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北海道書店ナビ 第57回 工藤書店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?

小林多喜二、伊藤整を生んだ小樽・花園町にある工藤書店。明治36年に創業した個人書店が平成の今も続くこと自体に小樽というまちの奥行きを感じずにはいられない。「いつまで続くのか」4代目店主の工藤美喜さんがふふふ、と笑った。【2011.12.12】

[youtube:http://http://www.youtube.com/watch?v=qsD_fWQxDXc]

工藤書店に取材に行くと聞いて事前にネット検索したところ、ヒットしたのが小樽市広報の中の「おたる文学散歩」というページ。
それによると、「…明治36年、小学校の校長を退職した工藤道忠氏が住吉町で工藤書店を開業。…」とあり、花園町へ移転してからは店の二階が「文学青年たちのたまり場」に。きわめつけは伊藤整の自伝的小説「若い詩人の肖像」の中に工藤書店の名前が出てくるという。

もとは銭湯だった建物にある工藤書店

「…工藤書店の、少し前のめりになった陳列台からその雑誌を手に取って読みながら考えた。…」(伊藤整「若い詩人の肖像」より)

昭和世代にはなんとも懐かしい店がまえ

このように小樽ゆかりの文学史にも名を残す老舗書店を訪ねたところ、「もうね、古いの。古いだけ。それだけの店なの」そういってひたすら恐縮顔の現店主・工藤美喜さん(80歳)が出迎えてくれた。
札幌出身の美喜さんは今から約50年前に創業者・工藤道忠氏の孫にあたる男性との結婚を機に、小樽に移住。店主だった夫が10年前に他界してからは自身が店先に座り、老舗の看板を守り続けている。

「主人は北大の大学院で法学を専攻していましたから、継いだ当初は店にも法律書や経済書をいっぱい並べてね。当時の小樽商科大学にまだ生協がなくて、商大の学生さんがうちのお得意様でしたよ」

新入学時期にはさらに充実する辞書コーナー

かくいう美喜さんも札幌時代は北大図書館の司書だった。今でも塩野七生や宮城谷昌光作品を欠かさず読む、“書店の女房”にふさわしい読書家なのである。

現在の工藤書店は図書館や病院、飲食店相手の外商が中心。4人のスタッフが担当エリアを回っている。2月から春にかけては教科書販売の繁忙期を迎えるものの、「小樽はすっかり人がいなくなって。通りがかりのご新規さんはほとんどいません。外商の他は決まった雑誌を買いにくる常連さんで成り立っている店なんです」

ところが年に数回、工藤書店を探してご新規さんが来店する。棚を何段も占める「岩波新書シリーズ」目当てにやってくるのだという。
通常、岩波の本は書店側が買い取る契約のため、在庫を抱えたくない書店は注文に二の足を踏む。だが、そこは読者家の工藤さん、「ほとんど自分の趣味で」シリーズ全作を揃えたところ、一部のお客様に大好評!

棚をびっしり埋めつくす「お宝」岩波新書シリーズ

「ここにあった!」と驚いて買っていく人や「工藤書店になら揃っていると聞いてきた」本好きがぽつりぽつりと出始め、「こないだも観光でいらした京都のお寺さんがまとめて3、4冊」。“玄人受け”する岩波新書人気は途切れることなく続いている。

9坪の店で使っている木製の書棚はどれも年季の入ったものばかり。

書棚はすべて驚きの木製。昭和8年からの年季もの

「昭和8年から何ひとつ変わってないの。いつ辞めてもいいように」と笑いながらも、「娘たちには“無理をしないで”といわれてますが、定休日のほうが疲れるわねぇ」と工藤さん。他の書店ではどうにも落ちつかないと通う常連客との毎日が、健康長寿の秘訣にもなっているに違いない。



頬まであたたまる灯油ストーブもつい長居したくなる原因かも

創業108年、小樽の歴史とともに歩み、気がつけばまちの一部に溶けこんだ。

「そこにあり続ける」時間を一日でも長く積み重ねてほしい工藤書店である。

Store picture
工藤さんも「知らないことばかり」と舌を巻いた「小樽散歩案内」
「風呂場(バスルーム)で読むドストエフスキー」作者の長屋恵一氏は小樽在住
Basic information

【  名    称  】工藤書店
【  住    所  】小樽市花園1-11-1
【 電 話 番 号】0134-22-3245
【 営 業 時 間】朝 10:00〜夜 21:00
【 定  休 日  】第一第三日曜日・年末年始


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