BOOK LAB.オーナーの種田健二郎さんと、副店長の廣海圭美さんにお話をうかがった。
[2018.8.13]
年に二度、北大関連の教科書買取で「本が廻る」空間に
オーナーは、本の買取専門店「サイブックス」を経営する種田健二郎さん。
sai-books.com
初めての実店舗展開にあたり、「いろいろなことに挑戦する実験室(LABLATORY)のような空間にしていきたい」という思いをこめて、「BOOK LAB.」と命名した。
住所は北大通り(西5丁目樽川通り)を北に向かって右側の北18条西4丁目。松田整形外科記念病院の向かいにある。
元調剤薬局のスペースを種田さん自ら図面を書き、3週間かけて自分たちで改装した。木で統一した書棚も全てオリジナル。やさしい空間に仕上がった。
北海道大学には教職員や学生を含め3万人近くの人口がいる。そこで当然出てくるニーズが、教科書や高価な医学書、法律書などの専門書の買取だ。
4月から始まる前期と9月からの後期、年に二度必ず、”不要になったテキスト”が店頭に出回り、「BOOK LAB.」を通して先輩から後輩たちへと受け継がれていく。
「当店のコンセプトは、《本が廻る》です。買取本を持ってきてくださる学生さんのなかには、売りに来て、そのまま他の本を買って帰っていく方も少なくありません。
できるだけ納得していただける買取価格をつけて、北大生の皆さんを応援しています」
オリジナルトートバッグを販売し、このバッグを持参すると毎回10%OFFのサービスも展開中!
若者に人気のステーショナリーブランド「ハイタイド」も豊富な品揃え。
北大エリアに新規参入のBOOKLAB.が、博覧強記の店主が営む老舗古書店と同じ土俵に立つことは難しい。それならば、と視点を変えて、学生目線に立ったさまざまなアプローチで自分たちの存在をアピールしている。
人気ものはひつじのジョージ、文庫詰め放題企画も大好評!
サイブックスのスタッフだった廣海圭美さんは、2017年12月からBOOKLAB.に異動になり、現在、副店長として活躍中だ。
入口すぐの場所にある絵本コーナーを「3歳児の目線に立って考えた」レイアウトにし、その近くに若いママたちが関心を持つ料理や美容の本を置くなど、細やかな心遣いが各所にきいている。
種田さんの知人が作ってくれた「おさるじゃなくて、ひつじのジョージ」が、羊ヶ丘にあるクラーク博士を連想させる。右耳が折れたとき、制作者がすぐに新しい顔を送ってくれたそう。「アンパンマンみたいですよね(笑)」
棚の紹介コピーにも説得力があり、つい足が止まる。ダイエット本コーナーには「夏までには…」と、女性の心をわしづかみにする一言が。
「小さいお子さん連れのお母さんが書店に入ると、周囲の目を気にしてすごく申しわけなさそうにしている姿、たまに見かけますよね。
うちではそんな気遣いはまったく不要で、いつまでも、ゆっくりとくつろいでいってほしい」
そんな廣海さんの願いが、居心地のいい空間と時間に溶け込んでいる。
アイヌ本から温泉ガイドまで、硬軟織り交ぜた本が並ぶ「北海道AND旅本」コーナー。
廣海さんも大好きな「山&アウトドア特集」も見応えあり。「店の近くに北大探検部さんの部室があるんですよ」
2017年7月に三周年を迎え、これまでの《三大事件》を聞いたところ、「ひつじのジョージ耳折れ事件」と「店頭の三角書棚のタイヤが外れて焦った事件」に続いて、「事件ではないんですが、個人的に一番うれしかったのは、年明けに企画した《店内文庫つめ放題》が大反響だったこと」と明かしてくれた。
500円で買った袋に文庫本つめ放題、というこの古書店らしからぬ太っ腹企画にお客は大喜び!
