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北海道書店ナビ  第150回 図書館ネットワークサービス福村書店

書店所在地はこちらをご覧下さい。

心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?

地元北見で60年。経営難を理由に3年前に閉店した福村書店が2013年7月、(株)図書館ネットワークサービスの支店として帰ってきた!建物2階をレンタルギャラリーにし、JR待ちの高校生たちも歓迎する。「まちへの恩返し」が始まった。[2013.11.18]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=iS8tAJ1ntjk]

銀座通りに「帰ってきた」福村書店

北見市の駅前、銀座通りの一角で眠っていた店が息を吹き返した。店の名は「福村書店」。地元で60年経営を続け、全盛期には市内3店舗、札幌、旭川にも進出していたわがまち自慢の店だったが、長引く書店不況に抗えず3年前に閉店した。
その福村書店に「自分たちの支店となりもう一度やらないか」と声をかけたのが、札幌本社の図書館ネットワークサービス寺下徹社長。「地元のためにも店名は残したほうがいい」という格別な配慮もあり、前経営者たちが再開を決意したという。

「本当はまた店頭に立つかどうか悩んだんです」と打ち明けてくれた旧従業員にして現店長の川村すえ子さん。閉店から思わぬ再開へ。改装が進むにつれて揺らいでいた気持ちも固まり、「今はやるしかない!の思いです」。
店の2階は新たに無料レンタルギャラリー兼コミュニティサロンとして再生。レンガ調壁紙をあしらった内装は前社長のつながりで札幌の建築家が担当した。完成と同時に建築家からは粋な贈り物があり、川村さんたちの感激もひとしお。進呈されたペアのオリジナルポスターには「COME BACK FOREVER」、“復活”をことほぐメッセージがプリントされていた。

福村書店とデザインにまつわる話はもう一つある。前社長である下斗米ミチさんの兄は馬鈴薯版画家の故香川軍男(かがわ・ときお1915~2002)。店のブックカバーにも香川氏のいも版が使われ、実に味わい深い仕上がりになっている。今回の再開に伴い、うれしいことにそのオリジナルカバーも復活した。これから来店される皆さんにはぜひとも「カバーをお願いします」と言ってほしい。

北見で活躍した芋版画家香川軍男オリジナルのブックカバー。

2013年7月11日、ぴかぴかの2階でオープニング・パーティーが開催された。来場者には感謝の気持ちをこめて昭和61年に福村書店が発刊した「写真集北見パートII」(「I」はその3年前に発刊)が無料配布された。「お帰り」「待ってたよ」という声に迎えられ、川村さんたちも改めて「まちへの恩返し」を心に刻んだという。
「バスやJR待ちの高校生たちって結構行き場がないんです。なので毎回本を買わなくても“2階を気軽に使ってね”と呼びかけて来てもらっています。1階で本を買ってくれるのはシニアの方々。こちらは主に会話重視(笑)。私よりはるかに流行に敏感な方ばかりなので、いろいろ教わっています」。
古くて新しい本屋さんの復活を喜ぶ北見書店文化の灯火がこれからもまちをあたたかく照らしてゆく。

Store picture

どの棚も気持ちがいいくらいにぴしっと背表紙が立ち並ぶ。

店頭では貴重な香川作品の絵葉書や『写真集北見』も取り扱っている。

2階の無料レンタルギャラリー。営業時間9:00〜19:00。Wi-Fi完備。

「絵手紙の会」など市民のコミュニティサロンとしても使われている。10〜15人の会議も可。

内装を担当した建築家から進呈された再開記念ポスター

Basic information

【  住    所  】北見市北3条西2丁目16
【 電 話 番 号】0157-33-3123
【 営 業 時 間】9:00〜19:00
【 定  休 日  】年中無休

川村店長がセレクト! 3冊のおすすめ本
1)池井戸潤著「銀行仕置人」(双葉社)

大ブームになった半沢直樹シリーズ…と勘違いしそうですが、こちらは同じ金融業界を題材にした単刊もの。「半沢の続きあるかい?」と聞かれて最新刊はまだ文庫になっていないことをお伝えすると、なかには「これは?」「シリーズじゃないんです」「同じようなもんだろ?」と言って買っていかれる方も(笑)。物語はハラハラドキドキ、紙一枚で異動が決まる長編痛快作です。

2)宮部みゆき著「模倣犯1〜5」(新潮社)

映像化もされた現代ミステリの金字塔。未曾有の連続誘拐殺人事件が重層的に描かれ、読み進むにつれて物語の舞台や登場人物が次々と変わっていくトリッキーさも魅力です。クライマックスのどんでん返しを含め、一筋縄にはいかない人生のほの暗さや心の傷が余韻となって残ります。

3)草場一壽著『いのちのまつり つながってる!』(サンマーク出版)

あるとき、お客様から「いい絵本があるのよ」と教えてもらったのがこの『いのちのまつり』シリーズです。ページを開くと飛び出したり、引っ張ると何かが見えたりするお楽しみいっぱいの仕掛け絵本なので子どもたちと一緒に感動しながらいのちの大切さを伝えていける名作です。

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