[2024年9月の一枚]
2024年9月16日に札幌・北18条のSeesaw Booksで古本イベント「SAPPORO BOOK TRAVEL vol.3」が開催された。主催者は東京の「古本と肴マーブル」さん。道内外の出店者が集まり、吟ムツ会による井上ひさし作「父と暮せば」の朗読会も盛況でした。
2024年10月6日、札幌日仏協会と札幌アリアンス・フランセーズが主催するイベント「ボンジュール パリ」(会場:D-LIFEPLACE札幌)が開催され、プログラムの一つとして北海道大学の村松正隆教授が選ぶ「本のフルコース フランス小説〈白=blancブラン〉編」が紹介された。
フランス小説を題材にした「本のフルコース」は、村松教授と北海道書店ナビのコラボ企画。イベントに先駆けて10月頭から〈黒=noirノワール〉編を書店ナビのサイトで公開している。
村松:女性初のアカデミー・フランセーズ会員である著者による、中国やバルカン諸国の伝説をもとにした短編集。源氏物語の「雲隠(くもがくれ)」を題材にしたものもある。色々な味を一口ずつ楽しめる《前菜》です。
村松:哲学書ですが、人間の理性を信頼し科学の進歩を肯定するマニフェストであることから〈白〉に入れています。特に前半部はとても読みやすく明解なので、喉越しの良い《スープ》としました。
村松:著者は1921年のノーベル文学賞受賞作家で、今年が没後100年にあたります。本ばかり読んできた学者の物語で、私はこの本を高校時代に読み、将来このように暮らしたいと思いました。人間の善意がほのかな「苦み」と共に描かれています。古典的な《魚料理》としてどうぞ。
村松:なんとなく知っているけれど読んだことはない、という方も多いと思います。実は極めて知的な枠構造をとっており、パワーとしても《肉料理》にふさわしい一冊。小説とオペラの違いを楽しむのも一興です。
村松:色々とつまみ食いができる詩集はデザートプレートのよう。ランボーの詩は確かに難解ですが、「難しさ」もまた一つの味わいではないでしょうか。日本語とフランス語の両方で読んでほしいですね。
村松さん(画像右)の聞き手を書店ナビライターの佐藤優子が務めた。詩の朗読や参加者への本のプレゼントもあり、盛りだくさんの構成でお届けした。
会場:札幌市民交流プラザ1F SCARTSコート
札幌市中央区大通西1丁目
開催時間 10:00~180:00
入場無料
あわいのいきものたち | 札幌市文化芸術交流センター | 札幌市
札幌の絵本作家5名が集まり、「”あわい”(=境界)の世界に存在しているであろう、いるけれど見えないいきものたちを、見えるように想像したインスタレーション」(公式サイトより引用)。
それぞれファンを持つ人気絵本作家のかとうまふみ、すずきもも、橘春香、ひだのかな代、マット和子(敬称略)の影絵を使ったインスタレーションに「俊カフェ」オーナーの詩人古川奈央が「ことば」で参加している。
絵本作家・詩人たちの試みに朗読家・俳優の石橋玲、映像クリエイターの川田理恵も参加。「あわい」が息づく世界観を構築した。
会場を出た物販コーナーでは本展開催を記念して作られた限定300冊の蛇腹絵本『あわいのいきものたち』も販売中。 10月20日(日)16:00~17:00にはギャラリートークもあり。
小樽で続く秋の恒例コラボイベント。小樽市内9カ所の会場は下記のとおり。会場ごとに開催期間やテーマが異なるので、行く前にはそれぞれのSNSや下記の公式ブログでご確認を!
会場 北海道立文学館 札幌市中央区中島公園1番4号
入場料 一般700(550)円、65歳以上の方、高大生450(350)円、小中生300(200)円
※()内は10名以上の団体料金
岩見沢市出身の小説家・氷室冴子(ひむろ・さえこ、1957~2008年)は、1980年代から90年代にかけて集英社のコバルト文庫で活躍。平安時代を舞台にした『なんて素敵にジャパネスク』やスタジオジブリでアニメ化された『海がきこえる』など数々の人気作を生み出した。
氷室作品で描かれるのは、いつも自分の気持ちに正直な「ふくれっつらのヒロインたち」たち。その行動力や決断する姿に当時の読者は心を寄せ、40年の歳月を超えた今もなお、氷室作品が放つ輝きに魅せられている。本展をきっかけに新しい氷室ファンが増えてくれることを期待したい。
作家が生まれ育った岩見沢市では有志運営による「氷室冴子青春文学賞」が開催されており、2018年の第一回氷室冴子青春文学賞受賞作の櫻井とりお著『虹いろ図書館のへびおとこ』は大ヒット。
第480回 氷室冴子青春文学賞オンラインイベントレポート《前編》
「虹いろ図書館」シリーズはその後も続き、2024年7月には第1作が文庫化され、単行本も10刷に突入。11月14日にはシリーズ最新刊『虹いろ図書館 司書のぼくと運命の一年』が発売される。
第二回受賞作・佐原ひかり著『ブラザーズ・ブラジャー』、第四回受賞作・平戸萌著『私が鳥のときは』も話題を呼び、第五回受賞作・宇井彩野著『愛ちゃんのモテる人生』はこの秋の刊行を待つ。
会場:さっぽろテレビ塔 2階 特別展示コーナー
札幌市中央区大通西1丁目
開催時間 10:00~18:00 入場無料
「2024年 自費出版・記念誌展」開催のお知らせ | ニュース&トピックス | 株式会社アイワード
https://iword.co.jp/news/20240902133809.html
札幌の老舗印刷会社アイワードとその出版部門を担う共同文化社が手がけた自費出版・記念誌等約200 点を展示。「自分も本づくりを考えている」という方のために、常駐の相談員も置くという。
どちらも予約不要・参加無料。
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