なかには19冊(!)というツワモノもいて、おおいに盛り上がったという。
「売れなければいつまでも残ってしまう古本が、”こんなにいっぱい、いいんですか?”と、喜ばれながら売れていく。まさに本が廻って、お客様も私たちも幸せになれる企画でした」
取材はジュンク堂旭川店が入っているフィール旭川4階のブックマークカフェでお話をうかがった。
[2018.8.13]
年に二度、北大関連の教科書買取で「本が廻る」空間に
オーナーは、本の買取専門店「サイブックス」を経営する種田健二郎さん。
sai-books.com
初めての実店舗展開にあたり、「いろいろなことに挑戦する実験室(LABLATORY)のような空間にしていきたい」という思いをこめて、「BOOK LAB.」と命名した。
住所は北大通り(西5丁目樽川通り)を北に向かって右側の北18条西4丁目。松田整形外科記念病院の向かいにある。
元調剤薬局のスペースを種田さん自ら図面を書き、3週間かけて自分たちで改装した。木で統一した書棚も全てオリジナル。やさしい空間に仕上がった。
北海道大学には教職員や学生を含め3万人近くの人口がいる。そこで当然出てくるニーズが、教科書や高価な医学書、法律書などの専門書の買取だ。
4月から始まる前期と9月からの後期、年に二度必ず、”不要になったテキスト”が店頭に出回り、「BOOK LAB.」を通して先輩から後輩たちへと受け継がれていく。
「当店のコンセプトは、《本が廻る》です。買取本を持ってきてくださる学生さんのなかには、売りに来て、そのまま他の本を買って帰っていく方も少なくありません。
できるだけ納得していただける買取価格をつけて、北大生の皆さんを応援しています」
オリジナルトートバッグを販売し、このバッグを持参すると毎回10%OFFのサービスも展開中!
若者に人気のステーショナリーブランド「ハイタイド」も豊富な品揃え。
北大エリアに新規参入のBOOKLAB.が、博覧強記の店主が営む老舗古書店と同じ土俵に立つことは難しい。それならば、と視点を変えて、学生目線に立ったさまざまなアプローチで自分たちの存在をアピールしている。
人気ものはひつじのジョージ、文庫詰め放題企画も大好評!
サイブックスのスタッフだった廣海圭美さんは、2017年12月からBOOKLAB.に異動になり、現在、副店長として活躍中だ。
入口すぐの場所にある絵本コーナーを「3歳児の目線に立って考えた」レイアウトにし、その近くに若いママたちが関心を持つ料理や美容の本を置くなど、細やかな心遣いが各所にきいている。
種田さんの知人が作ってくれた「おさるじゃなくて、ひつじのジョージ」が、羊ヶ丘にあるクラーク博士を連想させる。右耳が折れたとき、制作者がすぐに新しい顔を送ってくれたそう。「アンパンマンみたいですよね(笑)」
棚の紹介コピーにも説得力があり、つい足が止まる。ダイエット本コーナーには「夏までには…」と、女性の心をわしづかみにする一言が。
「小さいお子さん連れのお母さんが書店に入ると、周囲の目を気にしてすごく申しわけなさそうにしている姿、たまに見かけますよね。
うちではそんな気遣いはまったく不要で、いつまでも、ゆっくりとくつろいでいってほしい」
そんな廣海さんの願いが、居心地のいい空間と時間に溶け込んでいる。
アイヌ本から温泉ガイドまで、硬軟織り交ぜた本が並ぶ「北海道AND旅本」コーナー。
廣海さんも大好きな「山&アウトドア特集」も見応えあり。「店の近くに北大探検部さんの部室があるんですよ」
2017年7月に三周年を迎え、これまでの《三大事件》を聞いたところ、「ひつじのジョージ耳折れ事件」と「店頭の三角書棚のタイヤが外れて焦った事件」に続いて、「事件ではないんですが、個人的に一番うれしかったのは、年明けに企画した《店内文庫つめ放題》が大反響だったこと」と明かしてくれた。
500円で買った袋に文庫本つめ放題、というこの古書店らしからぬ太っ腹企画にお客は大喜び!
