ロンドンなどの20話を収録しています。


フェア情報

「北大路公子全点フェア」開催中~2012年10月31日
文庫版「生きていてもいいかしら日記」当店売上げ200冊突破!!記念フェア。40代、独身、親と同居で趣味は昼酒という札幌在住のライターによる爆笑必至!!のエッセイ集。どれから取ってもハズレ無し!をお約束いたしマス!!
「古事記生誕1300年」フェア開催中~2012年10月31日
断片的には聞きかじっているものの、意外と通読した事のない「古事記」。編纂1300年を迎えた今、読みやすい入門書や文庫本の他にコミックも集めてみました。現代語訳では定評のある三浦祐之や、ロングセラーの福永武彦訳で。コミック版ならこうの史代でと読み比べてみるのも一興です。

週間売筋ランキング 対象期間平成24年9月18日~9月24日

文庫
第1位:「ツナグ」 辻村 深月 著(新潮社)
第2位:「天地明察上・下」 沖方 丁 著(角川書店)
第3位:「Sex」 石田衣良 著(講談社)
文芸書
第1位:「置かれた場所で咲きなさい」 渡辺和子 著 (幻冬舎)
第2位:「SMAP×SMAP COMPLETE BOOK VOL.5 GREEN」 月刊スマスマ新聞 著(東京ニュース通信社)
第3位:「ノエル a  story of stories」 道尾 秀介 著(新潮社)
ビジネス書
第1位:「99対1% アメリカ格差ウォーズ」 町山智浩 著(講談社)
第2位:「平和の毒、日本よ」 石原慎太郎 著(産経新聞出版)
第3位:「経営者の条件 ドラッガー名著集1」 P・F・ドラッガー 著(ダイヤモンド社)
趣味生活書
第1位:「みんなで、えみふる!人生が楽しくなる80個くらいの言葉」 つば九郎 著(飛鳥新社)
第2位:「元気快復 足もみ力」 近澤愛沙 著(ワニブックス)
第3位::「高雄病院の「糖質制限給食」 江部康二 著(講談社)
児童書
第1位:「どんぐりむらのおまわりさん」 なかやみわ 著(学研教育出版)
第2位:「いないいないばあ」 松谷みよ子(童心社)
第3位:「ねないこだれだ」せなけいこ 著 (福音館書店)

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