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北海道書店ナビ  第163回 ケルン書房

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心を揺さぶる一冊との出会いは人生の宝物。書店独自のこだわりやオススメ本を参考に、さあ、書店巡りの旅に出かけてみませんか?

2014年3月22日(土)から札幌のシアターキノで公開!映画『茜色クラリネット』は、西区琴似を舞台に作られた北海道ムービー。中高生と大人の映画人、そして琴似のまちが協同で作った映画の劇中には「コトニのまち」が登場し、ここケルン書房も重要な役まわりを果たしている。[2014.3.3]

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=VZGgsgjQ9hI]

札幌市西区の琴似で作られた青春映画『茜色クラリネット』公開記念!ロケ地になった古書店「ケルン書房」店主の佐々木昌弘さんに店のこと、映画ロケのエピソードをうかがった。
札幌の歩みをテーマごとに記録したさっぽろ文庫95巻『札幌の漫画』にもその名を残すケルン書房は、昭和62年に澄川で開業した。もとは会社員だった佐々木さんが「いろいろあって」当時琴似にあった古本屋、八文字屋書店で働くことになり、そこから独立。開店2、3年後に琴似に河岸を変えて現在に至る。

店は小さな17坪。通路を浸食する、奇跡的としか言いようのないバランスで連なっている平積みと平積みの間を、本を崩さないように身を縮めて横ばいに進むと、佐々木さんが待つレジカウンターにたどりつく。幾人ものスタッフが出入りする映画撮影がここで行われたとは、信じられないような空間だ。
先に店の自己紹介をしてもらうと、前述のさっぽろ文庫で書かれていたように、かつてケルン書房といえば漫画の充実度で“その筋”に知られていたという。「私が好き、というよりたまたま入荷した貴重な漫画を見て勉強したり、コレクターのお客様に“この作品は面白いよ”と教えていただいたりしているうちにいつの間にかそうなった。最近はどうも“ミステリーならケルン書房”と言われているようで(笑)、全国からお問い合わせをいただいています」。
ホームページのトップに載っている作家は「寺山修司・瀧口修造・稲垣足穂・澁澤龍彦・安部公房・江戸川乱歩、スピノザ・カント・ヘーゲル・マルクス・デリダ・フーコー・ドゥルーズ・チャペック・カフカ」。これらの著者プラス「シュルレアリスム・DADA・モダニズム」のキーワードに関心を持つ顧客約1500人を対象としたカタログ販売で経営が成り立っているという。

2013年夏、琴似を舞台に、札幌の中高生たちが大人のサポートを受けながら一本の青春映画『茜色クラリネット』を制作した。主人公のコトニ中学3年生、茜の親友である夏輝の家は古書店「コトニ書房」を営んでおり、そのロケ地にケルン書房が選ばれた。
主人公たちが「夢の世界」に入る大切なシーンに、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』を連想したという佐々木さん。「あの本にも古本屋が出てくるんですよね。どちらも時間や空間を行き来する話だから」と、カウンターまわりの棚にアンティークな時計を幾つも置き、茜が持つクラリネットとの“楽器つながり”でバイオリンを飾るなどして物語世界の演出に一役買い、プロのスタッフたちをうならせた。

『茜色クラリネット』の監督は現役高校生の坂本優乃さん。他にも20人の中高生がキャスト・スタッフとして現場入りし、大人・地域との協同制作で81分の長編映画を完成させた。「ヨメさんと試写前に話していたのは、大人目線で見るのはやめようね、と。できるだけあの子たちの目線で見てみよう、と自分たちに言い聞かせました」。
映画は「夢の中に入れる本」という一冊の本から始まり、交通事故で寝たきりの友人・藍、コトニに発生する不思議な事件をかぎつけた新聞部の大西、そしてコトニのゆるキャラ・トニ子を巻き込んだ「夢」をめぐる冒険が進んで行く。
「映画自体はいわゆるローカル映画の1本に分類されると思いますが、撮っている子どもたち自身の成長や葛藤といったドキュメンタリーな部分がそのままフィクションの劇中にも反映されている特異な二重構造の映画ですよね。もし彼・彼女たちが大人のマネをして撮っていたならそれはウソになるし、彼らはまだ本編で言うところの“大人病”になってはいないはず。僕は映画は素人ですが、こういう方法論で撮った映画の作り方が今後どう発展していくのか、興味があります。できれば琴似というローカルの中で完結せずに、これから他の地域にどんどん広がってグローバルに展開していってくれたら、この映画に関わらせてもらった一人として誇りに思います。参加した子どもたちも、この映画という夢の世界から一人一人がどう抜け出して、次は実人生の夢をどう実現していくのか…10年後、20代になった彼らのうち、誰か一人でもふらりと店にやってきて、“今こんなことやってるんです”なんて言ってくれたらうれしいなあ。うちもそれくらいまでは頑張る、かなあ?(笑)」

Store picture

店頭の商品はごく一部。3カ所に分散した倉庫に店頭の5倍の蔵書が眠っている。

漫画・ミステリー・幻想文学…昭和初期の貴重なお宝本がそこかしこに。

映画『茜色クラリネット』予告編はケルン書房での撮影シーンからスタート!時計やバイオリン等の小道具は佐々木さんが倉庫から持ち出してきて飾ったもの。

Basic information

【  住    所  】札幌市西区琴似1条1丁目7-18
【 電 話 番 号】011-641-8587
【 営 業 時 間】11:00~19:00
【 定  休 日  】火曜日

『中高生とまち、プロの力で映画を作る 茜色クラリネット公式ガイドブック』(コアBOOK)

2013年夏、中高生×琴似(コトニ)のまち×プロの映画人。〈地域で撮る映画制作〉の全てがこの一冊に。スタッフ・キャスト関係者50人近くの声を一挙掲載!映画によるまちおこしや映像制作の参考になる制作スケジュール「茜色カレンダー」やシナリオも採録。帯メッセージはあの是枝裕和監督!ーー「中学生たちのまっすぐな視線で撮られたこの映像に触れると「いつの間にか自分も『大人病』にかかってしまったのではないか?」という不安に襲われる。映画について、人生について大切なことを思い出させてもらいました。」

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