なかには19冊(!)というツワモノもいて、おおいに盛り上がったという。
「売れなければいつまでも残ってしまう古本が、”こんなにいっぱい、いいんですか?”と、喜ばれながら売れていく。まさに本が廻って、お客様も私たちも幸せになれる企画でした」
「誰にもケガがなくてよかった」三角書棚タイヤ外れ事件。今はしっかり補強して安全性も万全だ。
北大生も多いスタッフのオススメ文庫。店頭に出す本の量よりも空間のある見せ方を重視し、まめな本の入れ替えでフレッシュさを出している。
初めての実店舗に挑戦した種田さんは、「やはり”店がある”ということは、たくさんの可能性を秘めている」と確かな手応えをつかんだ様子。
廣海さんも「お客様とのやりとりがモチベーションになっています。イベントなど、まだやっていないことを試してみたいです!」と意欲を見せる。
北18条駅から徒歩5分。BOOK LAB.がつくる新しい古書店像は、確実に北大エリアに浸透中。手作りの店から生まれる手作りの企画で、新たなファンを増やしていく。
廣海さんとスタッフのおすすめ本3冊!
《スタッフのHさん》
砂漠
伊坂幸太郎 実業之日本社
著者は、男女逆転設定の『大奥』やグルメコミック『きのう何食べた?』で一躍メジャーになる前のよしながふみ。女子の自己肯定感と切っても切り離せない「母娘」問題をスマートに、かつ感動的に描く名作。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
村上春樹 新潮社
「タイトルにある2つの世界が互い違いに描かれながら物語が進んでいきます。それぞれの世界のディテールがとても細かく描写されているので物語に入りやすく、長編であることもあいまって自分が本当にその世界にいるかのような没入感がありました」
《廣海さん》
おれはティラノサウルスだ
宮西達也 ポプラ社
「心優しくたくましく育ってゆくプテラノドンの子どもと、大切ななにかに気づくティラノサウルスのお話です。対象年齢が3?5歳の絵本ですが、大人が読んでもグッとくるものがあり、大人の皆さんにもおすすめです!」
北大生も多いスタッフのオススメ文庫。店頭に出す本の量よりも空間のある見せ方を重視し、まめな本の入れ替えでフレッシュさを出している。
初めての実店舗に挑戦した種田さんは、「やはり”店がある”ということは、たくさんの可能性を秘めている」と確かな手応えをつかんだ様子。
廣海さんも「お客様とのやりとりがモチベーションになっています。イベントなど、まだやっていないことを試してみたいです!」と意欲を見せる。
北18条駅から徒歩5分。BOOK LAB.がつくる新しい古書店像は、確実に北大エリアに浸透中。手作りの店から生まれる手作りの企画で、新たなファンを増やしていく。
廣海さんとスタッフのおすすめ本3冊!
《スタッフのHさん》
砂漠
伊坂幸太郎 実業之日本社
著者は、男女逆転設定の『大奥』やグルメコミック『きのう何食べた?』で一躍メジャーになる前のよしながふみ。女子の自己肯定感と切っても切り離せない「母娘」問題をスマートに、かつ感動的に描く名作。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
村上春樹 新潮社
「タイトルにある2つの世界が互い違いに描かれながら物語が進んでいきます。それぞれの世界のディテールがとても細かく描写されているので物語に入りやすく、長編であることもあいまって自分が本当にその世界にいるかのような没入感がありました」
《廣海さん》
おれはティラノサウルスだ
宮西達也 ポプラ社
「心優しくたくましく育ってゆくプテラノドンの子どもと、大切ななにかに気づくティラノサウルスのお話です。対象年齢が3?5歳の絵本ですが、大人が読んでもグッとくるものがあり、大人の皆さんにもおすすめです!」
©2024北海道書店ナビ,ltd. All rights reserved.